手続き 5
ガコン、と再び音がして床が止まった。
「……地下か」
功祐が眉間にしわを寄せ、呟いた。
その時、何度目かの男の声がした。
『諸君、手続きご苦労だった』
その瞬間、話声は空気に吸い込まれていったかのように消えた。
『手続きをした諸君に配ったのは武器二つ、時計型通信機、服だ。諸君にはこれからしばらく合成生物と戦ってもらうことになる。諸君が今いるのは地下六階だ』
「結構下だなぁ」
「ちょ、うっさい」
凌の独り言を功祐が小声で制した。
『一つの階に十個の部屋がある。諸君はその部屋一つ一つにいる合成生物をすべて倒してくれ。その階すべての合成生物が倒されたら、上の階へと上がれることになる。部屋は全部で五十個ある。すべての合成生物を倒せば諸君はこの建物の外から出ることができる。なお、必要最低限の物資は一ヶ月の最初に諸君の今いる部屋に置いておく。しかし、それぞれ異性のいた部屋へと入ることはできない。また、諸君には必ず手続きの後に渡された服と通信機を着用することが義務付けられている。ただし、それぞれタンクトップになることは許可する。この二つのことを破った場合、諸君の部屋の外にいる人型ロボットによって処分されることを覚えておくように』
「げっ……」
「黒スーツの奴ら、外にもいるのかよ……」
拓也と凌がうめいた。
『時計型通信機についてはマニュアルを読んで活用してくれ。では服を着替えた者から外へ出るように。健闘を祈る』
そこで男の声はきこえなくなった。
「何が『健闘を祈る』だか」
功祐が苛ついたように頭を掻いた。
部屋の中は騒がしくなった。
それを横目で見た後、功祐ま二人に向き合った。
「……これからお前らはどうすんの?」
「どうすんのって言われてもなぁ」
「まぁ、俺は女子と合流しないと……」
「ええ!?」
拓也の言葉に凌がやけに驚いてみせた。
「な、なんだよ……」
「俺、お前と行動する気でいたんだけど!?」
「……話が食い違ってるぞ」
「……そんなこと言ったつもりはないけど」
「拓也ー。冷てぇこと言うなよー」
「……でも、実際に外に早く出たいって言うなら協力は必要だと思うけど? 人数も多い方がいいと思う」
「……つまり、功祐は何が言いたいわけ?」
功祐は薄く笑ってみせた。
「俺と凌もそこに入れろよ」