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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
幼少期編
9/154

悪役令嬢、華麗にジョブチェンジ

ゆるふわ設定怖い

「どうですか?」

「ええ、完璧に男性ですね」


先生に努力結果を見せて報告。

変化魔術で外見を男に変えてみました――じゃなくて、実際もう完全に男の身体を作っている。

自分の身体を変化させるなんてのは、魔術ではない。


魔法の域である。

それをあんまり苦も無くできるんだから、ロキの身体ってのは本当にハイスペックだったようだ。

生まれたときから精神が俺だったから何とも言えないんだが。


もちろん、両親にはとても感謝しております。


普通の変化魔術というのは、肉体の一部組成を変えて硬質化したり、逆に軟化させたりする程度のものだ。

でもそれはもっぱら水属性の魔術師が使っているせいだろう。


俺の訓練は水で始まった。

水をうまいこと変化魔術で水蒸気や氷に変えるところから始まったのだ。


水を選んだのは俺自身だったりする。鉄とかだと溶けるまでに確か2000度近くまで上げなきゃならない、イメージというものが魔術の発動を早くしてくれるので、そのことを考えると、実際に鉄を溶かした状況のイメージがない俺には難しそうだと思ったし、水ならいくらでもあるし(自分で出せるからな!)、温度が100度程度と振り幅が小さくイメージしやすかったからだ。


