ウォルシード視点2
バァァン!!!!!!
勢いよく扉が開く可愛らしい女性が立っていた。そしてウォルシードの傍に来ると自身の腕をウォルシードの腕に絡ませて、目の前にいる王太子を睨み付けながら…
「ルード兄様!!!!明日からまたウォルシードを連れて視察に行くのね!!いつも連れて行かないでと言ってるじゃない。もういつになったらウォルシードを私の騎士にしてくださるの?」
「マリアンヌ…」
はぁ…と呆れながら王太子は溜め息をついていた。
「マリアンヌ様…。申し訳ありませんが腕をお離し下さい。」
ウォルシードは困った様子で言うと…
マリアンヌは
「イヤよ!!!!今日こそは私の言うことを聞いてもらうのよ!!それにウォルシードが結婚したこと許してないんだからっ!!!別れて私と結婚して頂戴!!」
「マリアンヌ様。申し訳ございませんがそれは出来ません…。」
ウォルシードは、はっきりとした声でマリアンヌに言った。
「なっ!?なんで…」
「いい加減にしないか!!マリアンヌ。」
マリアンヌの言葉を遮り少し怒りを含んだ声でルードジニアは言った。
「大体簡単にそんなことができる訳がないだろ!!それにアゼル家は代々国王陛下もしくは王太子に付く決まりだ…。知らない訳ではないだろマリアンヌ?」
「もっもちろんですわ…。今日のところは引き上げますわ!!でも私諦めた訳ではありません。失礼いたしますわ。」
マリアンヌは後退りしながら部屋から出ていった。
ルードジニアとウォルシードはマリアンヌが出ていった扉を見ていた。最初声を掛けたのはルードジニアだった…。
「すまない…あれは一番下で少し甘やかし過ぎた…。だが来月でもう16歳だ!!どこかの国に嫁いで王妃になるか有力な貴族の元か…。どっちにしても自身の立場をよく理解し、しっかりしてもらわなければならない…。」
ルードジニアは話は変わるが…と
「それよりも結婚して3ヶ月だか新婚生活はどうだ?上手くいっているのか?」
「上手くとは…。」ウォルシードは急に自分の結婚について聞かれて戸惑っていた。
「お前の事だ、仕事ばかりしてロクに家に帰ってないのだろう…。今回の視察が終わるとしばらく動かなくて済むだろうから夫人とゆっくり過ごすといい。」
「あ…あ。」
「しかしお前が結婚するとは思わなかったなぁ…。無口で無愛想で仕事バカだし…夫人は噂ではひどい女性らしいがウォルが選んだのだからいい女性なのだろ。」
「大事にしろよ。あまり家に帰らないと愛想尽かされるぞ。」ルードジニアは笑いながらウォルシードに言った。
幼馴染みの会話になり砕けたようにウォルシードは…「ルード…。お前が言うのか。」
「そうだな。私が連れ回しているな!!」そう言うと座っている椅子から立ち上がりウォルシードの傍に行き肩に手を置き…
「今日は早く帰るといい…。明日からの視察よろしく頼む!!」
「ああ…。もちろんだ。」といいウォルシードは王太子の部屋から出て行き、…屋敷にいるユーフェミアの事を想っていた。