表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2469/3387

14.1-24 失踪1

 ジョセフィーヌは、ルシアから受けた"追加で2名入学させたい者がいる"という要望について、少しの間、考えた。対価も無しに受け入れるべきか悩んだのだ。


 ただ、先にワルツから指摘があったとおり、学生として学院に在籍するだけで、ワルツやルシアたちが異国の技術(?)を学院内で漏らし、それをレストフェン大公国の力として吸収できる可能性は否定出来なかった。ワルツからポンプ関連の技術を提示されずとも、放っておくだけでレストフェン大公国としては新たな技術を手に入れられるかも知れないのだ。それが2人から4人に増えればなおのこと。


 しかも、ワルツにしてもルシアにしても、知識的、魔力的に、並みの学生には無い力を持っているのである。そんな2人と、彼女たちの知人が学院に入れば、学院で研究している自動杖とは関係の無い事柄も更なる発展を遂げるかも知れないのだ。


 もはやメリットしか無い……。そんな結論に至ったジョセフィーヌに否やは無かった。


「……良いでしょう。ただし、合計で4人までです」


 流石に何人でも入学を斡旋するというのは無理だったので、ジョセフィーヌは4人限定で入学を斡旋することに決める。


 その返答を聞いたルシアは、ワルツが引く程に大喜びだった。学生になれることが嬉しかったのは間違いないが、その他に理由があったかどうかは定かでない。


  ◇


 ポンプを動かすモータに対し、電力の供給が必要で、そのためには自動杖が使えそうだという話を詳しくジョセフィーヌに説明した結果、まぁ、当然と言うべきか、電気工学が発展していないこの世界の住人たるジョセフィーヌには、ワルツの話を理解することは出来なかった。ただ、ルシアが雷魔法を使ってモータを回した姿を直接見ていたので、自動杖を使えば同じようにしてモータが回せる事については、ジョセフィーヌにも容易に理解出来たようである。


「では、公都に戻ったら、この"もーたー"というものを動かすための自動杖をご提供しましょう。その対価と言ってはなんですが……」チラッ


「……公都にもポンプが欲しいって?」


「…………」にこっ


「…………まぁ、しゃぁないわね」


 ワルツが言葉で技術を教えるよりも現品を提供した方が早いのは間違いなかった。ゆえにワルツは、ポンプをジョセフィーヌに渡す事を決めるのだが——、


「別に新しく作らなくても、これでいいわよね?」


——新しく作るのではなく、地下空間を維持するために作り上げたポンプをそのまま提供する事にしたようだ。逆に、地下空間のためのポンプは、改めて違うものを作ることにしたらしい。自動杖が使えるかも知れない現状、自動杖に特化したポンプを作った方が効率的にも出力的にもサイズ的にも優れたものが作れると考えたのだ。


「えぇ、結構です」


「交渉成立ね」


 こうしてワルツはポンプの現物と引き換えに、自動杖を受け取ることになったのである。


 と、話が一段落したところで——、


「それじゃぁ、公都に戻る前に旅だね!旅!」


——ルシアがそんな事を言い出した。


  ◇


 ところ変わってミッドエデン。レストフェン大公国から数千キロ離れた大国の中では、それはもう大騒ぎになっていた。


「誰でも良いです!お姉様とルシアちゃんを捕ばk……見つけた者には、報奨金を差しあげます!さぁ、狩りです!狩りの時間ですよ〜?」


 突如として姿を消した国の重鎮——もとい、2人の町娘を本格的に捜索する大規模な国家事業(?)が始まっていのだ。国民総出の大捜索劇だ。それどころか、ミッドエデンだけでなく、隣国のエンデルシア王国やメルクリオ王国、オリージャ王国などの周辺諸国や、魔族の領域にあるボレアス帝国やアルボローザ王国などなど、大陸全土の国々が参加する大規模プロジェクトに発展していたようだ。それほどまでに、ワルツとルシアがいなくなるということは大変な出来事だったのである。どちらか1人でも癇癪を起こせば、その時点で世界は終わるのだから当然の出来事だったと言えるだろう。


 そんな中、ルシアたちがどこに行ったのか、おおよその目星を付けて行動している者たちがいた。


「ア嬢の村に何かヒントがある……ような気がするのじゃ」

「ですわね……」

『こんな分かりやすい場所にいますかね?』


 テレサ、ベアトリクス、ポテンティアの3人組である。彼女たちは、ルシアが故郷の村——リェステール王国の廃村へと向かったのではないかと考えて、探しにやってきたのだ。


この話をもうちょっと早く書きたかったのじゃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