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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部1年生 後期編
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グリフォンが攫う風

魔物学の時間を癒しの時間にしている生徒は結構いるらしい。

俺たちは後期では魔物学が応用編になり、野生の魔物の中でも話の分かるものたちに慣れていこうという段階に入った。


話が分かる、というのはグリフォンであるとかの高位のものと、意外というと偏見かもしれないが、ゴブリンやオークなんかの群れで行動するタイプの獣人種に近いものを指す。

ちなみに、グリフォンの方が効率自体はいいらしい。


ゴブリンやオークは好色的なので女子は危ないんだと。


令嬢たちを傷つけるわけにゃいかねーもんな。


つーワケで、晴れたのでまた魔物の聖域に来ている。

俺たちの魔物は連れてきていない。グリフォンは結構そういうのを気にするらしい。


俺とアウルムは一緒に行動することにしていたので、ハインドフット教授が俺たちに注意事項を伝え終えたら一緒に泉の近くの木陰にでも行こうかと考えていた。


「皆さん、今日からしばらくグリフォンに触れる機会が多くなります。機嫌を損ねないように。それと、今日は決してグリフォンに乗ってはいけませんよ。会ってすぐに乗るなんて危険なことはしないでください」


ハインドフット教授の注意事項を記憶しながらふと思う。


そういや俺とアウルムと、あとはセトかな?

グリフォンと前に面識を持った生徒はどうなるのだろうか。


「先生、グリフォンってやっぱりプライドが高いんですよね」

「はい。頭下げたら乗せてくれるかもしれませんが、今日はダメです」

「何故ですか」

「今日は風精霊が元気ですから。グリフォンは風属性の魔物です。今日はとっても元気ですよ。あの山くらい越えちゃうんじゃないでしょうか」


ハインドフット教授は遠くの山を指して言った。そんなに元気なの。


「帰ってこれねーな」

「だな」


アウルムはセトも一緒に行動することにしたようで、声を掛けに行った。俺はどっちでもよいので放置。


諸注意が終わり、俺たちは散開した。

ソルはルナやエリスと積もる話があるようで、一旦3人で行動することにしたようだ。クルミはアルトリアやターニャと一緒に行動。

カルはアレクセイ、リヒトと一緒に行くようだ。


――ちなみに今更なのだが、ハンジはこの授業を後期で取った。なので今頃卵を受け取っている頃だろう。今日3コマ目空いてるって言ってたし、ちょっと喋ろうかな。


「ここにするか」

「だな」


アウルムとセトがここ、と決めた木陰に座り込んだ。俺は一旦木の枝葉を見上げる。またバジリスクなんて降ってきたら怖い。

ところでグリフォンたちの視線がめっちゃこっち向いてんのが気になるんだけど。


「むっちゃグリフォンこっち見てんな」

「ロキいるしなー」

「俺じゃなくてアウルムだろ」

「いや、俺属性的にはグリフォンと相性めっちゃ悪いぞ? 土だし」


たぶんお前は闇属性だとしても皆寄ってくると思うわ。


「お、あのグリフォン卵抱えてね?」

「あ、マジだ」

「えっ。うわ、遠い、お前ら目いいな!?」


アウルムの言葉に反応して視線の先を追ったところに、巣があった。

泉の中央の島だ。

セトはうわー、遠い、とまだ言ってるが、そりゃ近付かれたくないんだから人間から遠いところに巣を作るのは普通だろう。


「グリフォンってこの時期に卵産むんかね」

「そうなんだろうな。俺が抱くとすぐ孵るから感覚おかしくなるわ畜生」


真冬にトマト育ててるようなもんだからな。


真夏は毒毛のキャタピラさんたちが大量に湧いているので森に入るのはよろしくない。来るならやはり夏休み明けになる。


皆の声がする。

泉に落ちたやつもいる。

アイツ午後の授業あるって言ってるやつじゃん、大丈夫かね。


ぼーっと周囲を見回していたら、こっちにグリフォンが3頭やってくるのが見えた。

白いの、黒いの、茶色いの。


白いのが俺に跳び付いてきた。相変わらずだな!

甘えたなグリフォンというものの可能性に気付いた、なんつって。

茶色いの、でかいなー。

セトに寄って行って、じっと睨み合いを始めた。睨み合いするんかい。


グリフォンは、「撫でてやろう」じゃなくて、「撫でさせてください」のスタンスで行かないとだめだ。この白黒は除外。

こいつらは「撫でて撫でて!」ってキラキラした目で俺らを見上げてるからさ。


しかし成長早くね。

それとも進化が早いのかな?

まだ小っちゃいといいつつも既に1メートルは越えているので押し倒されてしまう。


「う、お、わ!」

「セト?」


グリフォンにマウントとられたセトがいた。

うん、どうしてそうなった。


「もしかして、こいつ飛びたいんじゃねーか」

「乗るなと言われたのにか……?」

「お前風だろ、誘われんの決定事項じゃねーか」


アウルムは何かわかってる風に話し始めてるが俺にはさっぱりわからんぞ。


「ちょっと待て、どういうことだ」

「このでかいグリフォン、前に会った時にセトを気に入ってたんだろう。で、今日は風精霊が元気だ。たぶんこいつらも俺らを乗せたいって言いだすぞ」

「断固拒否の方向で」

「それは俺の台詞だわ。俺風魔術でどうにかできるレベルじゃないから! 金属だから! 比重一番重いから!」


セトには大人しく飛んできてもらうしかないだろう。俺たちも一緒に行かないかって声掛けてくるセト、イイ笑顔である。


「お断る( ´∀` )」

「俺もパス」

「なあお前ら重量操作魔術って知ってるか」

「「デスヨネー」」


逃げられなかった。流石に無理か。


重量操作魔術ってのは、重力魔術と違い、質量そのものを変化する魔術だ。質量変われば重さも変わるわけで。


「アウルムも逃げらんなくなったな」

「くそ、そんな高等技術持ってたのかよ、初耳だぞ」

「祖父ちゃんが祖だったらしくてな。親父も俺も持ってるよ」


この世界の属性って面倒だなぁ……。

そんなことを思いつつ、俺たちは結局1時間のグリフォンフライトを楽しんだ。


マジで山を越えて、戻って来た時セトがグロッキーになった。ハインドフット教授が珍しく大声で怒鳴った。


魔物宿舎の掃除を言いつけられました。3人でやってきます。



ハインドフット教授「怪我がなかったからよかったけど……危ないんだからね、特にアウルム君!」


生徒の心配ちゃんとしてくれる人です。


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