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14.8-02 試験2

「先生!その試験って、いつやるんですか?」


 ルシアがハイスピアに向かって問いかける。


 すると、ハイスピアはニッコリと笑みを浮かべて返答するのだが……。その言葉を聞いていたワルツにとっては、まるで死刑宣告をうけるかのように聞こえていたようだ。


「明日です」ニコォ


「あ、明日……」げっそり

「ずいぶんと急なのじゃ」

「まぁ、どうにかなるかなぁ」

『さりげなく授業は聞いていたので、その知識でどうにかなればいいのですが……』

「えっと……ワルツ先生が死んだ魚のような目をしてますが、大丈夫でしょうか?」


 ワルツの異変に気付いたアステリアが発言すると、皆の視線がワルツに向けられる。


 対するワルツは、皆からの視線を集めていても、あまりのショックゆえか、恥ずかしがるような様子は見せず……。ゲッソリフェイスを浮かべたまま、ハイスピアへと文句と疑問を投げつけた。


「先生、魔法の授業なんてやってませんよね?どんな試験をやるつもりなんですか?」


「何てことはありません。入学試験で皆さんが受けたような実技試験をそのまま繰り返すだけですよ。ただ、入学試験の時は、魔法の質や強さを確認していて、的を壊すのは必須ではありませんでした。それが中間試験以降は的の破壊が必須になります。細かく言えばもう少し違うのですが、まぁ大体そんな感じです。試験なのですから、内容までは詳しく言えませんよ」


「はぁ……分かりました。とにかく的を壊せば良いってことですね」


「正確には、的を壊すことが必須なだけで、的を壊しても点数は加算されません。魔法の質や練度を中心に評価するという形になります。的を壊すのに、大も小も無いですから」


「あ、はい……」げっそり


 ハイスピアの説明を聞いても、ワルツのゲッソリフェイスは改善しなかった。むしろ、現実を再確認させられたせいか、どん底に落ちたようである。


 そんなワルツが魔法を苦手にしているという事を察したのか、あるいはこれまでの出来事から薄々感じ取っていたのか……。ハイスピアはワルツに言った。


「大丈夫ですよ。ワルツ先生。ワルツ先生ならきっと出来ます!」


 励ましの言葉を受ける度に、ワルツの心にダメージが蓄積されていくためか……。彼女はハイスピアに言った。


「……では、ハイスピア先生。私の入試、覚えていますか?私がどんな魔法を使ったのか……」


「ワルツ先生の……入試の時の魔法……?……うっ!頭が……っ!」


「まさか、その台詞をここで聞けるとは思わなかったわ……。でも。ホントどうしたら良いのかしら……」


 頭を抱えて蹲り、そしてその内、「あはははは〜☆」と壊れ始めたハイスピアのことを横目に見ながら、ワルツはポツリと零した。


 すると、最初にテレサが口を開く。


「また、妾の言霊魔法でハイスピア殿の記憶を書き換えるというのはどうかの?」


 続いてルシアが言う。


「私の魔法(オートスペル)なら、お姉ちゃんが魔法を使ったように見せかけることも出来るよ?」


 そこにポテンティアが続く。


『僕も魔法が使えないので魔法の試験をどうすれば良いのか悩ましいですが……でも、きっと、どうにかなりますよ!』


 最後にアステリア。


「安心してください、ワルツ先生!落第するときは私も一緒です!」


「……ありがとう、皆。なんか少しだけ元気が出てきたわ。だけど、そういうの、教員の前で堂々と言うのはちょっとどうかと思うんだけど……」


「あはははは〜」


「あ、うん。大丈夫そうだわ。でも、困ったわねぇ……」


 今回の試験はどうやって乗り越えるのか。さらに次の試験、さらにさらに次の試験はどうやって切り抜けるのか……。うまい解決策が思い付かなかったワルツは、そのまま机に突っ伏してしまうのであった。


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