死徒列強
閑話でいい気もしてきた←
クルミが婚約した、しかもユリウスと。
そのことについてはソルと一緒にいろいろと相談した末、素直に祝福しておいたのだが、その話を持って帰った俺に、偶然家に来ていたリーヴァが目をキラキラさせだしたのでまさかと思っていた。
今日はなんぞごちゃごちゃと死徒たちがやってきた。
列強の18人の内16人はこの大陸内にいる。
更に本拠地を基本離れないのが4人はいるので来るのは多くても12人だとたかを括っていた。
で、見事に裏切られた。
全員が来たわけではない。
むしろ、一番来ないと思っていた奴が来てしまったのだ。
「ようこそ、ロード・カルマ……」
「そんなに固まらなくても、あなたの妹を人形にしたりはしない」
ロード・カルマ。
神代から生きる人間にして、不死族に分類される死徒である。
それ以上のことは俺は知らない。設定でも単純に人間を人形にして遊ぶ、強い人間が好き、神々の槍を扱う、人間に特に感傷を持つわけではない、手を出してくる神々を嫌っている、死徒でありながら軍神を信仰している、などなど思想面の設定がつらつら書き並べられるだけのゴスロリ幼女である。
黒い艶やかな髪はツインテールにしており、傘を持っていることもある。瞳は緋色。
死徒たちは強さ順に席順があるが、その中でも堂々の第1席を勝ち取っている。
まあ、アレである。自分と容姿の年齢が近い女児を人形にして身の回りの世話をさせるような御方である。こいつに会う時は俺は令息姿になっていた。
特に俺が緊張してしまうのは彼女なのでまあ、なんというか。
本拠地から動くんじゃねえよ心臓に悪いだろ!
地球における核ミサイル級の存在である。
今日来た死徒列強は13人。あと2人は既にうちにいるので。
死徒列強第1席『人形師』ロード・カルマ。
第2席『魂喰』カガチ。
こいつは浅黒い肌に銀髪、グラサンである。ちなみに上半身はサラシとコート、れっきとした野郎である。ある意味一番親しみやすかった、日本人ぽいなあと思ってたら何のことはない、元は転移者だそうである。今は後継者教育中とのこと。
第3席、『蟲の女王』ロルディア。
本日出席しておりません。オオスズメバチを連想させるドレスを纏っている少女である。彼女に会う時は令嬢じゃなきゃダメだ、未だに怖いっす。
あの子が野郎ばっか狙うのがいけないんだよ!
可愛い子だけれども。
第4席『竜帝の愛し子』リーヴァ。
暁色の髪の少年と言いたい。要はショタなのである。とはいっても15歳くらいの外見をしているだけだ。中身は非常に老獪である。嫁さんは列強入りしてないがいつもセットでいらっしゃる。今日も来たのだがちょっと母上に誘われてドレスを見に行った。
平常運転ですぐ惚気る。
第5席『狂皇』グレイスタリタス。
はい、違う大陸の御方である。今は旅に出ているらしいのでもしかしたらどこかで会うかもしれないとか。こいつに直接会ったことないが、190センチくらいの筋肉ゴリラだそうである。破壊力だけなら彼が一番らしい。
第6席『吸血帝』ユスティニフィーラ。
黒い髪の美女さんである。だがなぜか大和撫子風な雰囲気を纏っていらっしゃる。赤い傘を持ち歩いているが、何故またそれ小学生が持ってそうな傘なんですかね。
ブラッディカという言葉は昔あった国の名だそうである。つまり、その国出身だったのだろう。セトナの姉御分らしい。
第7席『狂魂喰』シグマ。
カガチの後継者でこちらも浅黒い肌と銀髪だった。人間に一度やられたらしく右目は目玉がないという。眼帯装備の赤コート野郎、武器はマグナム(言っておくがこの世界に銃は一切存在しない)とダガー、アサシンスタイルじゃないですか。こちらも転移者。何故だ。常にバーサーカー状態が発動しているらしいが、喋らないのは彼の発する一句一句に命令権があるためらしい。音を出せばびくつかれ、感謝を述べれば恐縮され、肩身の狭い思いをしているとのこと。筆談で普通に話せた。
第8席『吸血姫』セトナ・ノクターン。
菫色の髪はボブカット。瞳の色は赤いです。
彼女の苗字は第一夫の苗字だそうである。
つか吸血鬼ってスペック同じくらいなのかしら。
第9席『白雪ノ人』ラックゼート。
まあ、ものの見事に真っ白な髪、肌、目の人間である。神子から出た初の死徒である。
第10席『人刃』クラウン。
浅黒い肌と銀色の髪、ここにもいた。目は赤い。こいつはカガチやシグマと同じ種族だがもう片割れの血が能力面で色濃く出たのだという。人刃ってのは、武器に姿を変える人種のことだそうである。まさかと思って聞いたらやっぱり軍神配下の死徒だった。やたら俺たちを見る目が温かい。
