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14.3-25 中央魔法学院16

タイトルのナンバリングを間違えておったゆえ修正。

「真っ暗な中を歩くとか、ホント自殺行為よね。魔物に襲われて大混乱していたときなんかは笑っちゃったわ?」


「これがせめて真っ暗でなければ、もう少し対応する方法もあったかもしれぬのにのう?功を焦って墓穴を掘るというのは、まさにあのことを言うと思うのじゃ」


 ワルツとテレサは自宅への帰路を歩きながら、戦果について話し合っていた。公都からやってきた兵士たちが森で迷った理由は、敢えていうまでもなく、ワルツたちが原因だったのである。


「なかなか良いアイディアだったと思うわ?森の中に円形の道を作って、その中をグルグルと回させるとか」


「いやいや、ワルツがおったからこそ出来た作戦なのじゃ。一人で道を切り開いておったなら、どんだけ時間が掛かったかも分からぬからのう」


 そんな2人の会話の通り、兵士たちは円形に繋がった道をグルグルと回っていたのである。道を作ったのはワルツ。兵士たちを街道から外れさせて、円形の道に誘い込んだのはテレサの幻影魔法。作戦が成功した直後に感づかれた時は、2人とも笑みを堪えるのに必死だったようである。


「しかし、いつまでもあの場に捕らえておくというのは難しいと思うのじゃ。太陽が出てくれば方角も分かるし、転移魔法を使える者がおれば、一辺に全員を運べぬとしても、ゆっくりと救出することは可能じゃからのう」


「足止めが出来ればそれで十分よ?朝、学校に行ったら滅んでいました——なんてことにならなければ、ね」


 自分たちの知らないところで、学院が破壊されたり、占拠されたりしなければ良い……。普段、ワルツは争いごとに首を突っ込みたがらない(たち)だが、自動杖の技術を学びたいという気持ちがかなり大きかったらしく、今回ばかりは静観するのを止めることにしたようである。もちろん、積極的に首を突っ込もうとしていた、というわけでもないのだが。


  ◇


 次の日の朝。


「……も、もうだめかも知れぬ」げっそり


 テレサは目の下に大きな隈を作っていた。理由は単純、寝不足だ。


「あー、ごめんごめん。そういえばテレサって眠るんだったわね」


 テレサ(とコルテックス)は機械であっても眠るのである。そのことをすっかりと失念していたワルツは、テレサに向かって両手を合わせて謝罪をする。


 一方、朝になって起きてきたルシアとアステリアは、昨晩、留守番だったためによく眠れたらしく、2人の目許に隈は見受けられなかった。そんな彼女たちは、ワルツたちのやり取りを見て、なにやら気配を察したようだ。


「あれ?もしかして、お姉ちゃんとテレサちゃん、夜の内にどこかに行ってた?」

「2人で何か作っていたんですか?」


「まぁ、ちょっと、ね?」

「うむ。強いて言うなら……大きな鳥かごを作っておったのじゃ」


「「鳥かご?」」


「まぁ、鳥かごっていうか、人かごっていうか……」


 そのいつも通りに煮え切らないワルツの発言を聞いて、ルシアは姉たちが何をしていたのか、ようやく気付いたようだ。


「もしかして、公都から兵士さんたちが来てたの?」


「鋭いわね……」

「鋭いの……」


「言ってくれたら手伝ったのに……」


「(だから頼まなかったのよ……)」

「(だから頼まなかったのじゃ……)」

「(なるほど。だから頼まなかったのですね)」


「……なにさ?」


 ワルツもテレサも、さらにはアステリアでさえも、自身に向かって何とも表現しがたい視線を向けていることに気付いて、ルシアは不満げに頬を膨らませた。


 その後、4人はしっかりと朝食を摂って……。そして中央魔法学院へと出発した。

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