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怪盗対名探偵……もうひとつ

作者: 飛鳥 友

怪盗対名探偵3部作の1作目です。

少し手直ししました。(12/26)千の顔を持つ回答が覆面をしているのはおかしいので、

覆面を外した・・・→メガネをかけたインテリサラリーマン風の変装マスクを剥いだ

と修正しました。

「そこまでだ、怪盗多面相!千の顔を持つというお前の変装は全てお見通しで、俺が監修した顔認識ソフトに登録済みだ。お前がどんな姿に化けようと、たちどころに見破って手配の上、逮捕してやる。

 観念してお縄につけ!」

 表通りから少し外れた薄汚れたビルが立ち並ぶ裏通り、黒マントを翻して目当ての宝石店の裏口から出てきたところを、待ち伏せしていた正義の探偵に引導を渡される。

 探偵は10年もの歳月をかけ、1万件を超える多面相のこれまでの犯罪履歴を1件ずつ洗い直し、目撃者の証言や監視カメラ映像から千の顔全てを割り出し、警視庁のスーパーコンピューターに登録して顔認証プログラムを完成させたのだった。彼の探偵経歴の大半は、この多面相捜査で終始したと言ってもよいくらいだ。

 宝石店や貴金属店はもとより、銀行や百貨店にスーパーに加え、果てはコンビニや駄菓子屋迄、あらゆる商業施設の監視カメラと連動したシステムは、どんな変装をしようともすぐさま多面相を検出し、警官隊が殺到する運びとなっていた。

 狭い裏路を出た先の大通りは、どちらの方向へも埋め尽くすほど大量のパトカーと警官たちで包囲されていて、顔を知られた怪盗に逃げ道はないと思われた。

「くっくっくっ……そんな事で私に勝ったつもりかね?探偵さん……私には実は千ともう一つの顔があるのだよ……。」

 そう言いながらメガネをかけたインテリサラリーマン風の変装マスクを剥いだ怪盗の顔は……探偵そのものだった。すぐさま催涙ガスで探偵を眠らせ、怪盗は探偵の顔で悠々とその場を立ち去って行った。

 怪盗はその足で探偵の事務所へ出向くと、これまでの全ての調査資料を持ち去り、更に警視庁へも立ち寄ってスーパーコンピューターに登録した顔認証データを、すべて消去してしまった。

 これでまた怪盗多面相は、千の顔を使って余裕で犯罪を繰り返す事が出来るようになった。

 探偵は事務所へ出勤したときも警視庁へ出向いたときも、顔を合わすたびに部下や警官達に頬をきつくつねられて、多面相の変装ではないか確かめられるのが通例となった。


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