表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/79

Blu-Ray下巻発売記念SS:マリアの理想

本日6/4アニメ『妃教育から逃げたい私』Blu-Ray発売されました!

菅田うり先生の描き下ろしマンガも!

詳しくは活動報告をご確認ください!





 ルイ王子が深くため息を吐いた。


「はあ~~~~」

「かまってちゃんなため息すぎる。理由聞かないから国に帰ってくれる?」

「お前は優しさと言うものがないのか?」


 あるよ! あるからあんたを誘拐犯にしないであげたんじゃない!!


「話聞いてほしいなら聞いてほしいって言うべきでしょ。察してちゃんしないでくれる?」

「おい! こいつ子どもにも優しくないぞ!」

「子どもには優しいわよ! マティアス様可愛がってるわよ! 人を選んでるだけ!」

「より一層悪いだろうが!」


 仕方ないでしょ! ルイ王子可愛いと思えないんだもの! 性格が悪い! もっと性格を可愛くしてきて!! マティアス様見習って!!


「王子ぃ……面倒だから話あるならさっさと言ったらどうです?」

「お前は従者なのに僕の扱いが悪すぎる!」


 ライルが面倒そうに言うと、ルイ王子が不満そうに怒り始めた。丁寧に接したら付け上がるタイプだからライルのルイ王子への接し方は正解だと思う。


「マリアとの仲が進展しないんだ!」

「え。そんな皆が知ってる事実を言いたくてあんなめんどくさい行動してたの?」

「ライル!! ライル!! 他国の王太子妃を合法的に罰する方法ないか!?」

「ないです」


 ライルにキッパリ言われてルイ王子がクッションを叩いている。子どもってすぐに物に当たるわよね。


「で、結局言いたいことは、マリアと仲良くなりたいってこと?」

「そうだ!」


 うーん……。


「じゃ、一肌脱いであげましょう」




◇◇◇




「というわけで、仲良くしてあげて」


 私はマリアの目の前にルイ王子を差し出した。


「本人に直接言うやつがあるかーーーーー!?」


 ルイ王子は不満だったようで叫んだ。


「手っ取り早いかなって」

「こんな目の前で『仲良くしてあげてよ』と言われて仲良くできるのは乳幼児期だけだ!」

「ルイ王子ってもう幼児脱してたっけ?」

「キィィィィ!!!!」


 ルイ王子が地団駄を踏んだ。

 私たちのやり取りを見ていたマリアがため息を吐いた。


「王太子妃様、あまりからかわないであげてくださいませ」

「反応がいいから……」

「小さい子をいじめるのはダメです」

「はい、ごめんなさい……」


 ちょっと調子に乗りすぎたなと反省してルイ王子に謝りに行く。


「ごめんルイ王子、初めからきちんと言うべきだった。脈ナシだから諦めな?」

「お前は傷に塩を塗り込むのが趣味なのか!?」


 見かねたマリアが口を開いた。


「ルイ王子」

「なんだ? マリア」


 私と反応が全然違うんだけど。さっきまで悔しそうに顔歪ませていたのにそのキラッとした笑顔何? 仮面でも付けた?


「私の好みの男性なのですが」


 ルイ王子がゴクリと唾を飲み込んだ。


「私より強くて逞しくて精神的にも滅多なことでは凹まない強さがあってギャンブルをしない安定した職業についた方が好みです」


 理想が結構細かい。


「……王子は結構安定した職業だと……」


 マリアの理想の中からなんとか自分にもあるものを探したらしいルイ王子がマリアにそう声をかけたが、マリアは首を横に振った。


「下克上されたら終わりですよ」


 縁起でもないことを言うでない。


「それにやっぱり地に足つけた方がいいんですよ。そして急に没落しても自力でなんとかするような方が」


 マリア自身が1度没落しているもんね。いや、正確にはマリアの生家か。


「私の今の狙いは騎士様! 強くて精神もタフ! たとえ騎士職を退いても冒険家や武器屋など、他にもできることがある! 完璧です! 理想!」


 マリアはもう狙った職業の方がいるようだ。


「あら、よかったわね! 騎士の人とのお見合いでも斡旋しようか」

「それが……」


 マリアの顔が曇った。


「めぼしい騎士の方はみんな倒してしまって」

「は?」


 今なんて言った?


「王宮に仕える騎士の方なら強いと思ったんです。だからこの間訓練していた時に、いいチャンスだと思って、結婚適齢期のお相手がいない方全員に剣を交えていただいたのですが」


 訓練中に乱入したの? マリアちゃん乱入しちゃったの?


「全員圧勝してしまいまして……」


 しかも圧勝したんだ。……圧勝したの!?


「王宮騎士って強い人達揃えてるんだけど!?」

「私が強すぎたばかりに……」


 およよ……と嘆いているけどマリア、あなたこの城にいる筋肉ムキムキたちより強いのよ。およよじゃないわよ。


「でも私諦めません!」


 マリアが拳を握った。強そう。


「絶対に私より強い相手を見つけてみせます!」


 まだまだ結婚を諦めていないマリアに私は応援の意味を込めて拍手を送った。


「とりあえず筋トレしたら?」

「そうする……」


 小声でアドバイスするとルイ王子も小声で返してきた。

 頑張ってルイ王子。まだ成長期だからもしかしたらマリアより強くなれるかもしれない……。たぶん……。



読んでいただきありがとうございます!


もしよければ、ページ下部の★★★★★クリック評価や、ブックマーク追加で応援いただけるととても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妃教育7巻本日発売!
 


『妃教育から逃げたい私』

コミックス7巻本日9/5発売!


菅田先生描き下ろし番外編もあります!!
そして私の書き下ろし小説もあります!!
そう!漫画に初めて書き下ろし小説ついてます!!

ぜひお楽しみくださいね!
今回も特典たくさんあります!

実物写真はこちら!
背表紙もあるのでぜひ参考にしてください!

i00000


作品書影&情報はこちら⬇

i00000


『妃教育から逃げたい私』
コミックス7巻


発売日:2025年9月5日



あらすじ

◇◆◇◆◇◆TVアニメ化作品◇◆◇◆◇◆

アスタール王国に留学に来た、遠国の王女・アビゲイル。

初日から、初恋相手であるというクラークに猛アタック宣言し、
妻であるレティシアをやきもきさせるも、
実は隣国の王子・ネイサンの婚約者であることが判明する。

恋愛経験ゼロのまま嫁ぐことが不満だと言うアビゲイルに、
レティシアたちはある提案をするが…?



特典詳細はこちら↓

i00000


今回もたくさん!!
ぜひ皆様特典お好みのものをゲットしてください!

皆様に楽しんでいただけますように!

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

あとPOP UP SHOPのグッズ、こちらでもまだ購入できるみたいです!
おそらく9/9まで!
ゲットできなかった!という方ぜひ!

i00000


こちらのグッズは菅田うり先生のイラストのものになります!

どれもとっても可愛いのでぜひ!
(私もキーホルダー追加で買おうと思ってます可愛い!)



ぜひお手に取っていただけると嬉しいです!
よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
マリアの理想が自分より強い人なら、ルイは難しそうですね。 なんせニールに似ておりますから。 ネイサンに似ていたら可能性はもっと高かったのかなと思いました。(文庫版3巻の内容より) 楽しい小話ありがとう…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