5話
結婚式の後ユーフェミアはコルセットの絞めすぎて失神してしまった。前日、緊張し過ぎて寝つけなかったこともあり翌日の朝までぐっすり眠ってしまった。
ユーフェミアは目を覚ますとウォルシードはもう王宮に出仕していた。しかもその日から1ヶ月、王太子が隣国に視察に行く事となったのでもちろんウォルシードも一緒に付いていく事となった。その事が伝えられたのは辺りが薄暗くなった頃だった。
結婚から2ヶ月たってやっとウォルシードが視察から帰って来たが、夜遅くに帰宅し、また朝早く出仕していた。時には泊まり掛けで警護に当たる時もある。
そうするうちに自然と夫婦別々の部屋となった。ユーフェミアは男性が苦手だったので、寝室が別になって一安心したが、会話をする機会を失い話し声を掛けることも出来なくなっていた。
「旦那様に人見知りしてる場合ではないわ…家の借金の肩代わりしてもらってるんですもの。」
「今日こそは…どんなに遅くなってもウォルシード様が帰って来るまで寝ないわ頑張って話し掛けるわ!!」
ユーフェミアは勢いよく座っていた椅子から立ち上がり、メルにむかって言った。
「ユーフェミア様…」
メルは頑張り過ぎて空回りしないか心配していた。
「メル…また何かあったら相談にのってね。」
ユーフェミアにとってメルはメイドであり何でも相談できるお姉さんのような存在だ。
「はい、もちろんです。ユーフェミア様…。」
メルもユーフェミアのことを妹のように思っていた。
そんな二人を男性が影から様子を見ていた。