新しい依頼
「なるほど。夢に出てきたというその謎の男によって友達の望んだ願いが叶ってしまったということか」
「そうなんです。今はまだケンくんの両親が優しくなるぐらいで収まってますけど、なんかすごい悪い方向に行く予感がして......」
僕はケンくんから聞いた話を全て庵さんたちに話した。
ケンくんとは僕たちだけの秘密という約束ではあったが、何か僕の勘がその夢や謎のおじさんへの警戒心を高め、庵さんたちにこの怪奇に対処してもらおうと必死になっている。
「夢か......先例のない案件だな。これはかなり手こずるかもしれないな」
庵さんは眉間に皺を寄せ、腕を組みながらかなり逡巡し、とりあえず依頼を引き受けてくれることを確約してくれた。
「だが、今回はかなり解決までに難航するかもしれない。相当な時間も要するだろう。だから早期解決のためにも君にその分私たちに協力して欲しいんだ」
「はい!もちろん協力しますとも!で、僕は何をすればいいんでしょうか?」
「そうだな。とりあえずは次の学校の時にでもケンくんのいつもと違うところとか表れている変化があったら、私たちに教えてくれ。今うちの家の電話番号を紙に書くから、何かあったらすぐに連絡してくれ」
そう言って、渡してくれた紙にはここの家の電話番号が書かれてあり、何かあれば庵さんたちに知らせることが僕に課せられた役割で、僕はその紙を握りしめて目一杯お辞儀をする。
「ありがとうございます!依頼を聞いていただいて」
「何を言ってる。これが私たちの仕事だからな」
庵さんはそう言い、今日はバスで来たのかと僕に尋ね、
だったら、見送りに行こうとバス停まで着いてきてくれることになり、僕は番号の書かれた紙をポケットにしまいながら、庵さんと玲香さんを待っていた。
◆◇◆◇
私たちはあの子をバス停まで見送った後、家に帰り、早速その夢から起きた出来事に対しての対策を練り始める。
「ねえ。庵。そんな夢の中で現れたおじさんってやつに現実の状況を変えることなんてできるのかな.....」
「さあな。私も今回が初めての事例だ。だが、現にその願い事とやらが実現はしてるんだ。関係ないわけはないだろう」
問題はどうやってその夢の中の謎の男と接触するかだ。
元凶がそいつである以上接触は必須だが、なにぶん人の夢に入り込むなんていう荒技を持っているやつは私の弟や妹たちにもいないし、私自身にも不可能だ。
どうするべきか.......。
私は悩んだ末にある一つの方法を試してみることにした。




