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6前前-07 出発前編7

細かい言い回しを修正したのじゃ。

その日の夜。

夕餉(ゆうげ)は、珍しく王城の食堂で開かれることになった。


「今日はワルツの大好物を作ったから、じっくり味わっていってくれ!」


半ばパーティーの専属コックと化している狩人が、大量の料理を前に、いつもと同じセリフを口にした。

普段と違う点があるとすれば、狩人の目尻に、涙が溜まっているか否か、といったところだろうか。


「いや・・・う、うん。頂きます」


(そんな表情されたら、文句も言えないじゃない・・・)


というわけで、大人しく食べることにするワルツ。


そんな今日のメニューを、ルシアが一言で表現する。


「肉ばっかりだね・・・狩人さん・・・」


「明日からのことを考えて、今日はここで生気を養って貰おうと思ってな」


『(それ、狩人さんが好きなだけなんじゃ・・・)』


料理を前に、似たような難しい顔を見せる仲間たち。

どうやら皆、考えていることは同じのようである。

とはいえ、彼女の料理に不満を感じる者はいなかったが。


「・・・それで、いつごろ帰ってくる予定なんだ?」


仲間たちが美味しそうに自分の料理に舌鼓(したづつみ)を打ち始めた姿を一通り見届けてから、狩人はワルツに問いかけた。


「んー・・・3日くらいですかね?」


「3日って・・・ずいぶん早いな・・・」


「本当は1日でも良いんですけど、使者がその日のうちに帰るっていうのは、流石に微妙だと思うんですよ・・・体面的に」


(あまりに早く帰りすぎて、魔王に怯えて帰った、なんて思われたら嫌じゃない?)


と、思いつつも、口にはしないワルツ。

なお、ルシアの洗礼式の際に、どういうわけか実際に1日で帰った国があったようだが・・・今頃、灰になった国王の国葬でも行っているのだろうか・・・。


「そうか・・・だが、3日でも短いんじゃないか?」


「長い時間は取れないんですよ。私もルシアも、あまり時間はありませんから・・・」


「そうか・・・そうだよな」


自分にも時間がないためか、ワルツの言葉に素直に納得する狩人。


・・・そう、彼女達は忙しいのである。

間違っても、面倒だから、という理由からでは無いのだ・・・。




その後も、最後の晩餐(?)は続いていく。


(カタリナと、テンポと、コルテックス達が全員いたら、丁度13人だから最後の晩餐ごっこができたのにね・・・その場合、裏切り者は誰にしようかしら・・・やっぱ、テンポよねー)


などと内心で思うワルツ。

なお、そのネタが分かるのは、現代世界の知識を持っているワルツとホムンクルスたちだけなのは言うまでもないだろう。


(まぁ全員いないけど、試しに言ってみようかしら・・・?)


というわけでワルツは、名画の場面を思い出しながら、中心に座る人物が言っていそうな一言を口にしてみることにした。


「・・・この中に・・・裏切り者がいる・・・!」


「次の料理を持ってきだぞ?」

「狩人さん・・・また、肉料理・・・」

「ルシアのはコレな」

「(キュピーン)!」

「なんでルシア嬢は稲荷寿司で、妾の所は肉ばかりなのじゃ・・・もう入らないのじゃ・・・」

「テレサ?好き嫌いしてると、身長伸びないぞ?」

「では儂が代わりに・・・んー、やはり美味ですな・・・」

「ちょっ・・・水竜・・・それ、共食いだぞ・・・」


「先輩、あまり食べてないじゃないですか」

「・・・後輩ちゃん・・・体重計って知ってる?」

「もちろん知ってますよ?上に乗って、羽ばたく運動器具ですよね?あれ、できるだけ針が揺れないようにするのが大変なんですけど、母が上手いんですよ」

「・・・その手があったか・・・!」


「もぐもぐ・・・。噛めば噛むほど味が出て、美味しいですね・・・」

「王城の堀で獲ったテンタクルオクトパスだな。最近、狩りに出れないから養殖を始めたんだ。どうだ?旨いだろ?」

「まるでダシの塊のようなタコですね。それで、この部位はどっちなんです?頭の方の触手ですか?それとも、足のほうですか?」

「シラヌイ・・・それ、付け合せの造花だ・・・」


・・・あまりに唐突過ぎて、誰もワルツの話を聞いていなかった。


「・・・んー、今日も平和ね・・・」


もしもここに話し相手がいたなら、きっとこの料理も一層美味しくなるんでしょうね・・・などと、一人噛みしめるように頷いた後、食事に戻るワルツ。


そんな時、


ガチャ・・・


「あの・・・すみません・・・?」


食堂の扉を開けて、ユキが現れた。


「コルテックス様に、こちらで温かくて美味しい料理が食べられると聞いたのですが・・・」


「おぉ、来たか。コルテックスから話は聞いてるよ。そこの席に座ってくれ」


狩人が、ワルツの向かい側の空いている席にユキを案内する。


「はいこれ。ユキのために作った料理だ」


そう言いながら狩人は、ユキの前に、見るからに冷たそうな料理を置いた。


「・・・あの、狩人さん?狩人さんの作ってくれる料理はいつもおいしくて、私としてはとてもうれしいんですけど・・・でもたまには暖かい料理も食べてみたいな・・・と・・・」


