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提案

「初めまして。今回依頼した木下と申します......ってあれ?原田さん!?どうしてここに......」


予想通り依頼した庵の家に私がいきなり顔を表したことに彼女は呆気に取られている。


「あの.....もしかして原田さんの依頼が先だった感じですか?ごめんなさい!今日は私帰ります!」


「ちょっと!ちょっと待って!私は依頼人じゃないってば!」


必死に彼女を引き止めると私が発した依頼人ではないという言葉にさらに困惑し、だったらなぜここにいるのかという怪訝な表情をこちらに振り撒く。


「実はね.....私の職場ここなの」


「え?しょ.....職場!?」








◆◇◆◇


「まさか、こいつと知り合いだったとは。何かご迷惑とかはかけてはいませんでしたか?」


「いえいえ!むしろ落し物を拾ってもらったりして。今朝交番に行ったら無事返してもらえましたので全部原田さんのおかげです」


「ほらね〜。迷惑どころか私は善行をしっかり積んでるんだから」


3人の会話の応酬が繰り広げられる中、庵は早速依頼の件についての本題に話を進める。


「ところで、今日はどう言ったご依頼で?」


「はい。実はここ1週間ほどのことなんですが、最近誰かにつけられてる気がするんです」


「誰かに?警察には相談はしたんですか?」


「ええ。一応はしたんですけど、あんまりまともに取り合ってくれないし、そのストーカーも少し変なんですよ」


「変?どういったところが?」


彼女はそのストーカーの特徴を洗いざらい話してくれたが、やはりその特徴は私が最初に関わった事件のあの女のバケモノの一件とよく似たもので今では遠い記憶の彼方に置いて行っていたその類似性からあの事件が私の記憶から否応なく思い出されるのは無理からぬ話だった。

しかし、その中で一つ今までとは異なるような特性があることが彼女の証言から窺えた。


「そのストーカー、特に私の近くにいるわけでもないのに私の耳元に声が聞こえてくるんです。何を言ってるかははっきりとはわからないけど、私に向けて言葉を発しているのだけは確かなんです」


これまでもバケモノたちは呻き声などのような形で威嚇や力の誇示を繰り返すことはあったが、どうやら今回は明確に何か言葉のようなものを発するようなこれまでのバケモノとは乖離しているものであることは間違いない。


「でしたら、一つそいつを誘き寄せるための策を練りましょうか。ぜひ木下さんもご協力願いたい」


「はい。もちろん協力させていただきます」


そしてそのストーカーを炙り出すための作戦会議がこれから始まることになるのであった。






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