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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部1年生 後期編
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帰還

「……お家帰りたい」

「サンダーバード居座りすぎだろ、とっとと帰れよ畜生」


皆の忍耐力が限界近いな。

食糧は今日でおしまいです。

お風呂は皆何となく水魔術と火魔術でお湯作って交替でやってます。


でもね、サンダーバード増えてんですよ。

1日目には1羽しかいなかったのに今5羽に増えてるからね。


――なんで?(´・ω・`)


「最後は強行突破だな」

「今のゼロのサイズじゃ無理だろ、サンダーバードでかかったぞ」

「どちみちここを抜けねばならんことに変わりはないだろ」


ゼロとアウルムがそんな言葉を交わしている。

俺はぼんやりと外を眺めた。


楽し気に舞ってらっしゃるサンダーバード、一体何に乱舞しているのか。

ハインドフット教授は何かに気付いたようで早く知らせなくてはとメモに何か書き記していた。


「ハインドフット教授」

「うん?」

「なんであんなにサンダーバードたちは楽しそうなんですか?」

「サンダーバードの王種が生まれるんだと思うよ。雄は青紫と黒の羽を持っている。そしてあの一番身体の小さな固体、あれは雌だ。王種の雌は赤紫さ」


サンダーバードの中でも赤っぽいのと青っぽいのは存在するが、その赤っぽいのがいた。青っぽいのが雄で、おそらくその赤っぽい小さいのは雄を待っているのだろうとも。


「もうじき終わるはずだよ。ああほら、雷が止んだ」

「あ、ほんとだ」


俺たちはおお、と声を上げた。

雨も止んだ、光が差してくる。

サンダーバードが最後にちょっと鳴いて、去っていった。


「……出てみるか」

「だな」


アウルムと俺は外に踏み出す。ぬかるんでいるし水も所々溜まっている。

サンダーバードの羽と思しき羽毛が散っていたので少し回収した。

皆も出て来てあたりを窺う。


「サンダーバードはいなくなったけど……あっちゃー」


リズさんが息を吐いた。

リズさんの視線の先を追ってみたが何もない、透視でも持ってるんだろうか。


――下の方、道が崩れてるよ。


マジか。リオ、さんきゅー。


――どういたしまして。


「どうしたんだい」

「下の道が崩れたみたいです。アウルム、お前どこまでできる」

「俺がそう簡単に水に流れるとでも? 金の比重なめんなよ。俺がまず渡る、両側から橋掛けて終わり。それか、ちと危ないが、そこだけ反磁力で浮かして足場を作るとか」

「土属性って魔力があったらチート属性だよな」

「それは同意するわ」


途方もない話になって来たので一先ず下りるかという話になった。

つーか、1日でここを降りて、2日で王都に戻るんやで。


そういえば、靴擦れをおこしていた子もいた。ルナたちが治療はしたみたいだが、きっとまた靴擦れになってしまうだろう。


ブワリと強風が吹いて来て、俺たちの頭上に大きな影が降ってきた。

何だろうと思って見上げると、ヤバい影が見えた。


「なんだあれ?」

「い、いけない、バハムートだ!」


ハインドフット教授がちょっと焦り気味に声を上げた。

バハムートはドラゴン形態のベヒモスのことである。――魚型もいるけど気にしたら終わりだ、魔物は等しく皆魔物だ。


バハムートは肉食で、人間だって襲う。まあ、テイムされたバハムートに話聞いたら「人間は不味い」って言ったらしいけどさ。


これは、道に逃げたがいいけど足元不安定じゃんどうすんだこれ。


「どうしよう」

「ちょ、降りて来よる」

「ぎゃー食べられる!」

「人間は不味いらしいな?」

「カル殿下冷静に見えて結構テンパってる!」


皆落ち着け。


皆で一旦洞窟に入ると、やっぱりバハムートは洞窟の前のちょっと開けたところに降り立った。首短い。張り出した角は2本でシンメトリー。2足歩行とまでは行かないがそれに近い形態をしている。翼は2枚一対のみ。

全体的に赤黒い色をしている。カッコいい。


『――人間がこの場に来るとは、何事かな』


でかい声が、響いた。

俺はアウルムを見る。アウルムは首を左右に振った。


つまり。

アウルムは人間区分されてないってことだ。

俺たちが行くしかない。

俺は前に進み出る。


「こんにちは、でいいのかな。俺はロキ。ロキ・フォンブラウ。初めまして、バハムート」

『――ふむ。君がいるということは、敵対行動ではなかったか』

「鋼竜の素材があるという話を聞いたから、連れてきてもらったんだ。リーヴァに先に断りを入れればよかったな、すまない」

『いや、構わぬ。ドルバロム様からそれとなく話は来ていたからな』


マジか。リオ、マジでありがとう。


――どういたしまして~。


『それらが、か』

「ああ」


コンゴウとコウがアウルムとセトのところから飛び出してきた。いかん、コウがよちよちしてるのが可愛い。


『――主を喪い、育つことのできなくなる道を歩む竜、か。今回はそうならぬとよいが』

「無論、させねェ」


アウルムが言った。バハムートは小さくうなずく。


『敵でないならば、よい。――道が崩れている、乗せてやろう』


おや、話がぶっ飛びましたぞ。

俺たちは顔を見合わせる。


マジ?





「キャッホー!」


元気にソルが叫んでおります、バハムートの上。

俺たちは今現在バハムートやワイバーンの背中に乗って移動中である。

王都の側に降ろしてもらうことになったのだ。


「すさまじいな」

「圧巻」

「ドラゴンの背中に乗るとか、初めてだ……!」


カル、リヒト、アレクセイの言葉である。


「これ話したらエリオが僻みそうだな」

「エリオもいつかドラゴンと仲良くなったら乗せてもらえばいいさ」


そんなことを言いつつ俺たちは王都へ向かって飛んだ。


崖からドラゴンがゆっくり、人間が飛ばされない程度の速度で飛んで約2時間の距離に、王都はあった。

先にエリオにリンクストーンを渡していたので、それで陛下たちには連絡を入れた。

なので王都の皆様には俺たちがドラゴンと仲良くなったってことで通達が行ったらしく、じゃじゃ馬が結構集まっていた。


「晒し物じゃないですかーヤダー」

「仕方ないわ。それに目立つのはバハムートなのよ」


ナタリアとルナも仲良くなってて何よりです。

バハムートから皆が降り立つ。

俺は、燃える暁色を見た。


「ロキ!」

「レヴィ!?」


リーヴァと呼べば誰かすぐにばれる。ということで、彼は今現在、俺たちよりも少し幼いくらいの姿に変身している状態だ。

名は、将来使うことになるレヴィで通すことになった。


飛びついてきたリーヴァはそのままバハムートへ向き直った。人間の扱いは雑な御方なのである。


「皆を送り届けてくれたこと、感謝する」

『――』


バハムートは一声鳴いて、俺たちを見て、強烈な風を起こし空へ舞い上がった。ワイバーンは助走して飛ぶのな。


「――じゃ、学校に戻りますかね」

「だな」

「レヴィ、お迎えありがとう」

「構わぬよ」


それと、宝玉をレヴィに見せておく。


「これは……また上等な」

「竜帝のとこに集まりたいってんなら、お前らに預けんのが妥当かなと思ってさ」

「むむ……難しいな。これらは恐らく余には反応せん。お前が持っておけ」

「そうか?」


じゃあ遠慮なくいただくとしようか。



♢     ♢     ♢


「……今回はあの岩場へ行ったか。となると、ふむ。ロードの欠損小僧を借りるとしよう」


ここまで読んでいただきありがとうございます

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