錬金術もやりたいと俺がだだをこねたので、先生が、腕はいいけれどコミュ障その他諸々のために金欠状態の後輩さんを連れてきた。

これがまさかの別のゲームでの攻略対象だったらしく、偶然鉢合わせたソルが驚いていた。


水の変化から入った俺は、じきに小石を砂に変えたり、逆に砂を石に変えたりするようになった。


変化魔術は単純な話、本来存在する物理法則で移動しているエネルギーを魔力というエネルギーで行うだけだ。


水ならばその熱エネルギーを奪えば氷に、熱エネルギーを与え続ければ水蒸気になる。

砂だと、小石にするには海底に堆積して降り積もってものすごい圧力がかからなくちゃならない。小石を砂にするには、とにかく風化させるイメージで。


この段階を終えると次は、もう何をさせていいのか先生には分からなかった。

ここからは俺の独学になる。

ということで、俺はひとまず、錬金術の方に力を入れた。


何でかって、錬金術は科学だけれど、魔術だって科学のようなものだ。

それと、錬金術にはいろんな物を錬成する力がある。この錬成は、あるモノを全く別の物質に変えることも可能。これがおそらく一番変化魔術に近いだろうと踏んだのだ。


結論から言うと、ビンゴだった。


最初はミスしてばっかりで土を石英に変えてたんだけどな。組成変わっとらんわ。

ある時苦鉄質岩を弄っていて、気が付いたら鉄とマグネシウムの塊に変えちゃってたんだよな。

たぶん、含まれている割合が高かったからだと思うけれど、確かに存在していたはずのSiOが姿を消した。


ちなみに体積を測ったら小さくなってたので、おそらく全部金属にしてしまったと思われる。

その時の感覚を手繰り寄せながら、いろんなものを金属に変えたり戻したりして練習した。

この時点でエネルギー云々のお話の想定がぶっ飛んだ気がするが、ちゃんと繋がっている。大丈夫、と何度もノートとにらめっこした。


で、物質を変えることができるようになったら今度は形を変えるようにして。


完成したのが、今の俺の身体ってわけ。

ただ、どうやら自分の年齢以上の肉体は構成できないようだ。そこは経験ってやつだろう。


「元々男性だったというのもあったのでしょうね」

「そうですね。そうじゃなくちゃ、男の身体を構成するのなんて難しそうですしね」


この身体にも慣れておきたいので俺は隅っこで剣を振ることにした。トールとコレーはこれから報告である。


「ロキ姉様がすごすぎる……」

「トーにぃ、仕方ないですよ、祖ってそういうのが多いらしいですし」


トールがorzしとるがな。

ちなみに、ゼロについてもあのあと調べてもらったのだが、こいつも祖だった。

属性は、零。

地味に、相手の魔術の威力上げをキャンセルできるという微妙な属性だ。


ちなみに、この零属性、通常の基本四属性や双極属性には天敵なのだそうで、単純に俺の変化魔術の術式が加減式になっているだけだそうである。


数学みたいな言い方になったが、魔術の術式には俺たちが前世で言っていた加減と乗除の2タイプの式がある。


基本四属性と双極属性は乗除に当たる。

大規模な指揮を一度に組み上げるタイプ――攻撃魔術は全部これだ。

速度重視の結果みたいなものらしい。

まず1になる式がある。これの周りに大量に別の式が追加されていく仕組みになっているので、この1の式の時点でそれ以降の式との繋がりを絶ってしまうのがこの零属性。


希少属性は物によるけれど、変化属性基本となる1の式というものがそもそも、ない。

あるにはあるが、物質ごとに1でも2でも3でもいきなり組み始める。

つまり、式の形が一個一個まったく別。1つとして同じ数を使った式がない計算ドリルみたいなものだろう。


その証拠に、俺が槍を刀に変化させるのをゼロの魔術で妨害させてみたが、何の問題もなく槍は刀に変化した。


「トール、見てるからな」

「プレッシャー掛けないでくださいよう!」


トールに声を掛けると非難の声が返ってきた。


トールは雷属性。ゲームでは水も非もうまく扱えなくてクラスメイト達から虐められてへこんでしまうらしい。

どうやら、ゲームとは呼ばれた先生が違ったらしい。


コレーも乗除型なので一緒にいろいろやっていたが、どっちかって言うと、錬金術の方が得意だったようだ。

土属性ってもしかしてもしかしなくても、錬金術できる人多いんじゃないかな?


変化魔術自体は普通に存在している。

魔術というのは、系統で主に分けると円をいくつか書いて、それの重なりなんかが結構あったりする、所属を表す図を思い浮かべると分かりやすい。


火属性の中の変化魔術なら火の色を変えるとか、土属性の変化魔術ならそれこそ土塊を金に変えたりもできる。水なら酸に、風は変化って分かり辛いが、雷を発生させる範囲に性質変更とかならいけそうだ。


その辺はこれから研究していく。

ちなみに、変化魔術と錬金術の違いは、変化魔術は土塊をそのままの体積で別の物質に変換するが、錬金術は土塊の質量をそのまま別の物質に変換する点だ。


つまり、すごく簡単に言うと、錬金術は物質の元素と密度によって大きさが変わるということだ。

1キログラムの石の山を金に変えると、ほんの片手に乗せられる程度のサイズに収まってしまう。

相場が混乱するからしないけどさ。


まあ、そこは宝石とか金属とかを魔術媒体にしてる奴らに売りつければよくね?

ちなみにクルミもこれだったりする。


トールが丁寧に術式を編み上げて、手元に電流を発生させた。

ちなみにこの特訓は俺も手伝った。

某殺し屋一家の天才三男じゃないんだからこんなことできるようにならなくていいのに、人間電池化しましたようちの弟は。


「危険じゃありません?」

「そこは大丈夫でした」


まあ、雷帝トールの名がついているだけあって、雷耐性がダントツで高い――というか、雷、電気系は全部ノーダメ仕様である。


「では、コレー様」

「はいっ!」


コレーは恐るべき力を見せてくれました。

ええ、知ってますとも。


格ゲーでは奥義が地震・地割れになっていたが、実際は干ばつ・不作と人間を殺すために居そうな子である。メティス様から貰ってきてしまった力らしい。


ちなみに、こんなこと言ってるが結局コレー自身は将来名をペルセフォネに改めることになる。

これは、現在メティスと名乗っている母親の血統によるものだ。

巫女さんなので、いろいろと面倒なしきたりを守っている。


コレーがぶわりと強い花の香りを放ったかと思うと、一面に花が咲き乱れた。

イヌノフグリっぽい青い花が沢山咲いている。


「まあ」

「どうですか!」

「素晴らしいわ」


植物の成長促進魔術を使ったのだろう。

シロツメクサも生えていたので、それを摘んで花冠を作ってコレーの頭に乗せてやった。


「ロキ様はその御姿でお過ごしになられるのですか?」

「そうしたいのは山々なのですが、状況によりますね。高等部はほぼ男の姿で今のところ確定ですが」

「旦那様にちゃんとお話を通しておかないといけませんよ」

「はい」


今日はその後そのまま魔術で遊んで終わった。


昔は1キロが重たかったなと、コメ5キロを買ってふと思い出しました(´・ω・`)

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