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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部1年生 後期編
65/154

死徒会議

死徒サイドのお話。

セトナ視点



死徒列強。簡単に言うならば、死徒の中でも特に力を持った者たちを指す言葉。

皆で集まったのなんて、何百年ぶりかしら。

全部で18人。わざわざ別の大陸にいるのに集まってくれるんだから、律儀なものよね。


ちなみに、議題はロキとシオンの扱いについて。


ロキが本格的に私たちと話をつけに来たから、こうなった。


まさかシオンの人格があったとは思ってなかったので、私たちも驚いている。ロードだけは分かっていたみたいだけれど。


「で、何で僕に出禁令が出ちゃうのか、理由を教えていただけないかな?」


私の目の前にいる青い髪の男が口を開いた。

こいつは私よりもかなり年下。

蟲王子クーヴレンティ。


ロルディアと何か関係あるわけじゃない。

彼女は彼女で独立しているので。


「決まってるだろう、君が出てきたら令嬢たちの安全を確保しようとした彼の努力が無駄になる」


間髪入れずにズバリ答えてくれたラー君。昔っから変わらないなあ。

あ、ちなみに彼は私より年上だ。

彼の次に年を重ねているのが私なのだけれど、彼は今の竜帝(・・・・)を育てた人物の1人なので、リーヴァに対してもかなり強力な発言権を持っている。

違う大陸にいたはずなのになんでこんなことになってるのか不思議なものです。


「そんなのロルディアだって一緒でしょうに」

「彼はロルディアの許へはロキの姿で行ったようだが?」

「うん、あの子ちゃんと私について知ってたよ」


ロルディアもロードもいる会議ってかなり珍しいけど、仕方ないよね……。

だってこの子たちは大の甘党。

アウルム様てずからお菓子作って詰め合わせにしてくださったので遠慮なく持ってきました。


クッキーがすごい勢いで無くなっていく。

やばいなー足りるのかしら。


「……足りるかな、これ?」

「くっ、作ったのがカナトでなければ私でも代用できたものを……!」


アウルム様人生極めたねー。

ちなみに、私がアウルム様に会うのはこれで3度目になる。

またこの世界にいらしたんですねー、お久しぶりです、みたいな感じだ。


本当はあと2回くらい来てるらしいけれど、全部神代のお話だそうです。

この世界でラー君がアウルム様に会うのは初めてで、大陸違うと会えないんだなって漠然と思った。


カナトって、アウルム様が使う偽名である。固定だ。

私たちも知ってるもの。でもラー君の前世ではカナトって名前だったみたい。


「ロードのところへは?」

「男の子だったよ」

「ロードは有名だもの、対策取れるわよ」


げーむ、とやらによる知識をベースに書物を読み漁り、アウルム様からも情報を聞き出して、他の転生者――ソルちゃんとクルミちゃんと、ナタリアちゃんって子――に伝えたうえで、こちらと交渉しに来た。


代償を求められたけれど、“何か作ってほしいもんがあったら言いな”って、言って行った。

使えるのは1人1回なので全員で18回だけれども、この回答、死徒の特徴を知っていないとできない提案だ。

げーむって怖い。


死徒は、何故こう呼ばれるかというと、上司がちゃんといるからだ。

その上司、というのは、それぞれで異なる。


ただし、分類は皆――死神、冥王。

ハデス直属こそいないけれど、タナトス直下はいるし、ネルガル直下は一族でいるし。

関係の強い軍神一派の直下である人刃族だっている。


ヘル直下もいるんだけどねー……ヘルは、自分で魔物区分で出てくることがあるから何とも言えない。


――え? 私ですが何か。


ヘル別に何も言わないんだよ。自由にしてていいんだよ。

そこじゃない、そっちじゃなくて、彼女の権能が面倒なの!


神々の権能というのは総じて面倒くさいもので、誓約とかあって使い勝手は悪いので、今の状態――名付けが許されてもせいぜい属性の加護が出るとか、従いやすい魔物がいるとかその程度――はちょうどいいくらいなのだけれども、ヘルのは別格だ。


一般の死人生き返らせるからね。

あれは無いわ。


ちなみに、シオンちゃんに聞いたら、ヘルはシオンちゃんの魔物として生まれるそうだ。隣の真っ白野郎ことラー君に聞いたら、ヘルはロキ神の子供だ、って言いだした!