第11席『魔導王』リリアーデ。
クラウンの嫁さんだとか。黒い髪をツインテールにしていて、瞳はターコイズブルー。人間だそうである。いわゆる賢者で、クラウンの主人でもあるという。
こちらもまた俺たち一家を見る目がとても優しい。
第12席『蟲王子』クーヴレンティ。
青い髪のキザ野郎、こいつのところへは令息姿でしか行かない。それでも品定めされるような視線を感じるのでホントにやめてほしい。菓子が好きならアウルムにたかれや。
第13席『魔王』バルティカ・ぺリドス。
はい、イミドラのラスボスさんである。オリーブ色の髪と金銀のオッドアイ。この人半精霊なんだなーと思っていた記憶がある。アウルムを見たとたん拝みだしたのでやめさせた。アウルムがドン引きしそうだったから。
どうやら、メタリカの血が入っているらしい。ペリドットを生成できるそうである。
人間嫌いになるよなーと、彼が人間をよく思わなくなった原因であろう事象に思いを馳せた。
第14席『竜化者』ドウラ・ドラクル。
本日いらっしゃっていない御方である。イミット族の族長であり、大陸にいるイミットの長である。黒い髪に青い瞳を持っているらしい。
無論、ハドの親父さんである。
第15席『千里眼』サルヴィア。
千里眼といいつつこの世界のことを見ているわけではないそうだ。
俺と会った時、なぜかひどく感動した様子だったのを覚えている。
ちなみに俺にもこの千里眼、教えてくれる気でいるらしいのである。千里眼といいつつ魔法なのだとか。
第16席『不朽の探究者』アルティ。
見た目は骸骨さんである。リッチとか呼ばれる類のモノであるらしいが、目が青く光っていらっしゃる。なぞ言語喋るけど無表情なので、そこをわかりやすくするために顔文字を表示する機能がついた布切れを所持しているらしい。ちなみにこれを考えたのはカガチとシグマで、術を組んだのはラーであるとか。
第17席『闇の歌姫』チャル。
青から緑に変わるグラデーションの髪をお持ちのお姉様である。ある日気が付いたらこの状態だったとか。
第18席『呪い師』エングライア。
唯一の外見お年寄り枠である。優しそうなおばあちゃんだ。
てか来すぎだろ、お前らもっと出席率低くていいのよ。
そんなこと思っていたら、アウルムのことを先代と魔王が呼んでいることに気付いて俺は身震いした。
「お前魔王だったことあんの」
「ミスリル狙いで捕まったことがあってな、ムカついて暴れたら国吹っ飛んだ」
「まあそうだと思ってた」
お菓子を持ってきてくれた彼には悪いが、俺は本当に彼を奴隷にしたままでいいのだろうかと思ってしまう。仕方ないだろ、怖いわ。
「ああところで、お前らこの状況には気付いてるか」
「はい、2度目があるとは珍しいと思ってました」
「え、2度目なの? 私記憶ないんだけど」
「私もないな」
「お前ら前回いなかったもん当然だわ」
アウルムが急に話を振ったと思ったらそんな返答が返ってきた。
彼らは転生云々ではないだろうけれども、まあ魔法使える人たちだからな、何があっても驚かんわ今更。
「俺は横行ってる感じだな」
「何度目だお前」
「俺17回目、ぼんやりだけど戦争したのは覚えてる」
「転移者ってもともとそうなりやすいんかな。シグマは?」
話を振られた狂魂喰が首を横に振った。
「……この感じだと、やっぱヤロウの持ってる属性は厄介だな」
「戦ったことあるの?」
「俺は、な。お前らも戦ってるがたぶん記憶ねえだろ、ロード以外」
「ロードは神々の干渉を受けないもんね」
さらっとこっちに情報を流して呉れるセトナには感謝である。ロードが俺をジト目で睨んだ。やめてください心臓に悪いです。
「ま、どうせ戦うことになっても人間の手なんざ借りねえけどな」
「だな」
「主たちに任されたこの世界、好き勝手されるの、嫌」
「でもこないだ根っこ切ったけどすぐ治ってたじゃん、アレどうすんだ」
話聞いてるだけですごく事が進んでるのが分かる。俺は大事なことはメモをしつつ死徒の話を聞いていた。
「人間の手を借りないとはいっても、前線に出さないだけだろう? 君に処理落ちされても困る」
「処理落ちじゃねーっての!」
こうしてみると、魔王と最後に戦うイミドラも意味わかんねーな。
こんなに人間に友好的なのになんでこいつがラスボスと化したんだか。
そう思いつつ俺は紅茶を口に運ぶ。
その日の晩御飯まで一緒に過ごして、死徒たちは帰っていった。
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