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14.0-04 新天地4

「「何の声?」」


 ワルツとルシアは揃って首を傾げた。ミッドエデンがあった大陸では聞いた事の無い鳴き声だったらしい。


 一方、村人たちの方は、ただでさえワルツたちの存在に怯えていたというのに、更にそれに輪を掛けるような恐ろしい鳴き声が聞こえてきたためか、いよいよ大混乱に陥っていたようである。村人の中には——、


「な、何の声だ?!」

「あいつらが連れてきたんじゃねぇのか?!」

「クソッ!何なんだよあいつらは!」


——と、ワルツたちが獣を連れてきたのではないかと疑う始末。


 その様子を見ていたワルツは——、


「(酷い村ね……。私たちが何かしたわけでもないって言うのに……)」


——と一瞬は思うものの——、


「(あ、でも、ここで魔物を倒して、私たちが連れてきた魔物じゃないって証明出来れば、ここに住んでも良いって言ってくれないかしら?)」


 

——すぐに考えを改めた。


「ルシア、ルシア?この声の主を倒して、私たちが敵対的な存在じゃないってこと証明したら良いんじゃないかなって思うんだけど?」


「……!そっか!それ、言い考えだと思う!」


「じゃぁ——」


「じゃぁいくね?」


「えっ……?」


 ワルツが「じゃぁ、魔物を探しに行きましょうか」と口にする前にルシアが動く。彼女が空に向かって手をかざすと、そこから光球が放たれて空高く上がり、ある程度の高さで静止ししたかと思うと——、


   ギュゥンッ!

   ……ズドォォォォン!!


——突然加速して、目にも留まらぬ速さでどこかに飛んでいき、爆発を起こしたのだ。いや、正確には爆発音だけが聞こえた、というべきか。


 そして最後に——、


   ブゥン……


——転移魔法である。ルシアは、爆心地にいたと思しき魔物の亡骸を、転移魔法で呼び寄せたのだ。


「便利ねぇ……。貴女の転移魔法。私が出る幕がこれっぽっちも無かったわ?」

「自分自身が転移出来ないから、個人的にはあんまり便利だとは思えないけどね……」


 真っ黒になってプスプスと音を上げる魔物の亡骸を前に、そんなやり取りを交わすワルツとルシア。


 ルシアが狩ったのは、大きなサルのような魔物だった。毛の色は不明。むしろ、毛が生えていたかどうかさえ不明と言うべきか。


「へぇ?この森、大きなサルが住んでいるのね?むしろゴリラ?」


「これ、お猿さんなの?黒くてよく分からないんだけど……」


「あ、うん……。次はもう少し手加減すれば、原型くらいは留められるんじゃない?」


「良いだけ押さえたつもりなんだけど……もっとやらなきゃダメかぁ……」


「そ、そう……」


 妹も色々大変なのだな、と思いながら、ワルツは視線を村人たちへと向けた。魔物を狩ったことで、自分たちに敵対的は意思はない伝えようとしたのだ。……それも、したり顔で。


 しかし、彼女の表情は、すぐにスッと無表情になった。理由は単純。村人たちの姿がその場から消えていたからだ。どうやら皆、ルシアの魔法を見て恐怖に慄き、家に引き籠もるか、逃げ出してしまったようだ。


「あ、あれ……?村の人がいない……」


「うん?あれ?ホントだ……」


「……これって、村に入っても良いって事かしら?」


「良いんじゃない?とりあえず、開いてそうな区画があったら、そこを使わせてもらお?家建てるの久しぶり!」


「そ、そうね……(ルシアの適応力、半端ないわね……)」


 自分がおかしいのだろうか……。そんな不安を抱きながら、ワルツはルシアと共に、村の方へと歩いて行ったのである。


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