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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部1年生 前期編
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覚悟を決める

ロキです。

ソルから俺とシオンの関係がドッペルゲンガーに近いものだと判断したという連絡が来た時、なんとなくだが、“ああ、それでか”と内心ほっとした。


訳もなく、ただひたすらに気味の悪い夢をみて、朝起きたら身体中に引っかき傷ができてる、ってのがここ1ヶ月の俺の寝起きである。


とにかく、胸の内側になんか埋め込まれてて、それが気持ち悪くて取り出したくて、無意識に胸を掻っ捌こうとしている感じだ。


シオンは自称であるのではよ名前決めろと母上に催促中だ。


彼女を分離すると、この悪夢的な何かは多少鳴りを潜めた。

だが、直接見ると無意識にコードを組んでいたり殴りかかったりするので、やっぱり俺と会わないためにシオンには女子寮で大人しくしておいてもらうほかない。


現在、鈴蘭の間。


セトとカルにのみ事情を話し、どうにか対策を調べてもらっているところだ。

こういう時に限ってデルちゃんたちは出払っている。今は帝国近くのどこぞにいるらしいので話は帰ってきてからだな。


「くそっ……」

「ドッペルゲンガーにそんだけ耐えてるお前相当だと思うぜ~?」

「軽く言いやがって……」

「おら、午後何もねーじゃん、飯もゆっくり食えばいい。休憩室に運んでやろうか、ダチ公」


こいつオカン染みてきたよ……。

体調崩して最近マジでスーたちに会いに行けてない。

寂しがってますわよとはシオンからの報告である。


「しかし、シオンが別の世界から送られてきたとするなら、その世界に送り返さなくちゃいけないんでしょう?」

「そうなるでしょうね」


ソルやエリスが真面目に話し合ってくれているところ悪いが、今も胸の内側がゴロゴロしてて気持ちが悪い。


「空間魔術ではどうにもならないのか?」

「空間に時間、ついでに世界を渡れるような強大な魔術とそれを魔法に昇華させるだけの魔力を集めきれたらできるわ。現実的ではないわね」


ゼロの声が聞こえる。こいつもだいぶ喋るようになった。応えたソルの意見はイミットが数人集まれば出来そうなことを人間では無理だと斬り捨てた。


「でも解決法はアウルムが持ってるんでしょ?」

「ああ、でもなかなか許してくれなくてなァ」

「どんなものなの?」

「俺が一生隷属」

「「「却下」」」

「あーもー俺ってば愛されてるぅ( ;∀;)」


俺の言ったことに一切逆らえないってんだから却下は当然だろうが。

ちなみに、契約の証はピアスだ。

純金と、もう一つの金属のピアス。

俺がつければ契約完了。


「本当に煮え切らない男ですこと」

「ロゼ酷い」

「シオンが言ってたわよ、“私だってシドにそこまで命を預けられたことないのにうだうだして”って」

「好き放題言いやがってあの野郎」


ただ守られただけだったのよ、悔しいわ、とシオンは言う。

たぶん銀の所為じゃね、それ。

さて、嫌がらせに禍々しい千羽鶴でも折ってやろうか。


「銀は大丈夫なのかよ」

「分かんねーけど、そんときゃ一緒に付き合え。俺一番下だから」

「そこまでいくのか。巻き込むんじゃねーよ!」

「ちなみに俺には俺自身を人質にとるっつー手があるのを忘れるなよ」

「なんか釈然としねえ」


シオンとアウルム、おそらく今回のヒロインはシドたちと同じ世代で出てきた同い年のキャラクターであるプラムではないかと踏んでいるようだ。今までもそうだったから、と。


ちなみに、プラムは全部のキャラの攻略をした経験があるようである。

アウルムも落ちたんかと思ったら、何のこたぁ無い、正規に攻略されたのではなく、横槍が入って薬使われて堕とされたそうである。

その時は偶然にも彼が半精霊として覚醒不十分の間の話だったらしく、その時はロキをぎったぎたにしたんだとか。


ちなみに自殺しようとしても死ねなかったらしい、その辺はもうあれか、世界のISHIってやつですかね。


「でも、なんか、怖いわね。残ってるルートがよりによって逆ハーでしょ?」

『ええ、ですから皆さんには本当に頑張ってもらわなくてはなりませんわ。だって私、逆ハールートの情報持ってませんもの』

「ロキ様は逆ハールートだと死徒側について帝国王国丸っと人類潰す役だったからなあ」

『絶対しません、そんなこと!』


シオンはリンクストーンでお話に参加中だ。


「だって私は……」

「うん、大丈夫。だってシオン様は優しいもの」


ソルはそう言って、チーズケーキをオーダーしたらしい、俺の分も、とか細く言ったら頼んでくれた。


「でも、分かったこともある。シオン様は転生繰り返し過ぎて疲れてる。同じ人が何度も死ぬのを見ててもういや、ってなってるんだわ。それは仕方ないよ。ううん、仕方ないっていうか、私にははっきり言って想像できない」


ソルはそう言いつつ俺に近付いてきた。


「でも、私は領民を見殺しにしたわ。お父様もお母様も見捨てた。もう誰も喪いたくない。ロキだって、シオン様だって、アウルムだってクルミだってルナだってエリスちゃんだって、殿下たちもセトもアレクセイ様もリヒト様も、アルトリア様やターニャ様だって。皆守りたいよ。その為に顔も知らない誰かを切り捨てなきゃならないなら、私はその誰かを殺すわ」


火属性、というものは、総じて攻撃的である、なんて話がある。

まさに、と俺は思った。


「……シオン様は、水属性の方がお得意でしたよね」

『……ええ』

「きっとあなたは、とてもおおらかで優しい人だった」


ソルが言わんとするのは分かった。

要は、ソル的に、ロキの水がロキで、火が俺だといいたいのだろう。


「アウルム、殺しってどんな感じかしら」

「途中で麻痺るからやめとけ。そういう汚れ仕事は死神に頼んどけばいい」

「駄目よ、どうせならここはゲームじゃありませんでしたって言って終わらせてやらないと」


これだけルートを繰り返しているということは、きっとヒロインは何度も周回している感覚だろうからな。


「時間は戻らねえってのを教えてやんなくちゃな」

「そうね、でもその前に」


アウルムの言葉をソルが遮った。


「?」

「ハインドフット教授がなんか燃やしてたので調べたら、人間でした、っていう報告です」

「うわ、俺をこれ以上グロッキーにしてどうすんだ」

「いいから聞け。これたぶん、結界が破られてるってのと、ロキ、そしてアウルムへの刺客だと思われます。面倒くさいので狙われたらすぐ誰かに知らせるようにアラームを設定し直した方がいいと思うの」

「だなー……」


午後からはそれやって休むかー。


ぐぅ。


平和はどこへ、そして時間が進まない件

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