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番外編:カボチャリベンジ!

アニメ化決定、シリーズ累計120万部突破しました!

またコミックス5巻本日発売です!

よろしくお願いいたします!



 私はカボチャを手にクラーク様の元へ向かった。

 そう、私は気付いたのだ。とても重要なことに。

 クラーク様の執務室を開けると、クラーク様がこちらを確認してパッと明るい笑顔を浮かべた。


「レティ、どうしたんだ? ちょうど今日は仕事が終わったんだ。これからお茶でも」

「クラーク様」


 私はクラーク様の言葉を遮って言った。


「一緒にカボチャの飾り、作りましょう!」




◇◇◇




「レティと共同作業なんて嬉しいな」


 とても浮かれているクラーク様。それに対して私は真剣だった。

 クラーク様は芸術的センスが死んでいる。 

 でも作品たちはいつも一人で作っていることが多い。

 ということは、誰かがきっちり教えてあげたら改善するんじゃないか!?

 そう考えた私は、クラーク様と共にカボチャの飾りを作ることにしたのだ。


 カボチャリベンジである!


「とりあえずカボチャを切りましょう」


 私たちはカボチャまずカボチャの頭の部分を切る。

 カボチャって固いわよね。もっと別のやつにしたらよかったかな……

 いや、あの飾ったカボチャと取り替えたいからこれにしたのよ!

 今あの場所はクラーク様の芸術爆発なおかげで心霊スポットになっている。

 王城で働く人達の安寧は私にかかっている!


「よっし!」


 ようやくカボチャの頭が切れていて一息付くと、クラーク様が言った。


「なあ、レティ。これ中身入ったまんまだけど」

「あ……」


 しまった。空のカボチャを用意するべきだった。

 前はブリっ子が主導でやってくれたから初めからカボチャの中身は空だったんだった。

 やだ、私段取り悪すぎる……


「ごめんなさい、中身厨房に持っていきます……」


 私が気落ちしてカボチャを持っていこうとしたところを、クラーク様が「待って!」と引き止めた。


「何ですか? いいんですよ、どうせ私は段取りの悪い女です」

「いや、そんなこと言ってないけど。いや、そうじゃなくて」


 クラーク様がニコリと笑った。


「料理してみたい」




◇◇◇




 大きなカボチャと包丁。その他調理器具。

 そして、エプロンを付けたクラーク様。


「一度料理をしてみたかったんだ」


 クラーク様はご機嫌だ。


「どうして私まで……」


 ブリっ子は不満そうである。


「しょうがないじゃない。クラーク様のあのセンスを料理でも発揮されたら困るでしょ? 悪意なく皆に作ったもの持ってくるわよ」

「うっ……」


 ブリっ子は渋々納得した。


「じゃあ、カボチャは料理人の人がやりやすいようにと、中身を取って茹でてくれたから……」

「裏ごしするんだったな」


 クラーク様がテキパキと動いて、ササッとカボチャを裏ごしした。


「これで材料を合わせて」


 クラーク様がカボチャと、用意されていた材料を混ぜる。ちなみに作るのはブリっ子の好きなカボチャプリンだ。

 手際よく水を張った鍋にカボチャを入れて蒸す作業まで行ったクラーク様に、私は呆然としながら聞いた。


「料理を作ったことがあるんですか……?」

「いいや。言っただろう?『一度料理してみたかった』って。一度もないよ」


 初めてでこの手際の良さ? 私の役目とは……?


「自分で言うのもなんだが俺は才能があるかもしれない」


 クラーク様がとても嬉しそうに笑っている。


「得意なことが増えてよかったですね」


 料理の上手さと芸術センスはどうやら結びつかないらしい。

 クラーク様が喜んでいて私も喜んでいたとき。



 ドカンッ!



 何か爆発した音がした。

 慌てて音の方を振り返ると、ブリっ子がオーブンの前で立ち尽くしていた。


「ブリっ子!? 大丈夫!?」


 ブリっ子に駆け寄る。特に怪我などは見当たらないが、本人は呆然としている。

 ホッとして周りを見ると、どうやら爆発したのはオーブンのようだった。


「どうしてオーブンが……」

「天板に水を張ったらオーブンでも出来るって聞いた事あるからやってみようと思って」


 ブリっ子が気まずそうに自分のエプロンを触った。


「それでなんで爆発するの?」

「私が聞きたい」


 それはそうだ。オーブンを爆発させようと思って爆発させる人間などそうそういない。


「カボチャプリン……私の……」


 ブリっ子がメソメソし始めた。

 呆然としていたのはオーブンが爆発したからかと思っていたが、もしかしたら、カボチャプリンが消し飛んだのがショックだったのかもしれない。

 落ち込んでいるブリっ子の肩をクラーク様がそっと叩いた。


「俺のを分けるから……」


 優しさを見せるクラーク様にブリっ子は言った。


「オーブンの修理費も請求しないって約束してください」


 この子……本当にしっかりしてるわ……





 ブリっ子は無事にプリンを食べられて満足し、作るはずだったカボチャの飾りは、ブリっ子の爆発で吹っ飛んだのだった。




『妃教育から逃げたい私』

アニメ化決定しました!

シリーズ累計120万部突破!


また、本日コミックス5巻発売です!

描き下ろし番外編も収録されているので、ぜひお手に取ってお楽しみください。


詳細はこの少し下、もしくは11/2の活動報告をご確認ください。


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読んでいただきありがとうございます!

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妃教育7巻本日発売!
 


『妃教育から逃げたい私』

コミックス7巻本日9/5発売!


菅田先生描き下ろし番外編もあります!!
そして私の書き下ろし小説もあります!!
そう!漫画に初めて書き下ろし小説ついてます!!

ぜひお楽しみくださいね!
今回も特典たくさんあります!

実物写真はこちら!
背表紙もあるのでぜひ参考にしてください!

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作品書影&情報はこちら⬇

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『妃教育から逃げたい私』
コミックス7巻


発売日:2025年9月5日



あらすじ

◇◆◇◆◇◆TVアニメ化作品◇◆◇◆◇◆

アスタール王国に留学に来た、遠国の王女・アビゲイル。

初日から、初恋相手であるというクラークに猛アタック宣言し、
妻であるレティシアをやきもきさせるも、
実は隣国の王子・ネイサンの婚約者であることが判明する。

恋愛経験ゼロのまま嫁ぐことが不満だと言うアビゲイルに、
レティシアたちはある提案をするが…?



特典詳細はこちら↓

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今回もたくさん!!
ぜひ皆様特典お好みのものをゲットしてください!

皆様に楽しんでいただけますように!

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あとPOP UP SHOPのグッズ、こちらでもまだ購入できるみたいです!
おそらく9/9まで!
ゲットできなかった!という方ぜひ!

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こちらのグッズは菅田うり先生のイラストのものになります!

どれもとっても可愛いのでぜひ!
(私もキーホルダー追加で買おうと思ってます可愛い!)



ぜひお手に取っていただけると嬉しいです!
よろしくお願いいたします!
― 新着の感想 ―
[良い点] クラーク様、料理上手なんですね。 やっぱり基本は何でも出来ちゃうだ。(芸術系以外は) レティシアが空のかぼちゃを用意するのも可愛いし、ブリアナも失敗してしまう当たりも可愛いですね。 相変わ…
[一言] アニメ化嬉しいです おめでとうございます
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