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14.9-23 遭遇23

 一方、その頃。


「ふーん。ポテンティアが友達を家にねぇ……。まぁ、家の中を見せるだけだし、いいんじゃない?見せるものなんて、何にも無いと思うけれど……。あ、地下はダメよ?」

「私も別に問題は無いかなぁ」

「……妾の部屋にさえ入らねば」

「私も問題はありません」


 ポテンティアは、学友の自宅来訪について、ワルツたちに許可を求めていた。その結果は、前述の通り。概ね問題は無かったようである。


『では、外で待たせているので、連れてきますね?』


 ワルツたちの返答を聞いたポテンティアは、早速、家の外で待たせているミレニアたちのことを呼びにいったようである。そんな彼の背中を見送りながら、ワルツは感慨深げにこんなことを口にした。


「ポテンティアが友達を家に連れてくるなんて……。なんて言うか、世も末よね……」


 そんな姉の発言に、ルシアが苦笑を浮かべる。


「世も末、っていうのは、ちょっと可愛そうじゃないかなぁ?ポテちゃんが連れてきたのって、ちゃんとした人間のお友達みたいだし……。これでもしも、連れてきたのが虫のお友達、って言うなら、世も末……ううん、私自身が世の中を終わらせるけど」


「「ちょっ?!」」


 と、ルシアが、シレッとアポカリプス宣言を口にしていると、事情がよく分からなかったのか、アステリアが顔色を変えずに口を開く。


「ところで、ポテ様は、自分の正体をお友達の方々に明かしたのでしょうか?」


「ああ、そういえばどうなんだろ?」

「まだ、明かしてはおらぬのではなかろうか?」

「もしもポテンティアが自分の正体をばらすようなことをすれば、友達ができるどころか、学院全体が大騒動になるはずだから、まだ正体は明かしてないんじゃない?少なくとも、今日は混乱していなかったみたい……」


「たしかに……。それにしても皆さん、その物言いだと、まるで、普段のポテ様にはお友達が出来ないように聞こえるのですが……」


「「「……えっ?」」」


「えっ?普段のポテ様のこと、私、別に嫌いじゃないのですよ?」


「「「え゛っ」」」


「えっ?可愛くないですか?森の中を散歩していたら、小さな虫さんに話しかけられるとか」


「そ、そう……だね……」

「そ、そう……ね……」

「……最早、何も言うまい」


 アステリア以外の3人は、揃って険しそうな表情を浮かべて、アステリアから目を逸らした。流石に、アステリアの発言には、同意できなかったらしい。


「も、もしかして、私、何か変な事を言ってしまいました?」


「う、ううん?変な事は言ってないよ?」

「えぇ……変な事は言ってないわ?」

「人それぞれの好みゆえ、何も問題は無いのじゃ。そう、何も……」


「そ、そうですか?(皆さん、問題しか無いような顔をしているのですが……)」


 急に空気が変わったせいか、アステリアが困惑していると——、


   ガチャッ


『お友達を連れて参りました』


——ポテンティアが友人たちを連れてやって来る。


 その途端、ワルツは家の中を走った。行き先は、居間の地下にある彼女の隠し工房。流れるように地面の扉を開け、その隙間に身体を滑り込ませて——、


   ガンッ!


「あぐっ?!」


——と、扉の角に顎をぶつけながらも、彼女は家の地下に姿を消した。


「今のすっごい痛そうだったね……」

「わざわざ隠れることなんて無いと思うのじゃがのう……」

「人それぞれの好み、ってことなんでしょうか?」


 慌てて姿を消したワルツについて、呆れた様子でルシアたちが話していると——、


『こちらが居間になっております』

「「お邪魔します……」」

「ただいま、戻りましたわ?」


——ミレニアとジャック、それにマリアンヌが、ポテンティアに連れられて、居間へとやってきた。


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