空間魔法の類
こいつら面倒だな、となんとなく思ってしまった←
「いや、そこはこれ使って」
「ここにコード刻んで」
「装飾できました~」
わちゃわちゃと俺、アスト、デルちゃん、アウルムでバッグを作っているところ。
俺が辿り着いたのは結局、ゲート、という形式だった。
「本来はコードでゲートを開けるもんだがな」
「メタリカの力ヤバいな」
メタリカ族、という種族について俺は学んだ。
精霊の中でも金属精霊の最も強力な種族を指しているそうだ。
で、ここからがちょいと面倒で、メタリカ族にはメタリカとメタルカという2つの呼び方がある。理由は、人間に対して中立か、敵対するか、だそうである。
メタリカと呼ばれれば人間に友好的から中立。
メタルカと呼ばれれば人間に敵対しやすい。
で、ここで思い出してみてほしい。
シド・メタルカ。
サロン発表で書いてあったアウルムの名前である。
メタルカです。
はい、人間に敵対するそうです。
ナンテコッタイ。
本人はあんまり敵対する気はなかったようだが、学園長があえてこの苗字ふりをしたらしい。たぶん、こっちの方が狙われにくくなるからだろうとのことだった。
そもそも精霊学知らないとメタルカの意味知らないらしいけどな。
いろいろと意地張ってみたが、結局リオの協力を受けることになった。
もう1人のロキにはもう十分協力したとのことなので、俺に個人的に力を貸してくれるそうだ。精霊から貸される力も才能の内だぞ、とデルちゃんには言われた。ならば使ってやろうというわけだ。
「よし。これでいけるか?」
「ん、問題なさそうだな」
「ビバ空間魔術! まあお前はわざわざこれを入り口にする必要ないけどな!」
「バッグの中に入ってみたかっただけだよ悪かったな!」
映画で見て面白そうだったんだよ!
実現しちゃ悪いか!
よく考えてみりゃ、アレって、俺たちの世界にとけ込むための偽装だったんだよな。こっちでいらねーってことに今更気付いたわ。
俺はコードを起動して空間を繋げてみた。中に入りまーす!
ふむ。何もない空間である。
「何もねーな」
「そら何も置いてねーもん」
「はよレイアウトしろ~」
デルちゃんとアストとアウルムも一緒に入って来た。
何もない空間、というのはそのまま、目には見えるが何にもない、暗闇の空間という意味である。
「あー、ドルバロムのやつ、面倒な空間寄越したな」
「そうなのか?」
「ああ。ちょっと見てろ」
デルちゃんが俺らから離れて俺たちの前に立った。
なるほど、理解した。
のぺっとして見える。
つまり、影無し。
「影の無い世界キメェ( ´∀` )」
「だろ。光と反射と影と闇の概念設定がいるな」
「まぁ、世界樹がない空間なんてこんなもんだろ」
「世界樹とかあんのか……」
「世界樹の創る世界は基本球体だ。その隙間に他の球体を詰め込む。ここはその1つ。使いやすいように球の中に立方体の空間を形成してる。柱はそこに薄っすら見えてる金色のやつ」
アストが説明を始めたので示された方を見ると、細い糸の様な金色が見えた。これが柱らしい。
「さあて。お前はこの空間限定の神様になったわけだが」
「そんな簡単に俺を神にすんじゃねえよ」
「いや、俺らそんなに制約ないし。お前の上司に相当する創造神がアホみたいに実験しまくって世界のバランス崩すとか? 人間間引き過ぎたとか? そのくせ世界法則は一個も作らねえとか? そんな馬鹿やらかしてるだけだし?」
「どんどん愚痴になってってるぞ」
どんな創造神だよそんなフリーダムなの居ていいのか!!
