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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部1年生 後期編
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鋼竜の進化

カイロス・ロムドギア殿下は来年から学園に編入するそうである。国内の動乱が収まるまでいるということだった。結構この動乱は長く、6年ほど続いたはずだ。今はちょっと、見学期間ということになっている。


というわけで、現在は案内役にされたカル以外のメンバーで魔物宿舎に来ている。


コウの部屋には大量に俺たちが回収してきた鋼竜の素材が敷き詰められている。

コウは此処でしばらく鋼竜の魔力の残滓を浴びて進化準備を整えていた。

コンゴウも進化準備を整えるのだが、彼には宝玉を1つやる事で終わらせることになっていた。アウルムが持っていた宝玉、というか、コンゴウ自身が持って来たようだ。


にしても、皆この17人には裏切られないって考えてんのか。すごいな。スレイたちも特になんて反応を見せるわけじゃないし。


こちらはこちらで勉強をしながら未来の誘導のために動くということをし慣れているナタリアとシオンは、俺たちには勉学に集中するように言っていた。


情報収集のために皆ばらけて授業を受けている。

クラスは平民用と貴族用があるが、ゼロも貴族用を受けている。アウルムは単独で平民用の方にいる。

アウルムがいれば確かに情報収集十分なんだが、アウルムはなるべく動いて欲しくないというのが本音だったりする。


ナタリア曰く、「向こう見ずでさながら鉄砲玉。顧みてください、自分の身を」を、何度言っても守ってくれない男だそうだから。

何度も転生し過ぎてことなかれ主義であると公言しておきながら自分の運命じゃなく他人の運命に抗って死ぬ確率を爆上げするタイプだそうである、ふざけんな。


というわけで、アウルムは余計なことまで調べてきそうなので動くなと言い付けてあるのだ。自由奔放な方がいいとは思うけれど、それで奴隷落ちとか誘拐とかなったら洒落にならんのですよ。


「鋼竜の進化ってどうなるんだ?」

「さあな。俺一度もコウが進化したの見たことないぞ」

「……ちょっと待て、それってまさかいっつもセトさん途中退場ってことですかね」

「ん、そうなるわな」


セトさーん!?

お前いつも途中で死ぬってよ!?


「鋼竜の進化条件ってそんなに厳しいのか」

「まあ、1体進化させるのにこれだけの素材が必要なんだぜ。厳しいだろうよ」


アウルムの言葉に俺は苦笑するほかなかった。


「逆に、コウが進化しちまえばこっちのもんだ。なんつっても、コウにそん時足りねーのは乗り手を守る力だからな」

「そうなのか?」

「そもそも鋼竜は自分の鱗の形を自由に変えられる。騎乗してさえいれば、鎧なんざ要らねえもんなんだよ」


アウルムはそう言って、立ち上がったコウに手を差し出す。コウはその手に擦り寄って気持ちよさげに撫でられ始めた。


「こいつも身体壊したことがあってなあ。そんだけこいつもセトのことが好きなんだよ。孵してくれた、よく撫でてくれる、構ってくれる、大好きな主。それを亡くす怖さってのは……ドラゴン系はほとんど覚えてるだろうよ。ナイトも、記憶が戻ったら気を付けろ。世界丸ごと飲み込みかねないおっかねードラゴンに成長すんぞ」

「うわ、それ俺が死んだせいで歪んだのかよ?」

「だろうな、ロキ演じっぱなしで婚約破棄エンド見たぞ俺。お前冤罪で吊し上げられて、そっからナナシっつー名前で傭兵始めたな」

「……え?」


ロキのヨルムンガンドだからってことで無理矢理俺と引き離されたナイトは、その後ナナシを追って逃亡、途中で魔物として退治されたものの、こんな言葉を残した。


――こんな世界、無くしてやる。


できる子なのでしないでください。

俺は思わずナイトを見てしまった。


「なんか、予想以上にドラゴンたちの状況が深刻?」

「ドラゴンってどっか繋がってるとこあるから、ドルバロムが降りてきた3回前からは皆確実に覚えてるぞ。そうだな、今回珍しいといえばソルのアンフィスバエナか」

「マジで?」

「やっぱアキラがアンフィスバエナなんだろうな。俺にとっては初見じゃねーが、ソルとしてアキラはずっと転生してるはずだ。お前にロキだった時があったように、ソルとアキラが同居してるだろう」

