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5後後後-07 合流

チュン!

チュウィーーーン!


・・・何やらネオンのごとく光り輝く宿屋の一室。

郊外の高速道路を走っていると見えてくるホテルのようなもの・・・ではない。

ルシアが国王と戦っているのである。


(うわぁ・・・中が気になるけど、ホログラムが無いから見えない・・・)


人の身体を構成していたワルツのホログラムシステムは、とある構造によって、人体側の目からも周囲を確認できていたのである。

だが、それがない以上、機動装甲の姿では窓から覗くくらいしか、内部を伺う手段が無かった。


なので、部屋の中を覗き見ようとワルツが重力制御を使って浮かび上がると、


「あの糞ガキ、俺を見た瞬間に攻撃しやがって・・・」


何故か2階の窓からタイミングよく国王が出てきた。

なので、


「・・・」


バァンッ!!


と、ワルツの右手によるビンタが炸裂した。


ドゴォン、バキッ、グシャ・・・


近くにあった商店の看板を破壊して、地面に勢い良く衝突した後、その先にあった八百屋の屋台につっこむ国王。

なお、飛距離は42mである。

まぁ、飛距離に関係なく、ワルツの平手打ちを喰らった時点で、普通は即死するだろう。


『・・・』


外でその様子を見ていた仲間たちは、殺さないんじゃなかったの?、といった様子で絶句した。


(ここで、『・・・ふっ、気が変わったわ』なんて言ったらかっこいいのかしらね・・・)


なお、条件反射的なものだったので、思考はあまり関係なかったりする。


ワルツがそんなことを考えていると、


「・・・また、逃がしちゃった」


2階の窓からルシアが出てきて、国王が吹き飛んでいった方向を確認していた。

どうやら、ワルツの平手打ちを見ていないのか、勝手に国王が飛んでいったと思っているらしい。


「あ、そうだ。お姉ちゃんたちが外で待ってるよ・・・」


恐らく部屋の中にいるだろうカタリナ達にそんな言葉を向けながら、ルシアは再び部屋の中へと戻っていった。

・・・やはり、国王のことはゴキブリ程度にしか思っていないようである。


「ふぅ。これで、一段落ならいいんだけど・・・」


国王が突っ込んだことで吹き飛んだ八百屋の屋台にワルツが視線を向けるが、そこではスイカや屋台の骨組みなどが散乱しており、国王の姿を確認することは出来なかった。

そんな屋台の修繕費は・・・恐らく、エンデルシア王国政府から出ることだろう。




それからまもなくして、


「お待たせしました」

「なんか久しぶりな気がするな」

「ご無沙汰しております。お姉さま」


出発の準備を整えたカタリナ達とルシアが外へと出てきた。

皆、空中に浮いているワルツの腕に向かって言葉を掛けて来たところを見ると、ワルツが透明になっていることをすぐに察したらしい。


狩人やテンポは当たり前だが、カタリナの目の下に隈が無いところをみると、今日はちゃんと寝たようである。

・・・まぁ、彼女が目の下に隈を作っているところを、ワルツは見たことがないのだが。


「こっちこそ待たせたわね。カタリナ?なんか、痩せたんじゃない?」


挨拶がてらにワルツが言ってみると、


「いえ、毎日体重計測をしていますが、今のところ増えても減ってもいませんね。残念ながら」


そんな言葉が返ってきた。

流石はワルツパーティーの医療担当なだけあって、体調管理は徹底しているようである。


「そう。元気そうでよかったわ」


「まだ離れてから2日しか経ってませんけどね」


そう言って苦笑を浮かべるカタリナ。


「さてと、じゃぁゾンビたちを助けに行きましょうか」


ワルツが次の行動を告げると、


「・・・なんか、ワルツさん、本物の魔神か魔王みたいですよね」


カタリナがそんなことを口にした。


「えっ・・・なんで?」


「普通、ゾンビを助ける、なんて言う人、ミッドエデンにもエンデルシアにもいないですよ?」


その上、水竜(ドラゴン)が仲間にいて、魔王にも知り合いがいるのである。

魔王-勇者系の物語で言うなら、間違いなく勇者側の登場人物では無いだろう。


「私は一向に構いませんけどね」


そう言って目を細めるカタリナ。

彼女にとっては、自分の信念が貫ける立場なら、どちら側についていても構わないのである。


「・・・あれ?そういえば勇者は?」


2日前、勇者はゾンビたちについての情報を伝えるべく、エンデルシア国王の元へ行ったはずであった。


「いえ、こちらに来てからは未だ会っていませんね。自宅に戻っているのではないでしょうか?」


「ふーん・・・そう」


(勇者に自宅なんてあったのね・・・)