「?!」


申し訳無さそうに言ったユキに、驚愕の表情を浮かべる狩人。


「・・・あの・・・やっぱり、なんかすみません・・・。折角私のために作ってくれた料理ですので、冷たい料理で結構です・・・」


そこまで驚くようなことを言っただろうか・・・と思いながら、ユキはすぐに自分の発言を撤回しようとした。

すると、


「いや、いいんだユキ。好きな料理を取って食べて欲しい・・・。ユキが冷たい料理しか食べられないと思っていた私が悪かった・・・」


逆に狩人がそう言って、随分慣れた様子で頭を下げ返した。

・・・どうやら、ロビー活動のやり過ぎで、礼のスキルが上がっているらしい。


そんな狩人の姿にユキは、好きなモノが食べれて嬉しいけど素直に受け入れていいのだろうか、といったような複雑な表情を浮かべながら、言葉を返す。


「あの・・・あまり気にしないでください。ボレアスでもたまにそういうことがあるので・・・」


そして、明るい表情を浮かべてから、更に言葉を続けた。


「それで・・・好きなモノを食べても良いんですよね・・・?」


「あぁ、構わないぞ?でも、熱いものを食べて身体を壊したりしないでくれよ?」


「は、はいっ!ありがとうございます!」


・・・そしてユキは嬉しそうに満面の笑みを浮かべながら・・・今もなおブクブクと蒸気を発している麻婆豆腐のような料理に手を伸ばした。


『?!』


彼女の暴挙に気づいたのは、狩人だけでなかったようで、その場にいた全員が驚愕の視線をユキに向ける。

だが、それでも止める者がいなかったのは、一口程度なら問題ないと皆が思っていたから、だろうか。


「では、さっそくいただきますね?」


スプーンに麻婆豆腐もどきを載せて、満面の笑みを浮かべるユキ。

・・・そして・・・




・・・一口で彼女の身長が30cm以上小さくなってしまったことで、晩餐会はお開きになってしまったのである・・・。




翌朝。


「ほいじゃぁ、行ってくるわ」


「みんな、行ってくるね?」


王城の入り口で、コルテックス達居残り組に挨拶するワルツとルシア。


「行ってらっしゃいませ〜。お姉さまにルシアちゃん。ユリアとシルビアも、ちゃんと補佐をお願いしますね〜?」


「えぇ、任せてくださいコルテックス様」


「サーチアンドデストロイですね?分かります!」


ビシッ!


コルテックスに対して敬礼するユリアとシルビア。


「ワルツぅぅぅ・・・妾も付いて行きたいのじゃぁ〜・・・でも我慢なのじゃぁ〜・・・」


「テレサ様。儂と一緒に、コルテックス様からの宿題を方付けてしまいましょう・・・」


『・・・う、うわぁぁぁん!!』


ダダダダダ・・・


寂しさに耐え切れなかったテレサと、同じく涙を貯めて辛そうにしていた狩人が、その場から逃げ出していった・・・。


「あ、そうだ。シラヌイちゃん?お土産買ってくるから、楽しみにしててね?」


「はい。できれば刃物が良いです」


「え・・・う、うん・・・分かったよ?」


シラヌイの注文に困るルシア。


「ではお姉さま。くれぐれも連絡は取れるようにしておいてくださいね?」


「身体の心配じゃないのね?」


「心配するような身体は持ち合わせていないではないですか?というより、何かあった時に、お姉さまに連絡が取れなくて痛い目に遭うのは私たちですから」


「いや・・・うん・・・ちゃんと連絡は取れるようにしておく・・・」


「あとカタリナからの言伝です。『国を滅ぼさないように』・・・とのことです」


「間違っても滅ぼさないわよ!・・・たぶん」


・・・というわけで、テンポからの忠告を最後に、仲間たちからの見送りの言葉を終えたワルツ達は、


「んー・・・なんか、もう一人、挨拶を忘れてる気がするけど・・・まぁいいわ。行きましょうか」


「うん」

「道中、お願い致します」

「ワルツ様と帰郷か・・・両親に結婚の報告とかできるかな・・・」

「ちょっ・・・先輩!それルール違反ですよ!」


・・・こうしてワルツたちは、アトラスへの挨拶を忘れて、ボレアスへの旅路についたのである。

頭がすっきりせんから、ちょっと寝てから書こうかと思っておった妾が間違いじゃった・・・。


それで、また何か書こうとしておったのか忘れたのじゃ。

確か、ハンバーグに塩を入れ忘れた話じゃったような・・・そうではなかったような・・・。

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