↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【アニメ化】妃教育から逃げたい私【コミックス8巻5/1発売】  作者: 沢野いずみ
新婚旅行編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
54/80

彼はとても美しい



「驚かせて申し訳ございません」


 上品さを感じさせる仕草と語り口で述べられる謝罪に、とりあえず無難な相槌を打つ。誰かに似ていると思ったが、今ならわかる。ルイ王子だ。

 ルイ王子にそっくりの顔を、朗らかに微笑ませながら、ニール公爵は言う。


「国王陛下に似ていなくて驚かれたでしょう」


 穏やかに聞かれるが、そうじゃない。そこじゃない。驚いた部分がまったく違う。だが、それをはっきり伝えることもできず、曖昧に微笑んだ。


「あの……えーっと、ニール……公爵?」


 呼んでから気付いた。


「ニールというのは、お名前ですよね? 姓の方は……」


 暗に、姓がないと呼びづらいということを伝えた。初対面の友好国のお偉いさんを、いきなり名前で呼べるほど、私はもの知らずではない。ニール公爵は、ああ、と声をこぼした。


「僕、元々王弟なので、姓は後々作ったものなのです。だから、慣れなくて。できればそのまま、ニールとお呼びください」

「はあ……」


 まあ、本人がいいのなら、いいのだろう。ちなみに私がルイ王子を初対面から姓ではなく名前呼びしたのは、敬意を払っていないからである。誰だって、誘拐犯に対して丁寧に接してやろうなどとは思わないだろう。王子を付けているだけ褒めてほしいぐらいだ。

 ニール公爵は本人の言う通り、国王陛下より、ルイ王子にそっくりだ。おそらく、ルイ王子が成長したら、このような美しい青年になるのだろう。ただ、纏う雰囲気がまったく違う。気の強さが表情にも出ているルイ王子に対し、ニール公爵は、柔らかい物腰で、見ているとどことなく、ほっとする雰囲気がある。例えるなら、教会にある天使像のような、どことなく神聖さを伺わせる。きっとルイ王子には一生出せないものだ。


「あの……ニール公爵は、どうしてクラーク様のお部屋に……?」


 とりあえず、気になることは聞いておくべきだろう。私の質問には、クラーク様が答えてくれた。


「ニール公爵とはたまに公務のときに顔を合わせるんだ。そこから少し話をするようになって、今日部屋に呼んだんだ」

「その前は町を一緒に散策していました」


 二人とも、仲は良いのだろう。にこにこと答えられ、私はその後を付け回して嫉妬心丸出しにしたことを恥じた。

 私は出された紅茶に手を付けながら、一息吐く。

 ちらり、とニール公爵を見ながら、いつ聞こうか、今聞こうかと内心ソワソワしていた。気になって仕方ない。私は、意を決してのほほんと茶を飲み交わしている二人を見た。


「あの……」


 ごくり、口腔内の唾を飲み込んだ。


「ニール公爵は……なぜ女装を……?」


 相手を不快にさせないよう、言葉の強弱に気を付けながら、心底不思議そうな表情を作る。というか、実際心底不思議だ。彼はとても美しいドレスと、女性用の装飾品を身に着け、女性用の化粧をしている。靴ももちろんヒールのあるものだ。

 どこからどうみても完全な美女だ。

 女性としか思えない繊細な仕草で、ニール公爵はカップを置いた。


「だって」


 ニール公爵はこちらを向いて、より一層笑みを深めた。見る人が見れば見惚れてしまいそうな麗しさだった。


「僕は美しいでしょう?」


 ……うん?

 うっかり私も見惚れてしまっていたが、なにやら話している内容がおかしいと現実に戻った。


「そして、美しいドレスを身に纏った僕は、より一層美しい」


 自分に心酔している様子のニール公爵から、さりげなく距離を取った。

 前言撤回。彼は天使ではない。ただのナルシストだ。

 クラーク様を見ると、楽しそうに彼を見ていた。


「ね、ニール公爵は見ていると面白いだろう」


 距離を取って見る分には、確かに面白いだろう。だが近い距離では御免被りたい。


「僕は美しい自分を大事にしているだけです。あ、ちなみに男性に好意を持ってこのような格好をしているのではないので安心してくださいね」


 それは安心していいのだろうか。なにに安心したらいいのだろうか。

 最早なにがなんだかわからなかったが、私はただただ頷いた。ニール公爵も満足そうに頷いている。


「ああ、そうだ。今日私がクラーク殿下に会っていたのは、ただ遊んでいただけではなくて」


 ニール公爵が思い出したように手を打った。


「レティシア様、温泉はお好きですか?」

「温泉ですか? ええ、好きですが……」


 突然切り出された会話に戸惑いながらも、返事を返す。


「実は私の持つ領地に温泉が湧いていましてね。そのお誘いに来たのです。新婚旅行にピッタリでしょう?」


 確かに。新婚旅行に温泉は定番だ。私はクラーク様を見る。


「楽しみだな」


 クラーク様も乗り気なようだ。


「私も楽しみです」


 明日から行こうということになり、私は早めに就寝した。




 その夜、ブリっ子の部屋から悲鳴が聞こえた。

 あ! 忘れてた!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『妃教育から逃げたい私』コミックス8巻5/1発売!
 


『妃教育から逃げたい私』

コミックス8巻

本日5/1発売!


最終巻ですー!
もしかしたら番外編とかはポロポロあるかもなのですが、コミックスの本編は一応こちらで完結となります!

(小説はまだ続く予定です)
(マリア編や、ブリアナとナディルの新婚編、子供たち編など書きたいなと思ってます!(未定))

今回特別に
書き下ろしSS収録!

最終巻ということで一生懸命書きました!
巻末の方にあります!
ぜひお楽しみください!

特典情報もこのページの下の方にあります!

諸々詳細はこちら⬇

i00000


『妃教育から逃げたい私』 コミックス8巻


発売日:2026年5月1日

あらすじ

長期滞在していた他国の客人たちが帰国し、平穏な王城。
しかしレティシアはある問題から逃げ続けていた。
それは「お世継ぎ」をどうするか。
周囲からのプレッシャーをかわし、夫・クラークと自分達のペースで夫婦生活を送ろうとしていた。
そんな中、夫婦で気晴らしに出かけた釣りの最中、レティシアはクラークのある変化に気がついて…?
二人は逃げずに、夫婦としての新たな一歩を踏み出せるのか?

逃げる妃と追いかける王子の胸キュンラブコメディ、ついに完結!!



特典情報

i00000




まんが王さんと漫画全巻ドットコムさん
特典がアクリルスタンドなんですが、
もーーーー可愛くて可愛くて!!!!

i00000


数量限定なのでぜひなくなる前にゲットしてください!

まんが王さんは菅田先生のサイン本抽選もあります!

⬇まんが王さん⬇



⬇漫画全巻ドットコムさん⬇



書泉さんではアクリルコースター付きが発売されます!

i00000


とっっても可愛い!
こちらも数量限定なのでなくなる前にぜひ!

 

どれも最高に可愛いです!
お気に入りをぜひ!

コミカライズはこちらで読めます!



ぜひお読みいただけると嬉しいです!
よろしくお願いいたします!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。