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14.11-11 登校11

 自己紹介の機会を奪われてしまったワルツは、悶々としながら次の自己紹介の機会を伺った。が、なかなかやってこない。


「探索の日程ですが——」


 ハイスピアが話を進めたからだ。流石に、担任教師が話をしている間に喋ることは出来なかったらしい。その内に、ワルツは、自分が自己紹介を出来なかったことを忘れていく。


「迷宮があるラニアまで、移動する方法は自由です。歩いて行っても良いですし、転移魔法を使って移動しても構いません。その後、迷宮に入り、1階層目のどこかにある赤魔石を1人1つ必ず採取し、そして学院に戻ってきて下さい。期間は合計で10日間。達成する時間が短ければ短いほど加点されますが、逆に長かった場合は減点とします」


 ハイスピアのその言葉に、ザワザワとざわめきが広がる。10日間というスケジュールは、歩いてラニアにいくことを考えれば、短くもなく長くもない時間ではあったものの、ゆっくり出来る時間ではなかったからだ。もしも何かトラブルに巻き込まれれば、遅れる可能性がかなり高くなってしまう……。生徒たちの多くが、そんな懸念を持ったようだ。まぁ、ラニアがどこにあるのか知らないワルツたちにとっては、よく分からない話だったようだが。


「質問がある人?」


 生徒たちのざわめきの中、ハイスピア声が教室の中に響く。その結果、生徒たちが口を閉ざす一方、ミレニアだけがその手を上げた。


「先生!質問です」


「はい、ミレニアさん。何でしょう?」


「迷宮に入るとき、私たちは、入れて貰うことが出来るのでしょうか?確か、ラニアの迷宮には、初等科の学生は入れない決まりになっていたかと記憶しているのですが……」


 レストフェン大公国において迷宮とは、危険極まり無い場所と認識されていた。まぁ、それはどこの国も似たようなものかも知れないが、少なくとも、子どもが遊び半分で入ることのできる場所ではなかった。故に、子ども——あるいは学院の初等科の学生などが迷宮に入ろうとすると、迷宮の入り口に立っている門番によって止められてしまうはずなのである。


 しかしどうやら、今回に限っては、特例が適用されるようだ。


「ラニアの迷宮管理組合には、すでに連絡済みです。学生証を見せれば、入れてくれるはずです。……多分」


 ハイスピアはそう答えた後で、ワルツに視線を向けた。今のワルツはクラスメイトたちの中で、群を抜いて幼く見えるので、たとえ学生証があっても通してもらえるか心配になったらしい。


 対するワルツは、自分の身長が小さいことをすっかりと忘れているらしく、ハイスピアから心配そうな視線を向けられても、ただただ困惑しているだけだった。それも、首をコテッと傾げながら。


 そんな幼気(いたいけ)なワルツの反応を見たハイスピアは尚更に思う。


「(無理かな……)」


 見れば見るほどワルツが幼く見える気がする……。そんな心配がハイスピアの脳裏をかすめる。


 対するワルツも思う。


「(先生、こっち見て、何を言いたいのかしら?)」


 何か言いたいことでもあるのか……。ワルツがハイスピアに事情を問いかけようとすると、ハイスピアはフルフルと何かを振り払うかのように首を振ってから、再び皆に向かって話し始めた。


「ラニアには、私の他、教師が何人か同行する予定ですので、迷宮に入れないなどの、どうにもならないトラブルが起こった場合は、最寄りの教師を頼ってください。ただ、内容によっては減点の対象となることも忘れないように」


 自分たちで対処可能なことは、可能な限り自分たちで対処する事。そんな当たり前のことを副音声に載せて、ハイスピアは助言を口にした。


 そんな中——、


『はい、先生』


——今度はポテンティアが手を上げる。


「はい、なんでしょう?ポテンティア……さん」


『えっと、移動手段についてお伺いしたいのですが、何を使用しても良いのですよね?』


「えぇ、何を使っても構いません。むしろ、早ければ早いほど、授業が早くおわr……進むので、私としてはありがたいです」


「「『なるほど……』」」


 その言葉に、約3名の目が光る。具体的には、ポテンティア、ルシア、それにワルツの3人の目が。


あと1日更新が遅ければ、サブタイトルのゾロ目と日付がグランドクロスして、うちゅうのほうそくがみだれておった——かもしれぬのじゃ。

しかも、投稿時刻がいつも大体PM11:00という……。

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