戦闘開始 5
拓也は素早く剣を合成生物の首に突き刺した。
ぴくぴくと動いていた合成生物はやがて動きを止めた。
拓也は自分と同じように戦っているであろう仲間に叫んだ。
「足を狙え!!」
そのまま拓也は周りにいる合成生物の足を斬り捨てていく。
とどめをさすよりも足を斬っていった方が危険が少ないと考えたのだ。
ドサドサと次々に合成生物は地面に倒れる。
他の場所からも同じように合成生物が倒れていくのが見えたため、拓也の声は仲間に聞こえていたことが分かった。
そこからはあっという間だった。
わずか五分ほどで地面は合成生物に埋め尽くされた。
拓也たちはお互いの顔を見て、全員が無事なことを確認すると安堵したように顔を緩ませた。
すべての合成生物にとどめをさし、六人は再び中央に集まった。
茜は一度小さく笑ったが、すぐに凌と功祐を睨んだ。
「……あんたらのせいで手間取った」
「「うっ……」」
「すごいのは分かったけど、合成生物倒すたびにこんな喧嘩されてたらいつか本当に誰かが死ぬよ」
「……悪かったよ」
「ごめん」
二人は項垂れながら謝った。
その姿はどこか小さな動物を思わせる。
「すごいと言えば、拓也もすごいかったねー」
「……え?」
友莉の唐突な言葉に拓也は少し驚いた。
「何で?」
「えー? わからないのー?」
友莉はゆったりとした口調のまま、目を見開いた。
「拓也、合成生物のこと気づくの早かったよねー」
「……あ、そんなこと?」
拓也は特に気にした様子もなく頷いた。
「音が聞こえたから」
「……いや、聞こえなかったよ?」
明日香が苦笑する。
茜はため息を吐く。
「……まあ、いいや。とにかく全部の合成生物を倒さないと……」
「あー、それなんだけどさ」
茜の言葉をさえぎって功祐が腕時計型の機械を五人に見せた。
「……もうクリアっぽい」
「……へ?」
五人は自分の時計型通信機を見た。
その小さな画面には『1ーD Clear』という文字が映っていた。
それを見た瞬間、凌が地面に座り込んだ。
「はー……」
「お? どうかしたのか?」
功祐の問いに凌は苦笑した。
「いやー、終わったと思ったら腰が抜けたわー」
「いや、まだ終わってねーよ」
「むしろ始まったばっか」
茜と功祐の言葉を聞きながら拓也は自分の剣を見つめた。
――そうだ。ここからが本番だ。
拓也は自分に強く言い聞かせた。