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未完の未来

「......え......うえ!......兄上!!」


「んぁ?......」


「やっと起きた!兄様ってばさっきから私とシスで何度呼びかけても起きないから戻ってこないのかと思ったよ....」


二人に導かれるように私は体を起こすとあの真っ白な世界とは違う色彩があり、暖かい空気がホワッと部屋の中に流れ込んでおり、あの夢の世界から帰還したことをようやく理解した。


「兄上。あの男はどうなりました?私たちも向かおうとしたんですが、突然目の前が真っ白になって気づいたらもう現実に戻ってきてたもので......」


そうか。あの時私はペンダントの力であの虚像を破壊して浅沼健一くんとの対話をして.......。


浅沼くんは.....一体どうなったのだろうか。おそらくあの世界からは抜け出せて元の日常に舞い戻ってきているはずだろう。それは彼が一度は逃げ出したいと思ってしまっていた世界である。彼は今その現実にどうやって立ち向かっているのだろうか。


そんなことを考えているうちに廊下の電話が慌ただしく鳴り響き、私もドタドタとそれに波長を合わせるようにして受話器を手に取る。


「はい。もしもし.......ああ。田端くんか」


電話の主は依頼主である田端くんであり、おそらくあの一件のことで一報を入れてきたのであろう。


「あ。庵さん。あの.....朝一番にケンくんから電話が入ったんですけど........」


やはり、彼はすぐにこの子に対して真っ先に連絡を入れていたか。


「あの夢。もう見なくなったそうなんです!あと、庵さんにこれからはこの世界で自分の世界を見つけていきますって伝えといてくれとのことです」


そうか。あの子も虚像に逃げずにこの世界でしっかりと生きていくことを選んだのか。


「そうか。よかったな。またいつもの健一くんと過ごせるな」


「ええ!庵さん。依頼を解決してくれてありがとうございます!」


彼からの礼を受けたり、そうして一言二言交わした後、電話を切る。


こうして一旦は長いようで短かった夢の世界は終止符を打たれた。彼が現実と虚像の狭間で揺れ動いていた中で現実に行き、その中で自分の道をこのまま進んでいくことを私は心の中でそう望んでいるのである。


















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