ヒロインたちのお茶会
ソル視点
鈴蘭の間を、私たちだけで使うことにした。
理由は、いろいろと整理しておきたいことがめっちゃ増えてしまったから。物語始まってないのにこの状況。イミラブ……恐ろしい子。
「というわけで、第1回ヒロイン会議開催でーす」
「わーぱちぱちぱち」
「パチパチパチ」
「わー」
イミラブシリーズは4つで完結したらしい。
イミラブ、イミラブ2のほかに、Memoriaとエンハンスと呼ばれるものがあったようだ。
「というわけで、まず簡単にキャラクターの確認からスタートで」
「「「はーい」」」
まず、私が分かっているキャラは私ことソル・セーリス、ルナ・セーリス、エリス・イルディの3人だ。
「実は、エリスちゃんそこまで警戒しなくてもいいんだよね」
「そうなの?」
「うん、だって、エリスちゃんはっきり言ってハーレムルート全部プラム様に奪われてたから」
「じゃあ、イミラブのヒロインってどういうことしてたの、その……私たちの前は」
「普通、だね。概ねゲーム通りに進むんだよ。最後にプラムが全部持ってくの。そして戦争」
「そこが問題だよねー」
戦争になってしまったらどうしようもない。
「なんでそんなことになるの? ハーレム築いただけでそうなるの?」
「婚約者がいるルートを選ぶとそうなるんだよ。カル殿下はロキ様蹴落とさなきゃだし、セト様はアルトリア様でしょ、リヒト様は婚約者じゃないけどライバルとしてターニャはいるし。エリオ殿下が一番まともだったかな」
プラム王女、嫡子だけど女の子。旦那さんは他の王国の王族ってのが一番楽だったんだろう。それなら確かに婚約者の居ないエリオは優良物件かもしれない。
「え、じゃあそのルートでは」
「あー、これはダメ、俺様エリオが調子づいちゃって国が亡んじゃうから」
「ヒロインに気に入られたい脳の攻略対象……」
それは言っちゃだめだよエリスちゃん。
「ソルとルナは?」
「ルナちゃんは教会で女神官、教会の腐敗をぶっ潰す!! って意気揚々と乗り込んでいったよ。ソルちゃんは領地経営やってた」
フツーですな。
「というか、ヒロイン全部で何人出てくるの?」
「本当は9人いるはずだけどね。戦争前には5人になってる」
「え、なんで!?」
「奴隷落ち2人、スラム落ち2人。帝国の動き次第でクレスが殺してる時がある」
クレスって、メモリアの攻略対象らしい。つまり、シド――アウルムとアレクセイ様と同じ。
「奴隷落ちって、こないだの銀髪の子……?」
「あ、銀髪の子もう奴隷になってた?」
「ええ、アウルムに接触してきたわ」
「アウルム君そのヒロインとは初コンタクトのはずだよ。それと、本来は会うはずないし、銀髪の子が奴隷になってるってことは、帝国の教会が尻尾出したね」
もう少ししたら帝国で教会のガサ入れがあるそうな。
「帝国で傭兵団が暴れてるって話聞いた?」
「あー、デルちゃんとこでしょ。ネイヴァス?」
「そう。彼ら、イミドラでも存在だけ出てくるでしょ」
「うん」
リョウはあんまり彼らについては語らなかったので私にはあまり彼らに関する知識はない。
「アウルムが虐げられるのが出現条件らしいよ」
「マジすか」
「最初知ったときは私もそんな反応した( ´∀` )」
でも確かにそんなフリはあった。
リョウ――というか、ロキの話を聞いてる限りそんな感じだ。
「今回のズレ、結構大きいなーとは思ってるの」
「じゃあ、ちょっと頑張ったら戦争回避できるかな?」
「たぶんね。これだけ転生者がいるのにズレなかったらおかしいけど」
今確認できてる転生者が、ロキとシオン、私とルナ、エリスとナタリア、アウルム、ハンジ。他は銀髪ちゃんでしょ、アルグも可能性ありでしょ、プラム王女でしょ。
11人? 多くね?
