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Exit
膝を抱えて
長い夜を一人過ごす
窓の外は雨
押し黙った季節 遠い記憶
壊れてゆくものもどこか愛しくて
変わりゆく心 他人事みたいに眺めていた
瞳を閉じて
お気に入りの音楽を聴いて
ふと指先でなぞってみる
埃をかぶった壁のルノアール
色褪せてゆくすべて何故か切なくて
流れゆく時間 引き留めておく術もないままに
まるで白い絵の具に広がる黒い染みのように
たちまち変貌する気持ち 驚いて見ていた
Black shadow 真っ黒なカラスみたいに
Rainy exit
出口を探して誰もが彷徨っている




