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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部1年生 前期編
61/154

魔物の独白2

ナイト視点です


主が、増えた。

うん。

増えた。


最初混乱したよ。

だって大好きな色が2つに別れちゃってるんだもん。

皆もそうだったみたいだけれど、すぐに状況を理解したスーが教えてくれた。


――魔法で一時的に同居させられているようだな。


それ、すっごく負担が大きいのではと。

主ぃ~!


主の色に跳び付いて巻き付く。苦しいぞ、と返って来たので緩める。

人間の言葉はわかるけど話せない、だからぐりぐりと顔をこすりつけると抱きしめてくれた。


そして僕らは知った、主の名前はロキで、もう一つの大好きな色はシオンで、2人は別世界の同じ人同士で、だから僕は2人のことが大好きなんだって。


『でも、私でしたらナイトではなくミッドと名付けていましたもの』

「ミッドガルズ蛇のミッドか。でもこの子はうちの子です~」


石に向かって喋ってる主。でもその石から女の声がする。その女の声が、もう1つの大好きな色らしい。

ヨルムンガンド2匹になったらどうするよ、と言い出した主に、僕は喜んだ。そしたら、主とロキのお父さんが卵持ってきちゃった。

何が生まれるかわくわくだよ!





――とまあ、そんなことをしていた夏休み終了学園にやってきたら小さなヨルムンガンドが魔物宿舎にやってきた。

女の子だって。


ミッドだよ、今は生まれたばかりだけど本当はあなたたちよりずっとお姉さんなんだからね、とそのヨルムンガンドは言う。


しばらくしたらスレイって名前のスレイプニルもやってきた。

スレイも転生してるらしい。

ずっとシオンにつき従って来たんだって。


だから、利用できるものは全部利用させてもらうからな、って。

良いよって言ったら、お前はお前の主に似てるなって言われたよ。


毎日のように、青かった髪を銀髪に戻した主が撫でに来てくれる。


何かよくわからないけど、真っ黒な人とか、透明な人がたまに来るから尻尾ではたいてる。大体一発でゴシャッとかグチャッとかボキッとか音がするんだよ~。

主がいるときによく来るからべしべししてると「どうしたんだ?」って聞いてくれたりするんだよ。


僕らのことが分かるようになってきた主!

大好きなのです!


ある日のこと。ハインドフットって名前の人間がやってきて、僕らの足元でのたうってる人間を見つけて、僕らに笑いかけてきた。


「ロキ君もガードが堅いねえ」


アウルム様もガード堅いよ!


ハインドフットはのたうってる人間に闇魔術を掛けて動かなくして、【牽引(トラクタ)】で引っ張っていった。

タンパク質の焼ける臭いがしたので顔をのぞかせるけれど、ハインドフットは炎を操りながら笑って言った。


「駄目だよ、こんなの食べたらお腹を壊してしまう。後で餌用のアルミラージを持って来るから、待ってなさい」


そっかあ、今日は主来れないんだぁ。

残念。


僕らヨルムンガンドは特に体が大きいので宿舎から外に出ないように言われている。結界を破壊してしまう可能性があるから余計にダメだって、ドルバロム様も言ってた。


結界、抜けられてるんですけど。

何で僕らの足元に動かない肉が転がることになるのかな?


そんなこと、思ってたら、銀色の目の人に、会った。


「?」

「……こいつ、は」


僕に近付いて来て、その銀色の目としばらく見合って、ハインドフットが気付いて戻って来た。煙たいよう。


「クレス殿? その子がどうかなさいましたかな」

「……いいえ。なんだか、懐かしい気がして。でも、この大蛇ではありません」


この人、アウルム様に似てる気がする。アルグ様かな?

くれすって何?


「……思い出せない」

「そういうこともありましょう。何かあったら声を掛けてくださいませ」

「はい、ありがとうございます」


くれすは僕に手を出してきた。そこに近付いたけど、何だろう、いやな感じだ。

こいつ、僕らに近い(・・・・・)。


闇は闇同士でおてて繋いだりしないよ!

闇は光が好きなんだ。


プイ、と少し顔を反らすと、くれすは小さく笑った。


「俺が闇の物だと分かっている、っていうのだけは分かったぞ、ヨルムンガンド。気にするな。俺だってそうだ。光を探している」


くれすは少しここにとどまって皆を見た後、居なくなった。

2年後、主にこの話をして、どうして当時教えてくれなかったんだとアウルム様に詰め寄られるとは、ちっとも思っていなかった。


これを書いた時には中3まできちんと書く予定だったんです。←

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