明日死ぬんだってさ
創作BLです
診断メーカーの《お題ひねり出してみた》で引いたお題『明日死ぬんだってさ、』で書かせていただきました。
なんだかんだ幸せな二人ですが、設定ゆるゆるなのでIQ低くして読んでください。
金曜の夜、十時。
二人で飯を食い、二人ともほどよく酒がまわった頃。
「あ、明日死ぬんだってさ、オレ」
「もぉぉぉ〜またぁ!?」
オレは未来が見える。いや、ホントに!ホントに見えるの!両親の死も、コイツとの出会いも、恋人になることも、まさかの抱かれる側になるってことも、オレには全部見えていた。
まぁ、数時間先の未来しか見えないんだけど。
「またって言うな」
「だってそれ全然当たんないじゃん!」
「うっ……」
確かに、確かにそうだけど。嘘じゃないんだ!ちゃんとオレが死ぬビジョンは見えてる。見えているんだが、何故かコイツといると迫り来る死を毎度神回避してしまう。
いや、めちゃくちゃ有難いんだけど。ホント感謝しかないんだけど。
死にそうになるたびにコイツのもとに駆けつける、もしくはコイツを呼び寄せねばならないのが面倒になって、とうとう一緒に暮らすことにした。
《俺のこと、絶対捨てないでね?だってあなたの命がかかってるんだから♡》
は?そんなこと言われなくても、オレはお前にベタ惚れなんだが?
はじめて自分の死が見えた時、いま目の前でまたかとウンザリしている恋人に告げた。(この時の死因は心臓麻痺の予定だった)
コイツはそりゃもう泣いた泣いた。当然だ、オレを愛してるからな。顔面からあらゆる液体を垂れ流し、大声をあげて泣きじゃくって俺も一緒に死ぬんだと喚き散らした。オレがいなくても幸せになってくれとオレも泣いた。二人で泣きながら抱き締めあって……気づけば朝を迎えていた。
あれ?オレ死んでねぇじゃん。
何はともあれ生きててよかったと、二人で泣きながら朝飯を食った。
そんなことを何度も繰り返しているうちに、最近ではコイツはオレに死ぬ死ぬ詐欺だとかなんだとか不謹慎なことを言うようになった。なんだよ、オレのこと愛してるくせに、生きてるオレをもっと喜べ。
「今度はなんで死ぬの?」
「言い方!……風呂で滑って浴槽の角で頭打って死ぬ」
「そんなベタな死因ある?」
その顔やめろ。
「死に方は選べん」
それじゃ一緒に風呂に入ろうといそいそとオレの服を脱がし始めた恋人に、いやいや風呂に入るのをやめたらいいんじゃないかと提案したら。
《二人で運命に立ち向かって行こうぜ》
なんてキメ顔でカッコ良さげなセリフを吐きやがった。
日付が変わった頃、オレは死ぬどころか風呂であちこち揉まれ、弄られ、揺すられていた。
別の意味で死にそうなんだが?