「いるから言ってんだよな( ´∀` )」
「デルちゃんって苦労性?」
「いやいや、同僚の破壊神いるけどあいつは双子の弟だからもっと苦労してるぞ」
世 界 は 広 い
とにかく、彼らの説明を纏めると、この空間のレイアウトは俺が自由にできる。そして世界を自由にいじれる者というのは、何者であっても創造神に相当するそうだ。別の世界に行っても創造が使えるとは言ってない。
俺はこの空間の主である、と。
内装を想像してみな、と言われる。
「言っとくが、一度決めるとそう簡単には変えられねーからな。熱して冷やすを繰り返すと金属でも砕けるぞ」
「あー、理解した」
一度決めた内装はあとは手動で動かすのがセオリーだという。
そうしなければ、その空間が崩壊する。
内装を考えてみる。
とりあえず、落ち着ける空間がいい。
ロキの趣味を知ったらこういうのもいいなと思ったのが、木製。
工房、という感じがするので。
でも、俺自身は和風の建物が好きだ。
四隅を探す。この空間、相当広いな。
決めた。
「お家建った(´・ω・`)」
「向こうログハウス建ったぞ( ´∀` )」
「ここ思ったより広くね」
「ドルバロムもしかしてここにスレイプニルもヨルムンガンドも住ませる気じゃねーか?」
なるほど、その手があったな。
ナイトは世界を取り巻く蛇であるというなら、この空間を世界と見立てるとすると、ここをぐるっと囲めちゃうわけだ。
「ヨルムンガンドって世界同士に潰されたりしないのか?」
「しないぞ。ヨルムンガンドは基本的に別世界の生き物だからな。ヨルムンガンドはヨルムンガンドの世界を別に持ってる」
「安心したわ」
他の世界に触れあっていたとしても、特に影響はないとのことだ。
よかったー。
あれ以上ナイト大きくなっていったらどうしようかと。
「ヨルムンガンドって闇竜の下位種だったよな」
「だなー」
リオの規格外さを改めて実感。
♢
和風建築の方はもう、くつろぐためだけの空間と化した。
メインの工房はログハウスの方になったんだぜ。
「いや、でもなんでこうした。めっちゃメタリカに傾いてんぞ」
「いいじゃないかこういうの好きだぞ」
現在デルちゃんとアストが騒いでいる原因は、俺がログハウスの一角から生やしたでっかい水晶である。
いや、水晶というか……魔石かこれ?
「これ何……」
「魔晶石だ。魔石より質が良いヤツだな。いや、お前らは属性クリスタルって呼んでんのか、今は」
時代によって呼び方がころころと変わっているらしく、アストたちの方もなかなか呼び方に慣れないそうだ。
属性クリスタルはマナを内包しており、それがほとんどないのが通常は魔晶石と呼ばれているようだ。魔石を加工して人工的に作るものの方が魔晶石としての流通量は多いとのこと。
しかしそうか、これが属性クリスタルか。
「つまりこれで合成ができると」
「そうだな。定期的に回収しないと串刺しになるよ」
「はーい」
すごい勢いで伸びてます。
「ここマナすごくね」
「どっかの世界が枯れたんかな」
「実りが降ってくる可能性は高いな、土壌にぴったりだし」
「何かよくわからんけど何かありそうだなオイ」
世界が枯れる、というのは、世界樹が枯れると世界が崩壊することからそういう言われ方をしているそうだ。
「実りって?」
「世界の種だ。もしここに世界樹の実りが降ってきたら、お前が死ぬ直前にでもこの空間のどこかに埋めてやれ。世界樹の種は自分で降りたとこにしか根を張らないからな」
種ですか。
俺は頷いた。世界樹の種なんてアイテムはイミドラには存在しないので、完全にズレてんだろうな。
「鍵も作っとけ」
「はーい」
鍵を2つ用意する。
ちなみに、1つは俺、もう1つはアウルム用である。
「アウルム、やばくなったら単独でもここに逃げろ」
「おう」
鍵を渡すと迷うことなく取り込んだけども。
もうちょっと警戒しろや。
「契約したやつ相手に警戒なんかしねーな、普通は」
「大体メタルカ名乗ってもメタリカだしな、アウルムは」
そういや、この世界ってあんまりチートって見ねえな。ヒロインの性能もそんな高くないし。
「なーなー、この世界でチートってどうなってんの」
「あー、チートね。チート持ってる奴らって基本軍神の介入に遭って死ぬけど」
「ここってどんな世界だよ」
「神話読めお前、金あるだろ」
指摘されたんで改めて神話を読むか、と思い、ああそういえば2年で神話学取るんだっけかと思い出す。
「神話って言っても、軍神のとこだぞ、創世のとこじゃなくて」
「2年で神話学取る予定」
「あ、授業では確かやってたな。普通の神話だと軍神一派ってことで代表の名前しか出てないんだよなー」
彼らは他の世界の神話まで知ってるのか。
そんなことを思いながら、俺たちはその空間を出た。
外に出て、とりあえず魔術が完成した報告をソルにして、もうすぐ第1王子の成人式だという話を聞いた。
17歳で成人するのかー御立派だなー。
一定条件を満たすと成人するのが常のこの世界、いわゆる成人式というより元服に近い。
「ってことは、またパーティかよ!」
「どうする、流石に私令嬢の姿は気が乗らないけど」
「俺だって乗らねえよ……」
あんなロキの姿を、声を、聴いた後じゃな。
「偽らずに令息の姿で行かしてもらうとしますかね」
「説得頑張れ~」
「おう」
今まで俺は公式の場には、令嬢姿でしか出たことが無かった。
さあ、まずは――父上の説得だ。
うおおおおお
人物紹介が間に合わない←