もういい、ヘルは任せた! ってなった私は悪くないよ!


あの人喋んないもん!

喋んないのになんで言うこと聞かないのよってイライラしだすからわけわかんねーわ!

要求あるなら喋れや!


ああいけない、自分の上司思い出してつい殺気が漏れてた。


「……大丈夫、セトナ?」

「うん、上司思い出してただけ」

「あー、ヘルか……」

「ロード知ってんの?」

「知ってる、というか、最後まで私を殺そうとしてくれた一柱」


あー。

ロード、何の変哲もないどこにでもいる少女だったって話だ。

神代の戦争の余波かなんかで死ねなくなったんだったはず。この世界に生きてるのにこの世界の理の中にいない、みたいなやつだった、よく知らない。


あ、お菓子無くなった。

ロードがじっとバスケット見てます。

欲しいんだろうなー。

大食漢め。可愛いから許す。


と、ラー君が立ち上がる。


「どうしたの?」

「菓子だけ送る、と」

「転送する気かよ」

「転移魔術の簡易版を作ってみたんだ、見てくれ、といったところだろうな」


一番回答に近いであろう言葉を紡ぎながらラー君が部屋を出ていく。私も一緒について行った。


「あ」

「ッ」


あはは、廊下に転がってたのねお前。


「駄目じゃない、邪魔よ?」

「はーい……?」


分かったようなわかってないような。

黒い髪の吸血鬼、目は見えてない、というか、そういう仕様にされて捨てられてたのを拾ってみた。


思いっきり蹴っちゃって頭蓋割れたっぽいけど、アンタなら治るでしょ?

気にしない。

吸血鬼なんてそんなもんよ。


厨房へ行って皿を出し、送られてきたお菓子をそこに乗せた。

また急ピッチで作ったのだろうに形のいいものばっかり。

あ、崩れてるのも送られてきてはいるのね。


「形が崩れているのはロードにくれてやれ、と」

「ロードはお腹いっぱいになればそれでいいって人だからね」

「まあ仕方あるまい」


2人で皿に盛り付けて、厨房のやつら全員手伝わせて持って行った。





「――で、結局話纏まったの?」

「ああ。まあ、予定通り、ではあるな」


リーヴァが口を開いた。

炎色の髪、暁色の瞳。

竜帝の愛し子リーヴァ。


ちなみに今日は奥さん連れてきてない。連れて来いよあの子可愛いんだから。


「では、準備が整い次第人間の学園へ行くと?」

「ああ。余は約束は違えぬ。今のうちに確約しておけば向こうも動き易くなろう」

「フォンブラウの令嬢が居なかったらもっと決まるの遅かったかもね」


感慨深そうに口を開くそれぞれ。私たちはさっそくクッキーを摘まむ。


「ま、あの子たちも戦争嫌だろうし。せっかくこっちが戦争賛成派のアホ3人押さえてやるっつったんだから、本気でひろいんとかいうのを止めに掛かるんじゃない?」

「おそらくそうだろうな」


ロードがじゃあ、と口を開く。


「このお菓子食べ終わったら、皆でちょっとキャンプに行きましょう」

「え、これから?」

「どうしてまたそんな急に」


ロードのお腹にどんどん消えていくクッキーたち……。いい食いっぷりや……。


「神気取りのコトワリハズレを刻みに行くわ」


――部屋の空気が、冷たくなった。


「――もっと早く言ってほしかったわね」

「俺はいつでもいける」

「久しぶりの命知らずだな!」

「――刈り取る」


「他のサポートが居ないと、私たちだけではどうにもなりませんねえ」

「ばーさんは薬作っとけ」

「どのように殺してやりましょうか」

「その手足になってた子は殺っちゃダメ? ダメかー」


「ふ、竜帝がこちらにいらっしゃらなくて本当によかった」

「コトワリハズレか、久しぶりの獲物にしちゃ上等だ」

「食べていい?」

「いい苗床にできそうですから僕に譲ってくださいよ」


「この世界で神気取りとか、笑かすなや」

「神はもういない、カタリ確定(笑)」

「――――――ッ!」

「吠えんな」

「じゃあ、決定ね。お菓子楽しんだら、偽神狩りかぁ。いいわね~」


皆の反応はこんなもん。

命の軽さを教えてあげましょう。


それとついでに、神代の民が命懸けで守ったこの世界を穢した罪、払ってもらおうかしら!


ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

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