とあるフリーマーケットでのお話
とりあえず名前付けた程度のキャラだったのに←
「おい、ルガル」
「あぁ?」
あんまり俺とは折り合いの良くねえ女戦士が、フリーマーケットに出た俺たちを見つけて呼び止めてきた。
「エリザベート……なんでお前に声掛けられんだ? 明日は槍でも降るのか」
「失礼な奴だね!」
エリザベート、通称リズ。こいつと俺はまあ、幼馴染だった。
が、魔物の討伐でいろいろと問題が起き、俺とリズは別れ、それ以来喧嘩別れのままである。まあ、たまに会ってるから喧嘩別れで終わったわけじゃないんだが。
「まあいい。それより、ちょっと来てほしいとこがあるのさ」
「?」
リズはこういうとき、アイテムの掘り出し物を探していたり、そういう場所を見つけたりしている。
何故か俺に教えてくれるんだよな。
そしてその代償は情報だったりする。
パーティメンバーに先に行くよう伝えてリズの後を追った。
「――で、何なんだ」
「あの子たち」
リズについて行った先には、いかにも貴族がお忍びしてまっせ、風な子供の集団がいた。堂々と陣取ってフリーマーケットに参加してやがる。
「貴族サマか」
「ああ。でもね、あの子らよく見な」
少し解析魔術を使ってみれば、なるほど、全員隠蔽してやがる。ついでに、黒髪金目のやつと、銀髪ピンク目のやつと目が合った。気付きやがったな。
リズがそれに手を振り返し、俺に向き直るとそいつらの視線は俺から外れた。
「てめー、今の分かっててやったな」
「当たり前だろ。あの子らに先に言ってあったし」
こいつ。
「で?」
「うん、あの子らの支援のおかげで晴れてAランクパーティになったと言っておこう」
「……は?」
俺は一瞬耳を疑った。
えーとつまり?
こいつのパーティにはヒーラーがいない。当然だ、平民なんだからな。
で、いっつもポーションとかエリクサーとかの回復薬品類を買い込んで金がないって嘆くタイプだったはずだ。
Aランクに上がるためには相当な効果の高い薬品類を扱ってる錬金術師や合成屋と契約してるはずだ。
え、それがあのガキども?
「……マジで?」
「大マジだ。私のパーティは5人。お前のパーティは6人。1日にポーション20本は生成してくれるぞ。さあ、あの子たちの夢のためにも支援するのだ!」
こいつ、頭大丈夫か。
貴族サマの令嬢令息だろあいつら。金なら腐るほど持ってんじゃねーの?
何で家の支援を受けない?
――家の支援を受けない?
ちょっと待てよ、と思いつつそのガキどもの顔ぶれを眺める。
まず銀髪と金目、こいつら確実に教会とギルドから逃げる気だな。
黒髪の黄と赤のオッドアイもいる。ちょ、あれムゲンに似てねえ?
他のメンツはちょいと俺らの中で有名な人――セーリス男爵の娘たちと特徴が一致。まあ、赤い髪と目だとか、蜜柑色の髪と目だとか、そういう話でしかないのだが。
他にもいるにはいるが、そっちは放置だ。
少し考える。
「買い付けはお前自身がくればいい。この子たち、かなり優秀だよ」
だろうな。特にあの銀髪と金目。
あいつらは相当魔力も高そうだ。
偽装はしてる。つーか、不自然なくらい自然だ。
「お前のスキルホントにすごいねぇ」
「うっせ」
俺は、混じりものである。人間とエルフの。
であるから、すぐにこうして気付いてしまうのだ。
ほら、と促されて俺は少年たちの前に立った。
「いらっしゃいませ」
銀髪のガキが笑みを深めた。
こいつ、聞いてやがったな。
ガキの前には同じ形の小瓶がいくつも用意されている。
青、赤、緑と色とりどりで高そうだ。
――が、値段は、大銀貨1枚。一番高いポーション2本分。
「これは?」
「ポーションです。改良を加えてみたんでちょっと高めですよ」
ハイポーションよりも安い。
ハイポーションなら大銀貨3枚は下らないからな。
ガセネタ、とは思わない。
リズがにこにこしているのがその証拠。こいつは人を騙すのは嫌っているのだから、信用していい。
