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戦闘開始

 六人は先へ進む。

 しばらくすると横にスライドする仕組みの扉が見えた。

 その隣に、拓也たちがこの建物に入って来るときに押したボタンがあった。

 ボタンの上には『1-A』というプレートが付いている。

「……どうする?」

 拓也は扉の前に立って周りを見回した。

 拓也の問いを聞いて凌が首をかしげた。

「入るんじゃねぇの?」

「いや、そうなんだけどさ……」

「――この中に入ったら本当に命を懸けなきゃならない。だから、その心の準備はできてるか? ってことだよね?」

 明日香の言葉に拓也が嬉しそうにぶんぶんと首を縦に振った。

「そうそう!」

「……私はもう、ここに連れてこられた時から……『あれ』が始まってから決まってるよ」

 明日香は悲しげに笑った。

 功祐はニッと口の端を上げる。

「俺も」

「あたしだって」

「私も……って言いたいんだけど、今決めたー」

「お、俺も決めてたぞ!」

 一拍遅れて凌が三人に続いた。

 絶対に引くもんか、という気持ちが五人から滲み出てきていた。

「……俺も」

 拓也も頷いた。

 そして、扉から離れる。

「え、ちょっと拓也?」

「あっちにしよう」

 茜の呼びかけに拓也は通路の奥の方を指さした。

「え、こっちじゃ駄目なの?」

「い、いいんだけどさ……」

 拓也は扉の下の方を指さした。

「……」

「……奥に行こう」

 それを見た茜が顔を青くしてその場から離れた。

 床と扉のわずかな隙間から血がじわじわと出てきていた。

「うわわわっ、待てよ……」

 功祐は呻きながら先へ進む二人を追った。

 そのあとを残りの三人も後を追う。


 『1-D』と書かれたプレートの前で拓也と茜は足を止めた。

「ここでいいかな?」

「あたしは混んでなきゃいいと思うけど。……さっきみたいなことになってなければ」

 六人は少し口を閉じた。

 沈黙が流れる。

 おそらく『1-A』の部屋は人が多すぎて中の人間がパニックになったせいで死者がでたか、合成生物が強すぎて逃げる時間もないまま殺されたのかのどちらかだろう。

 どうしても六人は後者を考えたくはなかった。

「……早く行こうぜ。後れを取りたくないだろ?」

「……そうだな」

 拓也は一度深呼吸をした。

 ――また、あれの前に立たなくてはならない。

 ……いや、次は戦わなくてはならないのだ。なお危険である。

「拓也」

 そのとき、友莉が拓也の隣に並んだ。

「せっかく記念すべき最初なんだから、皆でこのボタンは押そうよ」

「え?」

「そうだなぁ」

「まあ、ボタンちっさいけどさ」

「皆、人差し指だけで押せばいけるでしょ」

 拓也の隣に他の四人も並ぶ。

 五人はすでに人差し指でボタンに触れている。

 拓也は小さく笑う。

「そうだな。――いくぞ」

「「「せーの!!」」」

 六人は一斉にボタンを押した。

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