白銀の世界で君と
白銀の世界に降り立った、君の鼻は少し赤い。
少しだけ震えていた手も段々とポッケから出てきて空を仰ぐ。
「綺麗だね」
日差しが降り注ぐ白い世界にいるのは君と私だけ。
瞳の奥にはこれからも続いていく希望に満ちた光が差している。
「雪って食べられるのかな」
いたずらに笑う君が、この時間が、尊い。
私がちょっと厳しいんじゃないかなっていうと、なんだか可能性の灯火が消えてしまいそうで。
微笑んで首をふるだけにした。
「雪だるまってかわいいよね。一緒に作ろうよ、ままは体ね」
小さい手で雪をすくう。
「つめたぁーーーーい」
家を出る前に手袋をすればいいのに、聞かないんだから。
ついついだから言ったでしょって言いたくなるところ
「つめたいから手袋ー!」
自分のポッケから丸まった手袋を取り出してつける。
ちゃんと自分の目で見て、感覚を養って気づいてちょっとずつ階段を登っているんだな。
「ぎゅっとしてかんせーーい」
嬉しそうに差し出す手には、いびつな丸。
「ままと合わせたら素敵だね」
屈託のない笑顔、雪のように美しい笑顔。
濁されていない、透き通った感性。
この笑顔をどうか少しでも曇らせることのないように守り抜きたい。
この雪は、やがて溶けて麓へ流れ人々へ水を与える。
豊かな潤いの中で私達は雪にどれだけの恩返しができるだろうか。
この子が大人になったときに、どれだけのキラキラした世界をつなげられるだろうか。
「ありがとうね」
そう伝え、子供をぎゅっと抱きしめる。
「ちょっとくるしいよ」
嬉しそうに抱きしめ返してくる小さな手。
この手を離さないようにいつまでも暖かい陽だまりになれますように。