「――よし、6本買おう」
「お、太っ腹」
6本ポーションを受け取ると、リズが赤い髪の嬢ちゃんに何か言った。
嬢ちゃんは小さくうなずいて、銀髪のガキと金目のガキが立ち上がった。
話し合いの合図、だったらしい。
近くの路地に4人で入ると、リズが口を開いた。
「前より値段が上がってるな。どんな改良したんだい?」
「連続で飲めるようにしたんですよ。ポーションて身体にかかる負荷が結構大きいですからね」
銀髪のガキが答える。へえ、ポーションの効果知ってやがったのか。
ポーションは肉体の回復促進の効果を持つ薬品だと考えればいい。スタミナ回復、とかいうやつらもいる。
その代償は無論、無理やり促進された肉体の悲鳴で返ってくる。もちろん、連ちゃんでは飲めない。
ポーションなら数時間、ハイポーションなら半日は次が飲めない。
そんくらい無茶をする、ということで。ちなみに、ハイポーションとか使ったら目に見えて傷が癒える。
それを連続で飲めるようにした、とな。
「え、何かそれやばくね?」
「ヤバくない薬なんてねーわ」
俺の言葉に金目のガキが言った。
「だからソレは瀕死のやつに飲ませるモンだ。戦闘続行用じゃねェ」
「なるほど」
こいつらなかなか考えてやがるな、と思いつつリズの方を窺うと、リズは銀髪のガキと何か話している。
「普通のポーションとは違うのな。普通のもあんのか?」
「リズさんに聞いたら全部教会で売ってるハイポーション並みの効果ばっかりだってさ」
「リズ、そんなに危険なところに?」
「いや、先月の落盤にうちの子が巻き込まれて使った」
骨折まで治ったからもうアレは上級魔術レベル、とリズはおどけて語った。
「……で、なんでまたリズは俺にこいつらを?」
「理由は2つ。まずお前らに死んでほしくないから。そして私らよりお前らの方が稼ぐが怪我も多い。以上」
「後半金づるって言ってねーか」
「遠回しに言わない方が良かったかい?」
だー、可愛くねえ女!
「とにかく、女ばっかのパーティじゃ獲物だって軽いものが多くなる。新人教育もやってる。お前らんとこは狩場行くだけだろ?」
「そりゃそうだが」
「この子たちはお店持ちたいんだって。その資金調達はやっぱ2パーティくらいないとダメかなと」
「それで俺らにやらせようってか」
俺たちの狩ってくる獲物は確かに大振りな奴も多い。だがその分危険なわけで。
……薬品が支給制ってんなら、悪くねえ。
「で、もしお前らに金をやるってなったらどうするんだ、ポーション類は」
「もちろん支給。欲しい分、くれてやる」
「お試しで作ってるヤツの実験台も兼ねてくださいね」
「そっちは怖えな」
そう言うと、石を取り出した金目のガキが、それをこっちに放って寄越した。
「う、お」
「怪我をしたらそれを砕け。砕くことで回復魔術が発動する。ただし範囲はあんまり広くない」
「範囲回復か」
「ああ魔力が少ないなら半径3メートルがいいとこだ」
で、これも試作品、てことらしい。
石なのに砕けんのかと不思議に思っていたら、何、剣の柄で叩きゃ壊れるそうである。壊れると収納されていたコードにこもっていた魔力が流れて発動する仕組みらしい。
「ってなわけで、よろしくお願いしますね~」
ちゃっかり契約書にサイン書かされてた。うん、あんな商売上手は見たことない。というか、研究早すぎねえ?
お前ら幾つよ?
「……ま、これでお前は俺まで金づるにしたわけだが」
「いいじゃないの、腕のいい合成屋探してただろ」
「なんで知ってんだよ畜生」
お客さん視点でした。
更新停滞中。誠に申し訳ございません。
リメイクに熱中し過ぎたよは言い訳です。リメイク版はこちらを中等部終了までと考えていましたが、書き溜めている分で終わらせることにしました。こっからは頑張って更新します。見切り発車過ぎて思いつくままイベント入れちゃってて読みにくいですが楽しんでいただけると幸いです。




