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手続き 6

「ええ!?」

 拓也は功祐と凌を交互に見た。

 凌はうんうんと何度も首を縦に振っている。

 本音を言うならば、人数が増えることはありがたい。

 しかし、茜と友莉に何も言わずに決めてしまうというのはどうなのだろうか。

 拓也が考えているとそれを悟ったのか、功祐がより一層意地悪い笑みを浮かべた。

「逆に、今のお前の言い方だと他に男子がいないみたいな言い方だったけどさ、そっちの方が困ると思うよ」

「どういうことだ?」

 拓也が首をかしげると功祐がガクッと肩を落とした。

「だからさ、お前女子と行動することになるだろ!?」

「……」

 拓也は少し動きを止めて、しっかりと功祐の言葉の意味を考える。

「お? 拓也ー?」

 凌が動きを止めた拓也を不思議そうに見る。

 拓也の顔がみるみるうちに赤くなっていった。

 拓也はそのまま俯いて、呟いた。

「……わかった。聞いてみる」

「了解」

「おっしゃ!」

「とにかくまず着替えないとな」

「おう……」

 功祐の言葉に拓也は小さく頷いた。

 その三人の横をスッと誰かが通り過ぎた。

「あ、カマだ」

 凌の声を聞いて、二人も思わず凌の見ている方を見る。

 そしてすでに数メートル先を歩いている少年を見つけた。

 少年はもう着替え終えていて、フードをしているため顔が認識できなかったが自分の背丈と同じくらいの大きさのカマを片手に持っていた。

「ありゃ、目立つなぁ。んでもって、使いづらそう」

 功祐が苦笑した。

 拓也は少年が部屋を出ていくまで黙って見つめていた。

 カマを持っているせいか、彼の後ろ姿はどこか『死神』を連想させた。


「な、何だよ……」

 拓也と功祐より一足早く着替え終わった凌は功祐の体をまじまじと見た。

 功祐は少し顔を赤くしながらタンクトップを着た。

「いやぁ、お前小さいのにこう、ひょろひょろしてないんだなぁって」

「ちっさい言うな!!」

 功祐がすかさず叫ぶ。

 小柄な功祐だが、服からあらわになった功祐の体は筋肉が引き締まっていた。

 恥ずかしくなったのか、功祐は先ほどよりも着替えるペースを上げた。

 拓也と功祐が着替え終わっても男子の半分以上はその部屋に残っていた。

「あ、パンツは脱がなくていいよな?」

「大声でパンツとかいうな!」

 凌の質問に功祐はため息を吐いた。

「じゃあ、着替えは?」

「置いてけばいいんじゃないか?」

「そっか」

 三人の周りにもいくつかの着替えが床に落ちていたため、三人も制服は置いていくことにした。

 三人はそれぞれの武器を持って部屋を後にした。


 部屋を出ると黒スーツの男がいたが特に何も言われなかったため三人は黒スーツの男の横を通り過ぎ、先へ進んだ。

 少し先へ進むともう一つの別れ道と合流した道があった。

 そこに、茜と友莉が待っていた。

「遅い」

「ごめん」

「まぁまぁ、茜」

「……そっちの二人は?」

 茜が拓也の後ろにいた二人を目にとらえた。

「あ、えっとさっき知り合ったんだけど……協力しないかって」

 拓也の言葉を聞くと茜は少しほっとした表情を見せた。

「なんだ、そっちもだったのね」

「へ?」

 拓也は茜の言っていることの意味がよく分からなかったが、そこでやっと二人の隣に見覚えのない女子がいるのに気が付き納得した。

 髪は癖のないショートカットの少女でどこか綺麗という印象を受ける。

「人数は多い方がいいと思ったの」

「茜ったら、これ以上女子増やして拓也が困らないかとか色々考えててねー」

「ちょっと、友莉!」

「茜……。お前、いい奴だったんだな」

「どういうことよ!」

 叫んでから凌たちの視線に気づき、茜は咳ばらいをした。

「……とにかく、まずは自己紹介からしない? メンバーも倍になったわけだし」

「そうだな」

 六人は簡単に自己紹介をした。

 そのとき、拓也は凌がそわそわしているのに気が付いた。

 その隣で功祐がにやにやとしている。

「……凌?」

「……へっ?」

 凌はチラチラと先ほどの女子――七々木(ななき) 明日香あすかの方を見て顔を赤くしているのを見てなんとなく状況を悟った。

「ふーん? 凌、ああいう子がいいんだな」

「なっ、にっ!?」

 明らかに動揺する凌がおかしかった。

 茜が拓也たちを見てため息を一つ吐いた。

「ふざけてないで行くわよ。周りに乗り遅れるでしょ」

「おう」

 こうして拓也たちの長い戦いは幕を開けたのだった。

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