「めっちゃいるね」
「まあ、ロキ様が頑張ったんだからこれくらいズレて戦争回避になってもらわなきゃ困るけど」
「これラスボス居そう」
「ラスボスはもう一度倒されてると思う」
「「「え?」」」
ナタリアの言葉に私たちは顔を見合わせた。
「どういうこと?」
「なんていうのかな。ロキがいくらヒロインを超える力を持っているって言っても、相手だって仮にも神を名乗るレベルだったのは確かなのよ。プラムのやつも神様って言ってたし」
「ほう」
「でも、そんなやつが、ロキ様とシオンが同時に存在すること許すとは思えない。だから、もう誰かの介入に遭った後なんじゃないかな」
ナタリアの言葉に私は首を傾げる。
だって、それが原因で今ロキは苦しんでいる。
相手が神と名乗っているのであれば、つまりこれは仕組まれているはずで。
「……デルちゃんたちがいるのに放置してるのがおかしいってこと?」
「うん。ネイヴァス傭兵団にはドッペルゲンガー状態を簡単に解除できる人がいるの。だからネイヴァスがいるのが分かっているここで、ロキ様とシオンさんを放置している意味が分からない」
「だからダメージを受けた後だ、と?」
「うん」
ナタリアの言葉に私は少し考える。私自身がネイヴァス傭兵団をよく知らないから話が合わないだけなのかもしれない。
「……ところで、アウルム君よりそいつ強いの?」
「あー、アウルムはアテにしない方がいいよ」
「なんで?」
ルナとエリスの問いにナタリアが答える。
「だって彼、守りたいって思うものがないと、流される主義だもの」
「あー、それ分かる」
つい同意してしまった。
「そうなの?」
「彼、何が大きなことをするときは明確な到達目標が無いの。周りに合わせてことなかれで動くよ。何回か戦ったし。イミットの頭領の息子と相討ちとか結構あった」
「え、ハドとアウルム敵対したことあるの!?」
「ハドどころかイミラブ2の攻略対象者としょっちゅう敵対するよ。ロキを保護してやるって言いだすの死徒側だから死徒側で参戦するの」
あー、そういうことね。
今のアウルムが守りたいものはロキで固定されているんだろう。
「要するに、奴隷落ちしていたシドを拾って保護してくれたロキを守ってやると言ってくれた側についたってことだよね?」
「うん、そういうこと」
「それじゃ仕方ないかな……ってことはあれでしょ。要するにロキを人間側で白い眼で見られないようにすればいいってことでしょ」
「うん、結論はそう」
そしてその対策をどうするか、だけれども。
はっきり言って、プラムは王女様なので、とてもじゃないが男爵令嬢ではどうすることもできない。
高等部で大人しく彼女が来るのを待つしかない。
「やっぱり身体鍛えて魔物も鍛えるしかない?」
「うん、最悪の場合は戦争だしね」
「でも今戦争するとフォンブラウが確実に死徒側につくわよ」
「えっ、なんで!?」
「他言無用よ。今ロキのやつがつけてる死徒のアクセサリは18種類」
「ぜ、全員じゃん!」
驚愕に目を見開いたナタリアは、少し考えて、やっぱり、と口を開いた。
「プラム王女を説得するしかないかな……」
「やれるだけやった方がいいわ」
「プラム王女を叩くとしたらどうすべきかしら。彼女全属性持ちでしょ」
「簡単な話、属性の制限を掛けて叩けばいいの」
「なるほど、死徒の闇魔術じゃねーかあほか」
とにかくやれるだけのことはやらなくちゃ、という結論に達したので――走り込んできます。
「ソル、どこ行くの?」
「走って来ようかなと」
「私も行く」
「私も」
「ちょ、私も行きますぅ!」
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