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消えていく

「策?一体どんな?」


「私の能力に賭けてみるのです」


シスの言う一か八かの策。シキの推測が正しいのならば依頼を解決し、この異様な世界からその友達を解放するためにはあの雲の上へと届かなければ意味がない。


当然、私にそんな能力はないし、サラも何か脚力が優れているわけでも、またそれを強化するような能力を持ち合わせているわけではない。


だが、シスの能力は風を自在に操る能力。おそらくシスの中ではそれを応用すればあの雲の上へ這い上がれる算段があるのだろう。


「お前の風の能力でやってみれば行けそうなのか?」


「ええ。可能性はあるにはあります」


「........わかった。お前に託してみよう。それ以外に方法も思いつかんしな」


サラもすかさずそのことに同意し、シスはすぐにでも作戦を実行するべく深呼吸を始める。


すると、私たちの隅々に流れている風という風がシスの方へと逆流を始めるように集い始め、先程までの静けさに抗うように風のけたたましさはこの世界の物たちとの共鳴を呼び起こし、私たちをその渦の中へと取り込んでいく。


「さあ。兄上!サラ!少し息苦しさがあるかもしれないけど、耐えてくれ!少しの辛抱だ!」


その言葉を合図に巨風の渦巻は雲へ向かって浮遊を始め、私たちもまるで飛行機の離陸時のような体をフワッと浮かせている感覚が伝わり、巨風の脈を打ち、血流が流れ出しているような密封された体内の中で小さな風の小軍団による目や口への妨害を何とか振り払いながら、徐々に上へ上へと這い上がっている。


「おお。もしかしたらこのまま目的地に辿り着いてしまうかもしれんぞ。流石シスだな!サラ.......あれ?」


おかしい......確かにさっきまで私の隣にいたはずのサラがいつのまにかいなくなっている。まさか、この渦の動きに巻き込まれているのでないのか.......


私はそう思い、急いで風を操っているシスに向かって大声を放つ。


「シス!!そっちからサラは見えないか!!」


「サラが?......いえ!見えませんよ!兄上!」


「何!?」


どういうことだ.....この中にもいないとなると......私はサラが振り落とされてしまったのでないかという最悪のケースを想定したが、私が耐えられているのにサラが振り落とされるようなことはないとすぐさまその考えを頭から取り除く。


「!!!」


私はその時ふと上を見上げる。


何故だ!......一体どうなっているんだ!!


私の目の前に広がっていた光景はこの風を操作していた主ことシスまでもがその姿をしっかりと消してしまっている現状を映し出しているのであった。









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