2年前期開始
4章スタートになります。
「いよいよ2年生ですねー」
「まだ14歳だけどな」
1年は早いのだが、いかんせん未来の出来事を知っているせいか1日1日は長く感じてしまう。俺たちは始業パーティに出席していた。
いやー、卒業式ってはっきり言って2年がメインで3年を送るからな、俺たちは特に何もすることが無かったわけだ。歌を歌うわけでもないしな。
春休み中のシオンは俺から離れようとしたり近付いて来たりしていた。気が付いたら近くにいる感じだったので意識して離れるようにはしていたが。
「それにしても、今年の1年も大変だな」
「また殿下がいますからね」
エリオが入学してきた。トールもな。あと、マリア・カイゼルも。
特に目立つパーティの中心にいる赤と紫。
紫は皆に馬鹿にされながら生きていくことになるだろう。
うちの弟ですけどね。
「トールはまあ、うちの代表格ですから」
「火も水も扱えて、尚且つ雷まで網羅しているってことの証だものな。ま、バカにするってんなら氷でも持って来いって話だな。雷の方が上位だけど」
俺たちは全部の属性扱えるのでトールに僻まれても文句言えない。
というか、そのせいもあってカルがロキを僻んでいたというのには驚いた。
春休み中のカルの愚痴がそれだった。
その為だけに俺は王城に呼び出され、グチグチと嫌味とか含めていろいろ言われた。まあ、それをしてからじゃないと俺とはすっきりと話せないとカルが判断したらしい。
見えないところで湿っぽく言われまくるよりはましだわな。
俺も文句の雨に甘んじたよ。
何より、それだけ言っても俺との関係が切れることはないと自信を持っていたカルのことを考えると、な。
溜め込んでしまうよりはよっぽどマシだと思っているのは事実だったので願ったりかなったりだ。
トールが俺を見つけて会釈してくる。俺は軽く手を振ってやった。
エリオも俺たちに気付いて手を振ってくる。俺たちの周りには魔物学をとった生徒が固まっていたので、皆バラバラに会釈を返していく。
エリオの肩にスライムが乗っているのが見えた。連れてきたのか。
2人は俺たちの方へ歩き出す。兄姉がいる生徒の方がいろいろと上級生と交流しやすいのはまあ、仕方ないと思う。
「兄上、お久しぶりですね」
「エリオ、久しぶりだな」
そいつ連れてきちゃったのね、とエリオ殿下の肩に乗っているスライムを見てカルが声を掛けた。
「相棒ですから」
「そうか」
スライムのライはカルよりも俺の方見てるけどな。
「お久しぶりです、ロキ殿」
「お久しぶりでございます、エリオ殿下」
エリオ殿下はこれから俺様に育っていくのだろうか。それは勘弁願いたい。
ただでさえカルだけでも若干短気だってことが分かって四苦八苦しているところである。
「ロキ兄上!」
トールが声を掛けてきた。手招きすればすぐ傍まで寄って来た。
俺とシオンについては不審に思うことも多くて図書館の本なんかで調べ物を結構している。
変化属性については基本的に俺がルールなのでいろいろと書物に書き起こし中である。全部工房に置いて来てるが。
俺の魔物たちは皆外だ。
ライが恐れずに俺に手を伸ばしてくる。アウルムを探してみたが近くにはいなかった。下手なことに巻き込まれていないといいがと思っているとどうやらゼロを拾って来たらしく、ゼロと一緒にいつの間にか俺の後ろに立っていた。
手を伸ばしてきたライを受け止める態勢に入るとライが飛びついてきた。
「すっかり俺より先輩に懐いちまった……」
「俺好かれやすいみたいだからな」
「いろいろしてたのアウルム先輩だったと思うんだけど」
「スライムと俺はめちゃくちゃ相性悪いんだぜ?」
アウルムのそんな驚きの情報を耳に入れつつ俺はトールの頭を撫でる。
トールは初等部でかなりいじられてきたようだが、雷を放ったという話は聞かなかったので、おそらく相当自制していたとみえる。
――これが高等部に入ったら自制が無駄になるくらい帯電する電気鰻と化すのだが。
それは言ったら御終いである。
「ほら、トール。俺たちはいいからさっさと他の生徒のところへ行け。休み時間も放課後もあるだろう?」
「はい、わかりました……。では、兄上、また後で」
学校っていったい何って、小さな社会である。今のうちに他の家とのコネを作っておく練習もしておかねばならない。
中等部ではまだ攻撃系の魔術を習うことはない。
だが、魔術についての本だけなら大量の魔術についての蔵書があるのだ。
読まない手はないのでおとなしく読ませてもらうこととする。
シオンと俺についての考えはまだまとまっていないが、だいぶ必要なピースは揃っている気がする。
そういえば、俺は皆を見ていて、この世界がゲームに準じている気がしたのだったか。
ゲームが後だったのではないか、という結論が出た。
鶏が先か卵が先かの御話になりそうだったから深く考えるのは止めたが。
今年の入学生たちとの関係をエリオが上手く結んで、もしくはトールでもいいのだが、カル殿下のために尽くしてやんよという気概を見せる片鱗があったらいいなあ。
そんなことを考えて一先ず、これからの自分の予定を頭で確認し直したのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。




