35フリップさんとお兄ちゃんはダメダメ?
「急にすまないな」
「とんでもございません。それで今日はどのような?」
「今日から彼らと一緒に暮らすのだが。この子の洋服を用意していなくてね。とりあえず、今日は必要最低限の物を買いに来た。また別の日にゆっくり見に来るが」
「さようで」
お爺さんが僕達を見てきました。それからすぐにお辞儀をしてきて。
「私の名前はラウンドと申します。こっちは息子のクーパー。よろしくお願いいたします」
「優也です。弟の聖也です。よろしくお願いします」
お爺さんの名前はラウンドでした。ブランドはこのお店で1番偉い人みたい。タマ先生がそう言ってたよ。
挨拶はすぐに終わって、僕達はそのまま3階に行きました。聖也みたいに小さい子の洋服は、3階に売ってるんだ。1階や2階でも良いんだけど、小さい子は選ぶのに時間がかかったり、ワイワイ騒いだり。
だから他の人の洋服選びの邪魔になるといけないから、3階に子供服売り場を作ったの。特別な結界が張ってあるから、騒いでバタバタしてもぜんぜん平気なんだ。
他の人達は大体すぐに洋服を決めちゃうから、1階と2階に、種類で分けて洋服を売ってます。あっ、でも大人の人でもゆっくり洋服を選びたい人達もいるから、そういう人達は、別の場所で洋服を選ぶんだって。
「周り3軒も、全て私のお店でして、色々なことに対処できるようになっております」
「凄いですね。周りもブランドさんのお店なんですか」
「ホホ、私のことはブランドと」
「あ、はい(う~ん、どうもなれないな)」
お話してるうちに3階に着いた僕達。聖也はお兄ちゃんが抱っこして3階まで上りました。それからここのお店は、僕達が入っても大丈夫なお店だったよ。他の魔獣達が入っても大丈夫。うんとね、この世界のお店のほとんどが、僕達が入っても良いお店なんだって。こそっとフリップが教えてくれました。
良いね。僕達の世界は、聖也達と一緒に入れるお店、ほとんどないんだもん。これならどこでも聖也達と一緒にいられる。僕は嬉しくなってブンブンしっぱを振っちゃいました。
3階には、子供の洋服がずらっと並んでてて。可愛い洋服やカッコいい洋服、それからよく分かんない洋服も売ってるし、動物、じゃなかった。多分魔獣の形してる洋服も売ってます。それから、洋服ばっかりじゃなくて、靴とか鞄とか。他の物もいっぱい売ってました。靴やカバンに合わせて、洋服を買う人もいるんだって。
それからそれから、僕、嬉しいことが他にもありました。なんと、僕達用の物を売ってる場所があったんだ。そう、おもちゃ売ってたの! それからご飯の入れ物とか、僕達用の洋服とか。カッコいい首輪まで。
『タマ先生! 僕達の!!』
『あら、本当ね』
「ああ、そうか。一応うちに、保護した魔獣達用の物はあるが。これから一緒に暮らすんだから、ちゃんとした物を用意しなくてはいけないな。セイヤの物を選んだ後に、ポチ達の物を選ぼう」
『僕、おもちゃ欲しい!!』
「ポチ!! まったく、すみません」
「いやいや。そうだな。そういう物も必要だな。おもちゃと言えば、セイヤのおもちゃも必要だな。それに…。考えると本当に色々必要だな。セイヤの物は後で屋敷で、ゆっくりユウヤに話を聞いてから準備しよう。今日はまずは洋服からだ」
ふふふん。おもちゃ何を買って貰おうかなぁ。聖也達が歩いて行く方と、僕達のおもちゃを売ってる場所は別の方向で。僕思わずおもちゃの方に行きそうになっちゃいました。そしたらタマ先生にパシってしっぽで頭を叩かれちゃったよ。失敗失敗。今は聖也の洋服買うんだもんね。楽しみは後で。
そう思ってたんだけどね。う~ん、なんかぁ。フリップさんが最初に聖也の洋服を選ぶって言いました。なんか久しぶりに小さい子の洋服選びができて楽しいからって。だからフリップの後に、聖也が自分で欲しいって言った洋服と、お兄ちゃんが選ぶ事になったんだけど。
「これかなんかどうだろうか?」
「ぶー」
「そうか、これはダメか。ではこちらは?」
「むう」
最初ニコニコだった聖也。今はすごくむくれちゃってて、お口をプクっと膨らませちゃってます。そのかわりフリップはとってもニコニコだけど。
フリップが選ぶ聖也の洋服ね、ぜんぜん聖也に似合わない洋服ばっかりなんだ。聖也の嫌いな色の洋服だったり、モコモコしてる洋服だったり。それからなんかゴツゴツしてる洋服だったり。
「せいくん、みじゅいろ、きいろしゅき」
「そうか、それならばこれはどうだ?」
今度はモコモコとゴツゴツが合わさったような、洋服を選んだフリップ。あ~あ。聖也がもっとむすっとしちゃったよ。
「あ、あの、やっぱり俺も一緒に選びます。その方が後で聖也が選ぶ時間が多くなるんで」
「そうか? ではそうしよう」
フリップの洋服選びがあんまり酷くて、優也お兄ちゃんが一緒に選ぶことに。でも…。僕はタマ先生の方を見ました。そしたらタマ先生がとっても心配そうな顔してて。うん、僕も心配だよ。だって優也お兄ちゃんは…。
それから少しの間、優也お兄ちゃんとフリップは一緒に洋服を選んだんだけど。聖也の顔は、今までで1番酷いブスッとした顔になっちゃったんだ。だって、優也お兄ちゃんが一緒に選んでも、今までフリップが選んだ物とそんなに変わらなかったんだもん。ブランドさんが、これなんかどうですかって言ってくれるんだけど、2人ともあんまり聞いてなくて。
あのね、優也お兄ちゃんがいつも選ぶ聖也の洋服も、変な洋服ばっかりなんだ。それで瞳お姉さんが、いつもブツブツお兄ちゃんに文句言いながら、別の洋服を持ってきてくれて。
だから僕もタマ先生も心配だったんだけど。やっぱりいつもみたいに変な洋服を選ぶお兄ちゃんと、ずっと変な洋服を選ぶフリップ。タマ先生があんまりにも酷いって、2人を止めようとしました。その時。




