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事件の再発

うーん......うるさいな......

朦朧とする意識にどこからかなる音に徐々に引き込まれ

窓から入る光も相まって私は思い瞼を擦りながら起床した


「んー....なにー.....」


まだ半分寝ているような状況でその音の正体を確かめようとする。それはスマホから鳴っていることはすぐにわかった。私が触った時にはすでに音は消えており、アラームが鳴った形跡はなく、不在着信にはすでに10件もの表示があった。


「あれ?......庵じゃん.....」


不在着信欄には安倍庵の名前があり、私は折り返しの電話をかけた。


「もしもし.....」


「おい。いつまで寝ぼけとんだ。起きろ」


この舐めた態度での接し方はもはや驚きもない。

それにしてもさっき時間を見た時はまだ出勤時間の1時間前だったはず。


「私、遅刻とかはしてないよ〜......アラームもちゃんとかけてるからそんな遅れないって」


私もまるで酔っ払いのような口調での寝ぼけ具合を電話口で庵に遺憾無く発揮し、庵は呆れた調子で言葉を続けた。


「今は時間がどうこうの話じゃない。起きたんだよ」


「起きた?何が?」


「事件だよ。それも俺たちが扱ってたストーカー事件の被害者の一人が夜中に襲われたんだよ」


私はそれを聞いて慌てて起き上がった。事件って.....

まさか、あのバケモノが実は生きてるとか.....


「とりあえずお前も早くきてくれ。場所は後で地図を送るから。その場所のレギオを待たせておく。わかったな?」


私が返事をする前に電話は切られ、それとほぼ同時にその指定された場所への地図が送られてきた。


簡単な化粧を済ませ、髪も少しボサボサながらも急ぎ

止まっているタクシーを捕まえ、庵から指定のあった

市立病院へ向かうように運転手に伝えた。


新しいバケモノが現れたのか.....それとも昨日のやつが実は生きている可能性があるのか.....。


その病院に着くまではおよそ20分ほどかかる。

私は悶々とした思いを抱えながらこの20分を過ごした



〜20分後〜


病院の手前でタクシーを止めてもらい、少し小走りで目の前にある病院に向かい、レギオを探した。

ただ、冷静に考えれば、レギオが都会のしかも朝っぱらから姿を表せば混乱は避けられない。

どこかの物陰に隠れていて、そこで私を待っている可能性を視野に入れなければならない。


「おーい!姉さーん!」


そうこうしていると少し後ろから姉さんと呼ぶ声が聞こえ

その声は間違いなくレギオの声だった。


私は後ろをパッと振り返るとそこには至って普通の人間の

高校生のような男子が私の方に駆け寄り、黒いコートに

黒髪で少しだけマッシュに近い髪型というとても昨日見た

レギオとは思えないような姿だった。


「え?誰!?レギオ?」


「そうそう!っと言いたいけど、この姿の時はそっちの名前じゃなくて人間用の大浦律って名前で呼んで」


話を聞くとどうやら昨日言っていた庵の義理の弟

レギオにとっては兄になる人物.....名前はシスというらしい......の能力の一つで仮の人間の姿を貰っている状態らしい。


「それで、庵は?」


「ええ。兄さんは今警察の人と一緒に被害にあった人と面会して、その襲ってきたやつの特徴とかを聞いてる感じです」


てか、あいつ警察とも知り合いだったの。

意外な事実を知った矢先、病院の入り口から庵が出てくるのが見え、私たちは庵の方に向かった。


「おう。来たか.....って、お前髪酷すぎないか?」


「え?....嘘!うわ。めちゃボサボサじゃん!朝少し手入れしたのに」


対面して開口一番に指摘され、スマホで髪をいると思っていたよりもボサボサでこいつに一番見られたくないような恥ずかしい思いをした。


「兄さん。やっぱり襲ったやつって昨日の」


「.....ああ。その可能性が高そうだな」


それを聞き、レギオは責任を感じたのかしょんぼりしたような顔をし、しっかり倒せていなかったことについて

庵に謝り、庵自身は自分も認識が甘かったと咎めはしなかった。


「先生!そこにいましたか!」


しんみりした空気の中、遠くから陽気で元気のいいような

掛け声が聞こえ、庵たち二人はそっちを向いた。


「ああ。すいません。先に外に出ちゃって」


「いやいや、それにしてもすでにこの事件に触れていたとはやはり、先生なだけありますな〜」



「それはどうも」


そこにはスーツの上に茶色のコートをした40代ぐらいの中年の男性ともう一人はナヨナヨとしている30代ぐらいの男が庵に話しかけている。口ぶりからして知り合いであることがわかる。


「あれ?もしかして先生。新入りの人ですか?」


私に気づいたのか、庵にそう質問する。


「ええ。少し前に入ってきまして」


「原田玲香と言います。よろしくお願いします」


庵から紹介を受け、一応その二人に挨拶をする


「こちらこそ!私は警視庁捜査一課の古賀毅と申します。

そいでこっちが私の部下の石原くんです」


「ども!」


警察の人だったんだ.....。庵のことを先生と呼ぶことには

かなりの違和感があるけど。


「古賀さん。うちに相談に来てくれた人たちの情報とか見せてくれませんか?一応調べておきたいんで」


「先生が言うんでしたら仕方ありませんな」


私たちは古賀さんたちの乗ってきたパトカーに乗り、警視庁の方へ向かった。

幸いなことに被害者は軽傷で、襲ってきたやつの風貌の証言もやはり昨日レギオが倒したはずだったあのバケモノによく似たものだった。


「どうするの?またあのバケモノが現れて、仮に倒せたとしてもまた同じように復活しちゃ、埒が開かないし」


それに私がまた囮になってあいつに襲われるみたいなことやりたくないし.....という気持ちもありながら、具体的な解決策を庵に耳打ちで聞いた。


「さっき、情報を見せてくれって言ったろ?襲われた被害者の情報からその人たちの共通点を割り出して、そこからあのバケモノの根源を断ち切る可能性を探る方法しかない」


あの時は無差別なものだと私は思っていたけど、今回の被害を相談した人の実害が出ているなら、それはおそらく当たらない。なら、その対象になった私とその人たちの共通点も見えてくる。


どうやら、すでにレギオがあのバケモノを倒す前に被害者の経歴などを調べておいて欲しいことを古賀さんたちには言っておいたらしい。


私を乗せた車は警視庁に向かって、ひたすら走っていた










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