Blu-ray上巻発売記念SS:兄とブリっ子
本日4/25『妃教育から逃げたい私』アニメBlu-ray上巻発売されました!
とっても面白く可愛くしてもらったのでよろしくお願いいたします!
詳細は活動報告をご確認ください!
レティシアがまだ結婚してない時期で、続編のブリアナ編『没落寸前だけど結婚したい私』を読んでるとより面白いかもしれません。
「ねえ、あんた何か忘れてない?」
「え、何を?」
私の話し相手に任命されたブリアナが不満気な顔で言ってきたが、私は心当たりがなくて首を傾げた。
「あんたを見逃した時、あんた言ったわよね」
逃がした時……?
あ……。
「『兄との仲を取り持つ』って言ったわよねぇ!?」
「いや、そこまでは言ってない」
兄を掘り出しもんだよ、どう? と差し出しはした。
「言い訳は結構!」
ブリっ子がピシャリと言い放った。
「私はちゃんとあんたを見逃したんだから、あんたはあんたのお兄さんと私の仲を取り持つ必要があるのよ!」
「ええ~……やだ」
「やだじゃない!」
再びピシャリと言われたが、嫌なものは嫌だ。
だって兄、面倒くさいんだもん。
私がブリっ子との仲を取り持とうとしたら心底嫌そうな顔をして、その後何かしら嫌がらせをしてくるに決まってる。
「玉の輿に! 乗りたいのよ!」
「その正直なところはたぶん兄様好きだと思う」
「わかった! 正直に『金目当てなので口うるさくしないし、家に帰ってこなくても文句言わないし、契約結婚でもいいのでお願いします』って言ってくる!」
「それはたぶん兄様嫌いだと思う」
「なんなのよ!」
誰もそこまで正直になれなんてって言ってないのよ。
だが、確かに約束を破ったようなものだから、少しは協力してあげよう。
「うーん、会わすだけならなんとか……」
「さすが! そうこなくっちゃ!」
ブリっ子が途端に元気になった。
うまくいくといいけど。
◇◇◇
「俺を呼び出したからには建設的に話せ」
ねえ、兄様これで本当に対人関係大丈夫なの?
私だったらもう二度と会うもんかと思うよ。
「わかりました。まず私と結婚する利点からお話します」
出だしのあれでへこたれないのはあなたぐらいだよブリっ子。
「私も仕事をしているので、仕事に関して理解を示せます。ややこしい親戚関係もありませんし、身体の丈夫さにも自信があるので、家の切り盛りも問題ありません。それから」
これ何の時間? 採用面接に来た人?
兄様は兄様でなぜか話を遮らずにうんうん頷いているし。
「――というわけで、どうでしょうか!?」
ブリっ子が自分の胸を強く叩きアピールした。
兄は1度深く頷いた。
「却下だ」
「どうして!?」
ブリっ子は心底驚いている。
「まず第一に、今このアホに手がかかってそれどころじゃない」
「アホって私のこと? 私のことね?」
明らかに「アホ」で私にクイッと親指を向けてきた兄に言ったが兄はそれを無視した。
「第二に、俺は忙しくてそれどころじゃない」
「それをフォローできるし」
「第三に」
ブリっ子の言葉を遮って兄は続けた。
「結婚相手のあてはある」
その瞬間、空気が固まった。
少しして、私は兄の肩に手を置いた。
「兄様……空想の彼女とは結婚できないのよ」
「お前は今とんでもない暴言を吐いていることに気付いているか?」
暴言などとんでもない。本気で心配しているだけだ。
「だって兄様にそんな相手いるなんて、私が気付かないわけないでしょう!? 誰よ、幽霊ならお墓参りしてあげるから正直に言って!」
「お前俺には何言ってもいいと思っているだろう」
「思ってる」
「お前な」
兄が呆れているが、それどころではない。
兄に合う病院探さないと……!
「大丈夫です!」
ブリっ子が声を張り上げた。
「お金さえもらえたらイマジナリー彼女がいても問題ないです!」
ブリっ子の最大限の譲歩に、兄は頭を抱えた。
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