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春の力
梅を見に行った。園の梅はほぼ満開で、さまざまな色の梅と、香りを楽しみながら歩いた。家族連れもちらほら見かけ、ほほえましい。
小さな子供に母親が、「ほら、きれいに咲いてくれたよ」と、花を見せていた。
日本は四季のある国だ。寒い冬に枯れた植物も、春になり新たな芽をつける。その姿を、強い、と感じる人は多い。特に災害などで荒れてしまった地から、また再び植物が芽吹く様子には、感銘を受けるのだろう。
けれど私は、この考え方に違和感を覚える。花は人のために咲いているわけではない。そういうものだから咲くだけだ。荒れ地に咲く花も、豊かな土壌に咲く花も、違いはない。植物はただありのままなだけだと思う。人が存在するずっと前から、そして人がいなくなったその後も、それは変わらないだろう。
“愛でるのは自由だけど、私は変わらない。たくさんの人が見ていようが、誰も見ていなかろうがね”