第3王子のワガママ
1週間ぶり、お久しぶりでございます
新しいお話を考え始めて(書いてないです)、こいつらのイラストも描いちゃえとなり始めて、落書きを始めました←
「皆、助けて……」
「どうしたんですか、カル殿下」
食堂を嫌がる俺たちのためにまたテラスで喋っていた皆、そこに、遅れてやって来たカルが倒れ込む。無論セトが支える。
「こ、これを……」
カルの手の中には手紙が入っていた。
俺はそれにざっくりと目を通し、ちょっと遠い目をした。
「どうした?」
「置いてきぼりをくらって、エリオが暴走しだした……」
「エリオ殿下が?」
エリオ・シード・リガルディア。
この国の第3王子である。
枠は俺様系、ちょっとワガママで甘ちゃんに育った。
カルは甘やかしているし、火属性であるため王位継承権は相変わらずカルにあるが、候補としてはカルの次である。
ちなみに、このリガルディアの王は皆金髪か赤毛である。
これは、属性的なモノで継承権が決まっているためと思われる。
イミドラではあくまでも横にちろっと出てくるだけの国だったので詳しくは俺も知らないが、間違いない。優秀だと言われているのに青いからってアル殿下はとても王位継承順位が低いのだ。
お茶会で会ったこともあったが、基本スルーし続けた。
理由は、ソルからの助言。
火属性の魔術が強いことがエリオの誇り。
ロキはその上を悠々と行ってしまう。
はい、ロキ、火属性使っちゃダメ、絶対。
確実に絡まれるから、と言われていたのでこうなった。
そのエリオが、カルがあんまり俺らとフリマにちょいちょい顔出したり物売ったりしてるものだから、行きたいとねだり出したらしい。
王妃様も大変そうだ。
皆で回し読みした結果、ソルが息を吐いた。
「私とロキ様の場合、火属性魔術がとっても強力で、エリオ殿下のプライドをへし折るわ」
エリスが続ける。
「私とルナ様の場合、エリオ殿下にとっての絶対強者であるカル殿下や国王陛下と同じ属性ってことでこれまた拗れるんですよね」
ルナが俺を見る。
「……ロキ様、トール様を生贄に」
「却下。たとえリーヴァに命じられようと、ロルディアに命じられようと、ロード・カルマに命じられたとしても、トールは渡さん。エリオの生贄なんぞもってのほかだ!」
「デスヨネ」
ウチにだって継承権云々は存在するのだ。俺が赤を選択したこともあり、フレイ兄上とトールの身の回りの警護には父上もかなり力を割いておられる。
「大体、エリオ殿下は自己中の典型例だぞ。ゼロとアウルムだって危ないのに」
「なのにトールだけ庇うのか」
「トールはお前らみたいにドラゴンの皮膚も対物理魔術無敵効果も持ってないんですぅー」
ゼロをそう言って黙らせる。
まあ、アウルムはくつくつと笑っているのだが。
「なんかツボるとこありましたか、アウルム?」
「……いや、迷惑かけない形がいいのなら、いっそ訓練か魔物弄りがいいと思わねーか?」
「……」
俺たちは顔を見合わせた。確かに?
俺らには何のデメリットもないんだけど?
それって、エリオ怪我するよな?
「やだもー、エリオ殿下が怪我でもしたらどうするのよ~、私責任とか無理よ~」
「そこは俺が責任持つぜ。ま、俺かゼロが保証した時点で王族関係ないけどな」
「あーもーこれだから死徒系は嫌なんだよ」
権力構造が全て狂う。
ゼロもアウルムも、国民とは名ばかりである。
「ロキには服従ですけどね」
「いやなら解消してやるぞ」
「なんで自ら奴隷落ちなんて選ばなきゃなんねーの、冗談はそのチート部分だけにしやがれ」
「お前に言われるとすっげー不服だわ」
間違ってなんかないと思う。
事実だろこれ。
アウルム、てめーこそチート大概にしろや。
手紙の内容的には、要するに一緒に遊べ的なもので、魔物にエリオの興味があるのなら、いいかなと思うようなものである。
「まあいいわ。カル殿下、エリオ殿下に魔物はいるのですか?」
「ああ、いるにはいるが、本人はあまり気に入らないらしくて」
「種類は」
「……こんな小さなスライムだ」
ソルの問いに片手に乗るサイズを示したカルに、俺たちは大体を察した。
うん、スライム。
この世界においてもスライムさんは雑魚扱いである。
強烈な個体はユニークである。
ユニークの魔物については、俺も詳しいことは知らない。ただ、分かっているのは、おそらくではあるが……アウルムが孵しちゃうと皆ユニーク化する、くらいだろう。いや、マジで。
当たっててほしくないけどたぶん当たってるわー。
下手にバレると卵孵し屋さんになっちゃうべ?
アウルムなんかさっさと奴隷にして卵押し付けたり魔力搾取したり金属生成させてる方が建設的とか言い出す屑が絶対湧くので。蛆のように。
まあそうなったら潰すけど?
父上、私の物に手を出した愚か者を潰してください、ってな。
俺が俺の物、と呼んだものに対しては父上がやたら過保護なくらいに守ってくれようとする。たぶん、俺があんまり物を欲しがらないせいだとは思うが、それにしても過保護である。
まあ?
うちの権力でアウルムたちを守れるならそれが一番いいんですがね。
でも、王家相手だとそうはいかない。ので、最終手段はネイヴァス傭兵団である。
ネイヴァス傭兵団についてちょっと調べてみたが、結構ヤバい傭兵団で、所属しているのは全員上位世界の奴らだとか(事実。確認はアストとデルちゃんから)、闇の眷属がいるとか(事実。ちなみにリオのことだった)、魔術が効かないバーサーカーがいるとか(アストの種族のことでした、因ってバーサーカー部分は誤り)、まあチート集団ですな。
国一個簡単に潰せるよー、って言われて皆死徒怖いって言ってるのにその死徒すら一撃で潰す仕様のがいました、しかも集団で。
その中にさらっとアウルムとアルグは入っていて、彼らがゴーサインを出せばネイヴァスはどっからでも湧くそうである。
まあ、ほら。
リオいるし。
リオって空間の神様の子供なんだろ?
空間魔術の分類に転移魔術は入ってるので、使い放題……。
やっぱチートだ、なんだただのチートか。
「まー、エリオ殿下にはその力、隠しておいた方が良いのかしら」
クルミの言葉にいや、どうでもいいやとアウルムが言った。
「……アウルム、お前度胸あんな?」
「いや、はっきり言う、俺結構前からこの力全部持ってるんだわ。だからどんなタイミングで出したらヤバいとかは分かってんの」
「じゃあ出すんじゃねーよ」
「でも天狗の鼻は先に折るべきだ。王族なら特に」
ま、仕方ねー、ってことで、いつが空いてるとか皆で相手したほうがいいのだろうかと話し合ったりして、予定を決めた。
まあ、それすぐ裏切られたんだけど。
♢
「すまない」
「今度はどうなさいましたの」
「今日の魔物学覗きに来るそうだ」
「「「あんのワガママ王子が――ッ!!」」」
第3王子は、我がまま! の、予定ですが、ええ、まだ攻略対象になるまで年数あるから性格変わりそう……。




