手続き 4
手続きを済ませた部屋からでて、長い通路を歩いていると少し奥の方に立っている凌の姿を見つけた。
「あれ、凌?」
「拓也、遅かったな。俺の倍はかかってるって」
凌は足元に大きな両手剣を寝かせていた。
「……でかくね?」
「でかい。重い。だから休憩のついでにお前待ってたの。お前が長引いてたおかげで結構これの使い方もわかったけど」
そう言って凌は腕についている時計のようなものを拓也に見せた。
「すごいぞ、これ」
「何が?」
「いろんな機能がついてる」
「へぇ」
「たとえば、メールとか、電話とか、図鑑とか」
「ケータイみたいだな……って、図鑑?」
「何か、よく分かんないんだけど」
「……今さっきわかったって言ってなかったか?」
「他にも色々……っと、いい加減移動すっか」
先ほど出てきた扉から男子が出てきたのを見て、凌が両手剣を拾って先へ進みだした。
「早くない?」
「お前が遅いんだって」
拓也は凌に続いて先へ進んだ。
先へ進むと、また扉があった。
中は先ほどよりも少し狭い部屋だった。
拓也たちが後ろから数えて大体十人目だったのもあり、ほとんど人数はそろっていた。
全員が何かしらの武器を持っていた。
それは人それぞれ違ったが、男子のほとんどが剣を持っていた。
拓也と凌は適当なスペースに座ろうとした。
だが、そのとき凌の腕が一人の少年の頭にあたった。
「!?」
「あー、ごめん……ってちっさ」
凌が少年に謝ろうと思い向き直ると、思わず声が漏れてしまった。
「ああ!?」
少年は頭にきたらしく、凌を睨み返した。
しかし、確かに少年は小柄だった。
凌の顎あたりに頭があるのだから、凌が小さいと言いたくなるのも理解できる。
……本人に言うのはよくないが。
「あ、わりぃ」
「っ……」
凌が素直に謝ると、顔を真っ赤にしていた少年だったが凌から目を離して大人しくなった。
「……」
「なぁ、悪かったって」
「……別に」
少年はぼそりと言った。
「なぁ、お前名前なんていうの?」
凌は関わった人間の名前でも聞いておかないと気が済まない性格なのだろうか。
少年は不機嫌そうに顔をしかめたが、口を開いた。
「……手代木 功祐」
「そっか、俺は轟 凌で、こっちが横浜 拓也な!!」
「横山だ!!」
そのとき急にガコン、と床が揺れ、ゆっくりと下へ落ち始めた。
ふわっと浮く感覚がした。
「わ、でっけぇエレベーターだな」
「感心してる場合か!?」
功祐が凌の言葉に口を挟んだ。
床は拓也たちを乗せて地下へと降りていった。