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君は悪魔の成り損ない  作者: ヨダカ
プロローグ
12/53

最初の異変

「イミカ!逃げ道が塞がってるぞ!」

「見れば分かる!」

イミカが両手を突き出した。

「どうやって逃げるんだイミカ」

「逃げる?何を言っているんだ君は」

イミカは迫りくる岩のような何かに向かって走り出した。

「逃げてばかりじゃ始まらない!困難には立ち向かえと、ケデロさんに言われたんだよ!」

なんてことを教えてくれたんだと思った。

岩は依然としてスピードを落とさず、こちらに近づいてきていた。

イミカは岩に両手を当てた。

「離れていろ灯葉君!」

本日何度目だろうか、爆音が響いた。

岩をぶっ壊す気だ。先程からイミカのやり方は予想以上に豪快だ。

爆発音とは違う、唸り声が空気を揺るがした。

「あの岩…まさか生き物なのか!?」

イミカはそんなことには構わず、爆発を続けた。

バキィっと岩がひび割れた。破片が砕け散った。

砕けていくたびに呪いを込めるような、怨嗟の響きが地面を伝った。

岩は意に介さぬようにどんどん近づいてきた。押し潰される。

一段と大きい爆発が起こると、岩に裂け目が見えた。

「なんだ」

口だ。巨大な口が、岩に張り付いている。

「何なんだこいつは!」

驚愕するイミカの声が聞こえた。この世界でも奇妙な生物なのだろう。

岩は口を開いた。口内で細長い舌が大蛇のようにのたうち回っていた。

歯は石のような物で出来ており、かなり不揃いだった。

次の瞬間、鋭い舌がイミカを襲った。食おうとしているのか、イミカの身体にべっとり巻き付いた。

「馬鹿が、逆効果だ」

イミカがそう言うと、岩の舌が音を立てて焼けた。岩は思わず舌を引っ込めた。

イミカはこちらを振り向いた。

「灯葉君、伏せていろ!」

どうやら何かやらかす気らしい。

俺が伏せたのを尻目に捉えると、何とイミカは口の中に入っていった。

「はぁ!?イ、イミカ」

岩はガキンと金属音を鳴らして口を閉じた。

岩はイミカを飲み込んだのを確認すると、ゆっくりこちらに近付いてきた。俺を食う気だ。

しかし、岩の亀裂が増えてきている。…気がする。

俺は左目を開けた。岩の体内で、ぐにゃぐにゃと波線が歪んでいた。

恐らく、イミカだ。

そういえば、岩が膨らんでいるような気がする。

岩が口を歪めた。

刹那、赤い光が洞窟内を駆け巡り岩が炎を撒き散らしながら弾け飛んだ。

「…灯葉君、無事か?」

平然と中から出てきたイミカが言った。

「…はぁ」

俺は安堵の溜息をついた。

「おや、見ろ灯葉君。今起こした爆発の衝撃で地上に繋がる穴が開いたようだ。光が差している」

見るとそれは本当で、一筋の光が糸のように垂れていた。


それからはその穴を広げて、地上に出た。

爆音を聞いて何事かと思ったらしく、カウレや他の獣人族が駆けつけて来ていた。


「いやぁ、そんなことがねェ…」

一通りの説明を聞いて、カウレが言った。

「しかし、洞窟が崩れてしまうとは」

「まァ、別にいいじゃないか。水を汲む場所なら他にもあるさ」

カウレがこちらを向いた。

「お前ら、合格だ。今回の件は許そう」

カウレは明るく笑った。

他の獣人族も頷いた。

「しょうがない、一つ借りができたということだ…しかし、いいんですか?人間にこんなに親しくして」

カウレは腕を組んだ。

「勿論、完全に信用しているというわけでは無いからな?解っているだろうが」

イミカは笑った。

「解ってるよ」

「それなら良い。で、お前らはこの後どうするんだ」

カウレに尋ねられると、イミカははっとした表情になった。

「そうだ、ガリヤ城に行かなければならないんだった!」

俺は苦笑した。

「忘れるなよ」

カウレは腕を組んだ。

「絨毯はここに持ってきたからな。この後空がまた荒れそうだから、早めに行ったほうがいいぞ」

「ありがとう!」

俺等は礼を言って早速絨毯に乗った。


森がどんどん遠ざかっていった。

空はまだ薄暗かった。

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