9.5-16 正体16
『……はい、届きましたよ〜?改めて見ると、すっごく気持ちが悪いですね〜。よくこんなに仕分けたものだと感心してしまいます』
「……じゃろう?妾、頑張ったからのう?」ドヤァ
「「…………」」ぷるぷる
『……ルシアちゃんとベアちゃん?次回は、期待してますからね〜?』
「うん……サボってごめんなさい……」
「もう、調子に乗って、テレサ一人だけに任せたりしませんわ……」
仕分けた虫たちがマクロファージ経由でミッドエデンに送り届けられた後。それについての感想を、受け取ったコルテックスが口にした訳だが、その言葉はその場にいた約2名(?)の者たちにとって、自分たちを責めているように聞こえていたらしく、2人ともしょんぼりとした表情を浮かべていたようだ。……なお、最後の1名は、部屋の中にはいたものの、透明になっていたこともあり、表情は窺えなかったりする。
「それで、コルよ?送った虫たちはどうするつもりなのじゃ?」
『それはもう、言葉にすると、18禁どころか128禁くらいになりそうな過激な話になりますが〜……それでも聞きたいですか〜?私は全然構いませんよ〜?』
「い、いや、そういう話はいらないのじゃ……。じゃがの?ここには虫たちがどうなるかを知らぬ者たちが2人おる上、しかも両名ともコルの役割を良く知らないと思うのじゃ」
『なるほどなるほど〜。つまり、私が大きな口を叩いている割に、実は裏で虫たちをそのままアトラスに廃棄処分させているのではないか、と誤解されることを懸念しているのですね〜?』
「まぁ……そこまでは考えておらんかったが、お互いの役割を共有しておくためにも、一言、説明があっては良いのではないかと思うのじゃ。……そうじゃろ?ルシア嬢にベアよ。虫たちがこれからどうなるのか、お主らも聞きたいのではなかろうかの?」にやり
「「ぐっ……」」
テレサのしたり顔を見て、かろうじてぐうの音を口にするルシアとベアトリクス。そんな彼女たちは、おそらくこう思っていたに違いない。すなわち——テレサにしてやられた、と。
すると、それを知ってか知らずか、コルテックスが、空気を読んで(?)、差し障りのない表現を選びながら、説明を始めた。
『妾〜?フラグを立てても、スプラッタなことは言いませんよ〜?さて〜……私が受け取った虫たちをどうするかについてですが、これから電子顕微鏡……まぁ、大きな虫眼鏡のようなもので覗いて、じっくりと様子を観察するつもりです。それで、あのチップから出ている毛が、どんな風に機能して虫たちを操っているのか、調べようと思っています。それと、どうやって使うのか、そして取り外す方法はあるのかも、一緒にね〜』
その説明を聞いて——
「確かに、気持ちの悪い部分は説明してなかったけど……どんなことをするのか、大体想像できちゃうのが嫌かなぁ……」
——と、素直に感想を口にするルシア。今までカタリナたちと一緒に行動してきた彼女にとって、具体的にコルテックスがどんな行動に出るのか、手に取るように分かったようである。
一方で、ベアトリクスは、ルシアと少々反応が違っていた。
「えぇ……そうですわね……。でも、私たちのことを傷つけまいとするコルテックス様のお気遣いは伝わってきましたわ」
「「……えっ?」」
『ほうほう?ベアちゃん。良いことを言いますね〜?えぇ、そうですとも〜。妾にスプラッタなことを言えと暗に強要されていることが分かっていても、お二方が傷つかないようにと思い、極力言葉を選んだのですよ〜?それがベアちゃんには分かっていたようですね。ベアちゃんとは、やはり、仲良くやって行けそうです』
「えぇ、私もですわ」にこっ
「「…………」」
と、急にコルテックスとベアトリクスが手を組んだ様子を見て、逆に言葉を失った様子のルシアとテレサ。やるせない気分とは、まさにこのことを言うのだろう。
と、4人が普段通りのガールズトーク(?)を繰り広げていると——
ガチャッ……
「今、戻りました」
——ベガの所に行っていたカタリナが、シュバルと共に部屋へと戻ってきた。
その様子を見て、自分の居場所を見つけたと思ったのか、ワルツが再び姿を見せる。
「お疲れ様?カタリナ」
「いえいえ……あ、そうだ。1つ報告してなかった事があったんでした」
「えっ?」
「ベガさんの部屋の前にいる衛兵の方々……ワルツさんも知ってますよね?」
「えぇ、知ってるけど、何かあったの?……あー、カタリナ、もしかしてついに……いえ、何でもないわ……」
「…………?えっと……その彼らの話なんですけど、私がベガさんの部屋に行っている間、一度も見かけなかったんですよ。そればかりか、ここからベガさんのところに辿り着ついて戻ってくるまでの経路に、兵士の方が誰もいなくて……」
「じゃぁ、セキュリティがザルって事?っていうか、ザルの目もないくらいにスカスカというか……」
「えぇ、そうなんです。ですから——」バッ
そしてカタリナがおもむろに白衣を広げると、そこには——
「…………」にゅるっ!
——と、カタリナの真似をして、白衣を広げるような素振りを見せるシュバルの他に——
「…………」ぐったり
——依然として意識のないベガと、バラの苗木が詰め込まれていたようである。
どうやらカタリナは、王城のセキュリティがあまりに脆弱であることに耐えかねて、魔王本人を誘拐することにしたようだ(?)。
……すっ。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
ズドォォォォン!!
東西に4000km、南北に3500km……。
超手抜きじゃが、未だ名も無き大陸の地図なのじゃ。
なお、北半球にあるのじゃ?
……え?ミッドエデンの下に何かあるじゃと?
さぁの?
まぁ、それは置いておいて。
簡単に地図の説明をするのじゃ。
『?』とか『???』と書かれておる部分は、まだ紹介しておらぬ国の名前なのじゃ。
ただ、今後、未紹介の国を、物語で取り上げるかは不明じゃがの?
全部紹介しておったら、いつまで経っても話が終わらからのう。
で、点線の部分が国境になるのじゃ?
具体的には、川か、山か、谷か、"大河"がその境目なのじゃ。
ちなみに"大河"が何処なのかは敢えて言わずとも分かるじゃろ?
真ん中の二重線の部分なのじゃ。
……横の方、どうなっておるのかのう……。
あと、『ゲンブ自治領(Gemb)』の点線についても言っておかねばならぬかのう。
あの場所はアルボローザ王国が、シラヌイ殿たち鬼人族に自治を認めておる場所ゆえ、国境の線とは別に細い点線を書いて区別したのじゃ。
……え?ゲンブもそうじゃが、オリージャのスペルも小さいのは何故か?
そりゃもちろん、日頃のベアに対する復sy……スペース的に、小さくせねば書けなかったからなのじゃ。
別に、小国じゃからといって馬鹿にしておるわけではないのじゃ?
……本当なのじゃ?
その他、さりげなく気候を考えた地形になっておるとか、その辺の詳しすぎる説明は……まぁ、せんでも良いじゃろ。
チラッと本文の所々で、気候については触れておるからのう。