なお、住所不定なのはワルツとルシア位で、他のものには全員、帰る家があったりする。

まぁ、狩人の家は現在全壊しているが・・・。


「まぁ、その内、戻ってくるでしょ」


勇者を猫か何かのように考えているワルツ。


「じゃぁ、行きましょうか」


「はい」


そして、ワルツとカタリナを先頭にして、一団はゾンビたちを捕えている穴の方へと歩き出したのであった。




「・・・ねぇ、これ・・・どう思う?」


ゾンビたちのいる穴までやってきて、見えた光景に思わず呟くワルツ。


「・・・」


カタリナは言葉を失っていた。

一体何が起ったのか。


本来なら、


『あ゛ぁ〜・・・』

『うぅ〜・・・』


と唸りながら穴の中でうごめいていたはずのゾンビたちが、


「・・・どこにもいない・・・」


忽然と姿を消していたのである。


「えっと・・・ゾンビの処理が始まるのって、午後からよね?今何時?」


「10:39:21です。お姉さま」


正確な体内時計(?)を持っているテンポが時間を報告してくる。


「午後から処理が始まるという情報にも、間違いはないはずです」


と、ユリアが補足してきた。

情報部(仮)で仕入れただろう情報だろうか。

カタリナに聞かされた言葉とも相違は無いので、疑う余地はないだろう。


「・・・」


カタリナは、救うべきゾンビたちのいなくなった大穴を、眉を(ひそ)めながら、眺めていた。

少し手が震えているのは、気のせいだろうか。


その時である。


「どうだ?少しは俺のこと見直したか?」


などと言いながら国王が現れた。

どうやら、ワルツの平手打ちでは止めを刺せなかったらしい。


すると、すぐに魔法を放とうとするルシア。

だが、ワルツが彼女の前に手を(かざ)して制止させた。

彼の発言に、気になる言葉があったからである。


「・・・見直す、とはどういうことですか?」


「無論、ゾンビ達に対する措置のことだ」


カタリナの質問に答える国王。


国王の言葉をそのまま受け取るなら、つまり予定を切り上げて、(すみ)やかにゾンビたちを処分した、ということだろうか。

そして、その手際の早さについて、どうか、と問いかけてきたのだろうか。


そんな国王の言葉を聞いて、(うつむ)くカタリナ。

彼女も、ゾンビが消えてしまった原因が国王にあると思ったらしい。


・・・そして、我慢の限界が訪れた。

ドヤ顔を浮かべながら、眼の前に立つ国王に、彼女は光の無い眼を向けて、手を翳したのである。


すると、


ブクブクブク・・・!


と国王の身体が、筆舌に尽くし難い・・・というより、表現してはいけないようなグロテスクな体型へと変化を始めた。


「ちょっ・・・待て!洒落にならんって!」


そんな彼に、ルシアがレーザーやビームで攻撃を加える。


チュン!

チュウィーーーン!


「痛い!違う!ごか」


ドォォォォォン!!


キラン!


最後に、ワルツの平手打ちを下斜め45度の角度から受け、離陸した国王。

恐らく空に輝く星の一つになってしまったに違いない。

これで生き残っていたら、正真正銘の化け物だろう・・・。


・・・まぁ、既に見た目は化け物であったが・・・。


『・・・』


そんなエンデルシア国王の姿を無言で見送る仲間たち。

最早、同情する者は誰もいなかったようで、自業自得、といった視線を送っているのであった・・・。




「・・・ねぇ、カタリナ?そんなに気を落とさないで」


国王がいなくなった後に、地面にへたり込んでしまったカタリナに声を掛けるワルツ。


「・・・どんなに知識や技術を身につけても、私は何も守れないみたいですね・・・」


どうやら、カタリナの心が折れてしまったらしい。


「そんな事はない、って言っても説得力は無いわよね・・・」


「・・・今回ばかりは、疲れました・・・」


そう言うと彼女は、ゾンビたちのいなくなった広い空間を眺めながら、膝を抱えた。


「どうすればよかったんでしょう・・・」


もっと他にできることがあったのではないか、と反省するカタリナ。

眼と耳を塞いで自分の殻の中に閉じこもろうとしない彼女の様子を見る限り、信念までは曲がっていないようであった。


「私からはあまり無責任なことは言えないけど・・・そうね。貴女が限界だと思っているなら、それが限界だったんでしょうね。でも、もしもまだ何か出来ることがあったと考えるなら、まだ出来ることがあったんでしょう。答えにはなってないかもしれないけど、そういうことよ」


「・・・」


ワルツの言葉を聞いて、遠くの方を見るカタリナ。

本来たった2、3日で解決できるような問題では無いのだが、それでも何かできることがあったのではないか、そう悩むのであった。

むしろ、もう出来ることはない、と考えたくなかった、というべきだろうか。




しばらく同じ場所で、カタリナの気持ちの整理が落ち着くのを待っていると、


「ちょっとくらい話を聞けよ・・・」


と、再び国王が沸いて出た。

それも、元通りの綺麗な姿で。


そんな国王に対して、冷たい視線を送る仲間たち。


「・・・あのな。別にゾンビたちを殺したりしてないからな?」


『えっ・・・』


思わず国王の言葉を聞き返す一同。


「もう、昨日の夜の段階で、皆、人間に戻して、別の場所で収容させているだけだ。全員無事・・・とはいかなかったが、大半の者が無事だ」


と国王が忌々しそうに、口を開いた。


・・・どうやら、ワルツやカタリナには出来ないことを、エンデルシア国王はやってのけたようである。


剣士のことを完全に忘れておったので、3話ほど前を修正したのじゃ。

申し訳ない・・・。

なお、エネルギアでエネルギア少年と共に留守番している模様。

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