第3王子の独白
エリオ視点
俺は、このリガルディア王国の第3王子である。
兄と比べられ続けてきた。
上2人の兄は、優秀だ。優秀故に、属性が水であることが悔やまれるアル兄上。
優秀さ、属性、人柄においても非の打ちどころの無いカル兄上。
2人は剣術に才もある。
それに比べて俺は、魔術のみである。
剣を持ってみたが、俺に才はないと、師がきっぱりと言い切った。
魔術だけではだめだと言ったのはお前ではないか!
師匠はまた別の方法を探し、魔物使いというマイナーなものを見つけ出してきた。
魔物の卵は高価らしい。そもそも魔物は人間を襲うと考えられているためだ。
危険と判断されている。
俺は与えられた卵を孵した。
2ヶ月は掛かった。
そして生まれてきたのは、スライムだった。
名は、ライ。
スライムについて、いろいろと調べてみたが、よくわからなかった。
水属性の魔物であるらしい。
火属性の俺の魔力で生まれてきたにしては、疑問が残るが。
淡い黄緑のスライムで、よく跳ね、風魔術を行使した。そしてなるほどと思った。
魔物というのは、仕える主を決めると、死ぬまでつき従うという。
その為に進化もするし、その為の成長しかしないのだ。
火属性の俺に、風属性の魔術は実に相性が良い。
俺のために頑張ろうとしてくれているのだと分かって、純粋に嬉しかった。
だが、まあ。
そう思うのは俺やその身内だけのようで。
俺の身分を知らずに、だったのだとは思うが、ライを酷く貶した者がいた。
気分は最悪。
――スライムなんて孵したのか、雑魚じゃん。
ああ、俺はこういう才能もないんだなと、そう思った。
そして、俺は。
ライに、八つ当たりをしたのだ。
よく窓辺で眠っていたライを箱に入れて、封じてしまった。
最初は暴れていたが、そのうち大人しくなった。
それが、2年くらい前。
俺を貶める原因になったのだから、と、ただのワガママ、八つ当たり。
まったく反応しなくなったライの入った箱を眺めて、手にとって、魔力を少し流して。
――本当に気に入らないならここまで生かしてるわけねえよな。
耳打ちされた、あの奴隷の言葉。
ああ、あの黒髪金目の奴隷だ。
その通りだとも。
ライは唯一、俺の側にずっといてくれたのだ。
もう、嫌われたかもしれないが。
部屋の中を見渡す。俺が好む赤と黒で装飾されたこの部屋は、白で埋め尽くされた王宮ではかなりの異端に見られる。だが、これが最も落ち着くのだからいいではないか。
白い箱、もう蓋はしていないのだが、そこから動かないライ。近付けばこちらを見て、ぷるん、と身体を震わせた。
逃げないのか。
手を伸ばすと、恐る恐るといったふうにすり寄ってきた。
変わっていない。
愛い奴。
今日は快晴。窓辺にライを置いてやると、黄緑色の透き通った身体が日光を受けてキラキラと煌いた。
あの奴隷の言葉は、たぶん、ずっと俺が言って欲しかった言葉だった。
俺の背後の権力であるとか、そういったものに臆せず突っ込んできてくれる、そんなやつは、周りにいなかった。
兄たちの優しい言葉には、そりゃあユニコーンだのペガサスだのを孵した人たちには分かるわけねーよと、反発しかしなかった。
兄たちの言葉でも、あの奴隷のようにガツンと言ってくれたら、聞けたかもしれないのに。
なんて、それは俺のワガママだろうか。
薄っぺらいプライドの問題だろうか。
話を聞けなかった俺が悪かったのだろうか。
アイツの名前、聞かなかったな。また今度、と約束はしたのでまた会える。よし、次はちゃんと名前を聞こう。
そういえば、主はロキ嬢だったな。欲しい、と言ったら譲ってはもらえないだろうか。無理か。金目だったしな。
「あの金目、欲しいな」
口に出して言えば、その通りだと言わんばかりにライが頷く。そうか、お前もアイツが気に入ったのか。ライに言葉をかけ、その反応が返ってくるのが久しぶりだったので、俺は、家庭教師が来るまでライと遊ぶことにした。
魔物と仲が元に戻ってホッとした家臣がめっちゃいたとか、エリオは知りません。
今日はここまでです。
もうすぐ2章が終わる……そろそろキャラ紹介書かなきゃ……←




