↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【アニメ化】妃教育から逃げたい私【コミックス8巻5/1発売】  作者: 沢野いずみ
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/80

穴があったら入りたい



 あの後、クラーク様は壁を頑丈に補強すると宣言し、まあそうだよね、と私も納得した。

 お互いのボロボロ具合を見ながら滑稽だなと思いながら、クラーク様は湯浴みの手配をしてくれ、お互いさっぱりした後に、「じゃあまた明日!」「ええ、また明日!」と興奮したままお互い各自のベッドに入った。

 そして一夜明け。

 私は今、羞恥心で死にそうになっている。

 いや、じゃあ明日とか言っている場合じゃないだろう。何しているんだ昨日の私。

 体が穴に引っかかるというありえない状況を見られ、淑女としてありえないボロボロの姿を晒した私は乙女としてもボロボロだ。

 しかし、じゃあ明日と言った手前、おそらくクラーク様は今日来る。確実に来る。今日だけは放置してほしいと思っても確実に来る。

 どうしようどうしようとベッドの中で悶えながら、穴があったら入りたいと思う。

 そして閃いた。

 穴、あるじゃない!

 私はベッドからがばりと起き上がり、寝間着から部屋着に着替える。そのまま一直線に向かう。床についている扉を開けて素早くその中に入る。

 この間見つけた床下収納です。

 何でこんな所作ったんだとこの間は思ったけれど、今はこれをよく作ったと褒めてやりたい気持である。

 ああ、落ちつく。

 膝を抱えて座る。誰もいない空間は思ったよりも心地よく、私はあっと言う間に夢の世界に旅立った。

 次に目覚めた時に聞いたのは、マリアの絶叫だった。


「お、お、お、奥様がいらっしゃらないいいいいいい!!」


 相変わらず良く響く声である。

 叫んだ後、バタバタと足音がした。マリアが外に走って行ったようだ。


「奥様見ませんでしたか!?」

「いや、見てない」

「奥様ぁー!」


 おそらく扉の前にいる兵士に話しかけているのだろう。兵士の言葉にマリアはまた絶叫する。

 マリアの声は良く響く。そのおかげで私がいないことが知れ渡ってしまった。あっという間に城内大捜索が開始された様子でいたるところから奥様という声が聞こえる。私は内心とても焦っていた。

 出るに出られなくなってしまった。

 今ひょいと出て行ったら、どうなるだろう。いや確実に呆れられる。しかもここに入った理由を聞かれる。恥ずかしいからだなんて言えない。そんな子供っぽいこと言えない。

 クラーク様だけを撒く予定だったのに、とんだ誤算だ。いや、ただ私が軽率だっただけだ。


「レティ?」


 どうしようと考えていると、クラーク様の声が聞こえる。


「レティシア、いるんだろう?」


 この部屋は私がいないということで捜索隊は別のところを探している様子だった。


「レティ、今は俺しかいないから、今のうちに出てきなさい」


 クラーク様一人なら今他の人はいない。この床下収納に入り込んだという間抜けが見つかることもない。

 でもやっぱり昨日のこともあって出るのをためらってしまう。もぞもぞしていると足音がここまで近づいてくる。


「ここか?」


 クラーク様が扉を開ける。しばらく暗闇の中にいたので眩しくて目を細めた。


「レティ」


 ほっとした様子のクラーク様が、私の両脇に手をいれて持ち上げて立たせてくれた。


「なぜこんなところに……」


 床下収納の扉を閉めながらクラーク様は言った。ええ、ええ、そう聞きたい気持ちよくわかります。


「ちょっとだけ一人になりたかっただけなんです……」


 しょんぼりして言うと、クラーク様は小首を傾げる。


「なぜ?」


 それを聞いてくれるな。そう思って見つめるが、クラーク様はそのまま私が口を開くのを待っている。観念して口を開く。


「恥ずかしくてですね……」

「うん?」


 また小首を傾げられた。

 ここまで言ったらわかれ! と思いながら、やけになって言う。


「クラーク様に会うのが気まずかったんです!」


 クラーク様は衝撃を受けたようにたじろいだ。


「そ、それは、俺のことが嫌いになったという……」

「いやそうじゃなくて!」


 なぜそういう話になるんだ!

