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番外編:ハロウィンのカボチャ



「秋ねぇ」


 ブリっ子がモンブランを食べながら言った。


「秋だねぇ」


 私は栗プリンを食べながら言った。

 暑さはすっかりなりを潜め、涼しい風が紅葉を揺らしていた。


「ところで」


 ブリっ子がモンブランを食べ切って言った。

 早っ! さっき1口目じゃなかった!?


「ハロウィンが来るわよ!」


 私はブリっ子と違ってゆっくり栗プリンを食べながら言った。


「あの仮装するやつ?」

「そう!」

「また変な服売りつける気じゃないでしょうね」


 ブリっ子が心外だと頬を膨らませた。可愛い。


「違うわよ! 今回は――」


 ブリっ子が指をパチンと鳴らした。するとマリアが大きなものを抱えてきた。

 そしてそれを私たちのテーブルに置いた。


「カボチャよ!」


 見ればわかる。

 目の前には大きな大きなカボチャがある。

 マリアこれを普通に持ってきたの? 見た目に似合わず力持ちだね!


「で、これが何?」

「実家で大量に取れたんだけどちょっと食べきれなくて」

「実家でカボチャ育ててるんだ可愛い」

「それでね」


 せっかく褒めたのに無視された。


「ハロウィンにはカボチャを飾るらしいの!」


 私とマリアは顔を見合わせた。


「「カボチャを……?」」

「カボチャを」


 私とマリアの問いにブリっ子は首を縦に振って答えた。


「魔よけだかそういうものらしいわ」

「なんでカボチャで魔よけ?」

「元が豊穣の祭りだかなんだからしいけど異国のお祭りだからよく知らない」


 適当すぎる。


「で、カボチャに魔よけ用の顔を作ります!」

「なんで?」

「知らない」


 適当すぎる。


「楽しければいいのよ! 楽しければ! あ、中はくり抜いて捨てないでね! ここのコックにカボチャプリンにしてもらうから!」


 食欲がありすぎる。


「さ、作るわよ!」


 やる気満々のブリっ子一声でカボチャ作りが始まった。

 黙々と手を動かす。ちなみに中身をくり抜くのは私たちには難しかったので、厨房の人達にお願いしてそのままプリン作りに使ってもらってる。

 今私たちがしているのはカボチャの顔作りだ。

 しかしカボチャの皮というのは硬い。サクサク進むものでもなく、私たちは無言で作業していた。


「……これなにが面白いの?」

「わからない、私にも」


 わからないの!?


「ただもうここまで来たらやめることはできない」


 それはわかる。

 慣れない私たちに対して、マリアは比較的上手にナイフを使っていた。


「マリア上手ね」


 マリアを褒めるとマリアはニコリと笑った。


「いつか父を始末するために練」

「怖い話禁止! 怖い話禁止!」


 マリアの言葉を遮った。

 怖いよ! お化けじゃなくて人間が怖い系の怖い話だよ!

 私はもう無駄なことを言わずに作業することにした。

 ……これ何が楽しいんだろう。




◇◇◇




「できたーーー!!」


 ようやく完成したカボチャを部屋の扉の前に置く。


「結構大変なのね、異国のお祭りって」

「そうね。楽しさがイマイチわからなかったわね。これ下調べしないと楽しめないやつだったわきっと」


 ブリっ子がやろうと言い出したのに……


「でもこうして見ると結構可愛いわね」


 3人で頑張って作ったカボチャはリボンなども頭の部分に付けて可愛くした。

 やっぱりちょっと楽しかったかもしれない。


「レティー!」


 カボチャを見ていると、クラーク様の声がした。

 振り返ると大きな何かを持って走っている。

 徐々に近づいてその全貌が見えてくると、私たちは悲鳴を上げた。


「お化けーーーー!!!」


 オレンジ色の大きな何か不気味な目をして、歪んだ口をした呪いのアイテムと言われても納得する恐ろしい見た目のものを抱えてクラーク様が近づいてくる。


「魔よけ効いてないーーーー!!!」


 私達は慌ててその場を逃げ出した。

 置いていかれたクラーク様が、ポツンとその場に残った。




 後日、それがクラーク様お手製のハロウィンのカボチャだった知ったが、どうしても受け入れられなかったから、王城の端っこに置いた。

 お化けの目撃情報が相次いだ。




読んでいただきありがとうございます!

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あらすじ

◇◆◇◆◇◆TVアニメ化作品◇◆◇◆◇◆

アスタール王国に留学に来た、遠国の王女・アビゲイル。

初日から、初恋相手であるというクラークに猛アタック宣言し、
妻であるレティシアをやきもきさせるも、
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