「そういやそんなこと言ってたな……」

「ああ」


でも、ナナシになって俺が傭兵になるとか、なんかとんでもない話聞いたな。


「……なんか、逆に俺がいるからゲームの設定ができてるみたいだな」

「……」


アウルムが小さく笑った。

そのまま俺の頭を撫でてくる。

ぷう、となんか間の抜けた音が、と思ったら、撫でる手をアウルムが止めたために不満を訴えてきたらしいコウの頬がカエルのように膨らんでいた。

可愛い。


「甘えたさんか~」


撫でてやると、俺に擦り寄ってきた。

セトは自分の少ない魔力のためにコウに負担を掛けないようにと魔力を魔石に大量に詰めていたので、それを取りに行っている。


――どこだろうと2人は変わらないものだね。


リオの声がして、俺はふと空を見上げる。


「そりゃ、俺たちだもんよ」





敷き詰められた素材の上にコウが座っている。セトの魔力を込めた魔石をゴロゴロと素材の上に置いていく。

皆で手伝う。この時にはカルとカイロスも戻ってきていた。


「進化というのは魔法なんですよ。魔物たちは普通に使うことのできる魔法です。自分の存在を一段階上級のものにするわけですからね」


ハインドフット教授のそんな言葉を聞きながら、俺たちはコウの進化を見守った。


コウの身体が一気にめきめきと音をたてて姿を変えていく。

丸っこいころんとしたものが内側で蠢いているのはなかなかにグロテスクだが、よく見ればわかる。あれ関節だな、とか。


魔力の流れを辿ると、全部コウに吸収されていくのが見えた。

そして背中が割れた。

脱皮かよ。


中から姿を現したのは、鈍色の身体のほっそりしたドラゴンだった。

手足と翼があるので確実にドラゴンである。


「これは……」

「うわ、そっちに行ったか」


アウルムが呆れている。


――ナイトメアドラゴンだね。


鋼要素どこ行った。


――その子、竜人種になることを選んだみたいだよ。


俺はアウルムを見る。アウルムは俺を見て、小さくうなずいた。


「え、と……コウ?」

『セト!』


ちなみに、体長は1メートルくらいである。お前ゴツイんだからセトに抱き着いたりしたら――あーあ。押し倒してしまった。潰さないといいが。


「え、今喋った」

「おお、すごい!」


クラスの皆が興奮し始めた。


「セト、無事か」

「な、んとか」


セトは身体をおこし、抱き着いているコウを撫でる。


「ナイトメアドラゴン、竜人種に近い方のルートに入ったぞ」

「マジか」

「コウって確か両性持ってなかったか?」

「ゼロやめろ生々しい話すんな」


ゼロからどえらい情報入ってきましたがな!

ちなみに今の、コウがセトのこと好き過ぎて恋愛感情あるんじゃないかって説を提唱してきただけである。

止めろまだイミットを作る気ですかおやめなさい。これ以上増えるとマジでやばいだろうが。


ちなみにイミットって、単純にドラゴンの血を継いでるってだけなんだよ……竜帝直系がドラクルってだけなのだ。


「でもナイトメアの後にミスリルナイトなかったっけ」

『進化楽しいけど疲れた』

「だろうな。ゆっくり休め」

「あー、やっぱり俺の魔力じゃ足りねーのか……」

「いや、こいつ闇の魔力ばっか持ってったからだぞ。闇に進化したいなら夜に進化しなきゃいけねーんだが、昼だから余計魔力使ったんだろ」

「マジか」


今度からはそこんとこちゃんと調べような、と言われて、はい、と返事をしたセトは、そのままコウに枕にされ始めた。潰れないといいけど。


「次はコンゴウか」

「すぐ終わると思うぞ」

「進化経験は?」

「ゴールド止まりだったんだよ、今までが。俺だってまさかゴールドで生まれてくるなんて思わねーじゃん」


アウルムはそう言った。元はコウと同じく鋼竜の幼竜として生まれてきていたらしい。ゴールドで生まれたのは今回が初めてとのこと。


宝玉を構えていたのでそのまま進化を促すと、こっちは完全に人型になりやがった。


「!?」

「ちょ、魔力量がバカみたいに増えてるよ!?」

「鱗が琥珀色だ」

「ちょ、上位竜になったぞこいつ( ´∀` )」

「はァ!?」


鑑定の結果、コンゴウはモグラと呼ばれるドラゴンになったようである。

モグラは土竜と書くことからここにあるのだろうが、あの前足のでかい齧歯類とはまた別扱いだ。


「土竜かー。上位世界だと竜じゃなくて魔族区分なんだけど、まあ気にしたら負けだな。この次進化して地竜になってたら俺たち最強確定」

「なんだと」


リメイクではここがだいぶ変わってしまったんですよねー←


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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