 顔を赤くしながら私は言う。


「き、昨日恥ずかしいところを見せたから、顔を合わせにくかっただけです!」


 私の言葉にクラーク様はほっと息を吐く。


「大丈夫だレティ。君のどんな姿も愛してる」

「そういうことじゃないんですよ……」


 恥ずかしくなって顔を覆う。こんなこと言わなきゃいけないなら初めから普通に顔を合わせておけばよかった。


「とりあえず、昨日はありがとうございました!」

「ああ、いや、どういたしまして」


 お礼を言うと、クラーク様は微笑んだ。


「昨日のことは誰にも言わないでくださいね」

「もちろん言わない。あんな可愛いレティは俺だけが知っていればいいんだから」

「変な言い回しはいらないんですよ。とにかく他言しないでくださいね」

「わかった」


 念押しすると頷いてくれた。

 安心して一息吐くと、クラーク様はにこりと微笑んでくれた。

 うう、今笑いかけないでくれ……

 弱っている時の美形の笑顔怖い。

 そう思いながら目線をそらすと、扉の所にマリアが見えた。


「あー! 奥様いたあ!」


 マリアが叫びながら部屋に駆け込んでくる。

 怒った顔で私の近くまでくると、大きな声でこう言った。


「王子とイチャイチャしたくていなくなるのなら、ちゃんと言って下さい!」

「違うから!」

「イチャイチャ……」


 王子が嬉しそうにマリアの言葉を繰り返す。マリアに遅れて部屋に来た兵士もやれやれという顔をしている。

 違う、違う!


「違うからぁー!」


 私の言葉は誰も信じてくれなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『妃教育から逃げたい私』コミックス8巻5/1発売!
 


『妃教育から逃げたい私』

コミックス8巻

本日5/1発売!


最終巻ですー!
もしかしたら番外編とかはポロポロあるかもなのですが、コミックスの本編は一応こちらで完結となります!

(小説はまだ続く予定です)
(マリア編や、ブリアナとナディルの新婚編、子供たち編など書きたいなと思ってます!(未定))

今回特別に
書き下ろしSS収録!

最終巻ということで一生懸命書きました!
巻末の方にあります!
ぜひお楽しみください!

特典情報もこのページの下の方にあります!

諸々詳細はこちら⬇

i00000


『妃教育から逃げたい私』 コミックス8巻


発売日:2026年5月1日

あらすじ

長期滞在していた他国の客人たちが帰国し、平穏な王城。
しかしレティシアはある問題から逃げ続けていた。
それは「お世継ぎ」をどうするか。
周囲からのプレッシャーをかわし、夫・クラークと自分達のペースで夫婦生活を送ろうとしていた。
そんな中、夫婦で気晴らしに出かけた釣りの最中、レティシアはクラークのある変化に気がついて…?
二人は逃げずに、夫婦としての新たな一歩を踏み出せるのか?

逃げる妃と追いかける王子の胸キュンラブコメディ、ついに完結!!



特典情報

i00000




まんが王さんと漫画全巻ドットコムさん
特典がアクリルスタンドなんですが、
もーーーー可愛くて可愛くて!!!!

i00000


数量限定なのでぜひなくなる前にゲットしてください!

まんが王さんは菅田先生のサイン本抽選もあります!

⬇まんが王さん⬇



⬇漫画全巻ドットコムさん⬇



書泉さんではアクリルコースター付きが発売されます!

i00000


とっっても可愛い!
こちらも数量限定なのでなくなる前にぜひ!

 

どれも最高に可愛いです!
お気に入りをぜひ!

コミカライズはこちらで読めます!



ぜひお読みいただけると嬉しいです!
よろしくお願いいたします!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。