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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部1年生 前期編
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面倒事

ソル視点です

「アレクセイ様、こんにちは」

「こんにちは、ソル嬢。こんなに豪華なメンバーでランチタイムとはまた」


アレクセイ様を食事に誘った当日。

私はいろいろと困っていた。

まず、ロキについて。


ロキは食堂は嫌だが、テラスにならば入ってもいいと言いだした。

うん、つい先日あった男子の姿への、というよりはゼロとアウルムを馬鹿にされてカンカンだった。

激おこ、もうすごい。

というか男子の姿だと激おこじゃ生温くて憤怒状態、激怒なんてとっくに通り越してた。


「刻んでやる」


「女にしてやろうか」


「死徒の中に放り込んでやるか。いっそロルディアにのしつけて送ってやる」


など、かなり実行に移した時点で相手の死が確定するような内容ばかりだった。まあ、それだけ怒ってるんだよと言えばそれまでだけれど。


ロキは国を第一に考えるキャラとして描かれてきた。この考えだけは、ゲームのロキだって譲れなかったに違いない。

そして気付いたことがある。


ロキとリョウの性格が、ぞっとするぐらい被っている。

むしろ、リョウがロキだったんじゃないかと思ってしまうほどに。


ロキ、という人格は、エリスにエリスが残っているのと同じで、やっぱり残っているのだろうか。ほとんど出て来ていないけれど。それにしてはなんだかものすごく変な感じがする。


ちなみに私にも実はいらっしゃる。ほとんど声も上げずにいるけれど。

何より、なんとなくだけれど、私と同一人物になろうとしている気がする。もしロキもそうなら、ちょっと怖いかな。


本日、快晴。よってテラスでランチタイム、今日は午後から予定なし。

他の皆も何も無いようだ。2年からしか取れない授業もあってるしね。


今日は私がお誘いした形ではあるが、個人的なモノというよりは、カル殿下の治世でカル殿下を支える人材としての皆と話をしておきたいというのもあった。まだリヒトは誘えてない、そっちは誰かに頑張ってもらいたいが、まあ、ね。


それは置いておこう。


ルナによれば、アレクセイ様はイミラブ2の中で初出の人物。魔物学についての研究をしている。魔物に乗れるとは言ってない。


「本日はお招きいただきありがとうございます」

「アレクセイ、堅苦しいのは無しだ。皆知り合いだろう?」

「ふふ、じゃ、普段通りに話させてもらうよ」


今日ロキは令嬢姿で来ているのだけれど、男装してきていた。まったく、侍女さんは大変そうだ。え、連れてきてない?


ゼロとアウルムも一緒にテーブルを囲み、私たちは料理をオーダーした。

話す内容は基本的に魔物についてばっかりだ。


私の卵はまだ孵っておりません。ルナのももう孵ったのに!

卵は孵るまでは肌身離さず一緒に居た方がいいらしいので、現在も抱えている。


「ソルの卵、なかなか孵らないね」

「ちょっとずつ大きくはなってるんだけどなー」

「どんな子が生まれてくるんだろうねー」


赤い卵、親によって色は変わるらしいけれど、中身と外見は関係ないらしいのでなかなか面白い。

アレクセイ様が口を開いた。


「この卵、結構中身が小さいかもしれない」

「そうなんですか?」

「うん、魔力の流れ方も結構急だし」


ちなみに、魔物を孵して、女子に爬虫類やら蟲やらが当たった時の貴族令嬢の嫌がり方は尋常ではなく、魔物の大半が傷心してしまうんだとか。かわいそうに。

なんて言ってるとたぶん私にも爬虫類が来るのでこれ以上は言わない。

好きだけど。

蛇とかトカゲって触った感じがしっとりしてる。日陰に居てくれると冷たくて心地好かったり。


「多頭系かな」

「何と仰いましたかな?」

「多頭」


スルースキルなんて発動するかァ!!

多頭系っつった!?

アレクセイ様なんてことを言うんですか私にいくつも頭のあるモノの相手をしろと!?


「……ヒュドラじゃないといいなー……」

「あれ、どうして?」

「ヒュドラってそれぞれの頭でも仲が悪いとか、親を恨んでるとかそんなことを書いてある本がありまして」


あー、あれかー、とロキとアウルムが苦笑した。クルミも読んだことあるぞこのやろ。

ちなみにクルミもアレクセイ様もカル殿下も卵はまだ孵ってない。

アウルムは早すぎ、ロキは早い、ルナ普通、私たち遅い。

ゼロの卵とか絶対ドラゴン出てくると思う、信じて疑わない。


私の卵からは多頭系ですかー。

出来ればもふもふがいいなあ。ロキばっかりズルいわ!

スーもハクももふもふじゃない!

ハクはアウルムの子だけど!


でも、テラスに居ると魔物宿舎から勝手に飛び出してくる子たちが居るって聞いていたので、スーやナイトあたりは来る気がする。ロキのこと大好きだもん、あの子。

いつもちゃんと言うこと聞いてるのは、彼らが賢いというのもあるだろうけれど、ロキがよく褒めているせいだと思う。


それがいつの間にか、褒めてない、お礼を言う、っていう段階に進んでることに気付いたのは周りだけだろう。

「よくできました」がいつの間にか「ありがとう」に変わっていたのだ。

カル殿下と私は確実に気付いた。


カル殿下が言い出したことだったし。よくスーとロキを観察してごらん、って。

うん、転生者役得、うまうま。


手元のアラームが鳴ったので、取りに行く。ロキが一緒についてきた。


「あれ、いいの?」

「ひひひ、絡んできてもらうためさ」

「魔女みたい」

「化けたろか」


老女の姿を想像して私は笑った。

何度か往復がいりそうだ。これ見こしてたのかもなあ。


2往復したところで従者はいらっしゃらないのですか、と伯爵家の令息が声を掛けてきた。流石に公爵家の令嬢がせっせと動いてるとね。


「いいえ、居ますよ。けれど、食堂に入れるなとクレームを受けましたので、食堂内には一切の立ち入りを禁じました。なので私が直接取りに来ているだけですわ」

「明らかにご自分の分以外もですよね」


勇気あるなこいつ。

皆最初のロキの返答で何が原因か分かって蒼褪めている子たちもちらほらいるのに。


「ええ、カル殿下とロゼ様もいらっしゃいますので。それに、一度テラスに出ましたから、魔物たちも集まってきてまして」


魔物学は選択必修だ。

皆魔物は最低1匹は所有している。私は卵は自分の椅子に置いてきたけど。

カル殿下のもまだ孵ってない。私のより断然大きいのにね!


動けるのが私たちだけだという説明を終えたロキに、その伯爵令息は手伝いますと言い出した、こっちがびっくりだ。


「お気遣いありがとうございます。でも、結構です。お気持ちだけ受け取っておきますわ」


ロキはバッサリ切り捨てた、というか、あまり話していたくないのだろう。

テラスを見やったら、なるほど、ナイトが顔を出していた。

ナイトはこの数日間で急激に大きくなってしまったらしい。

ヨルムンガンドの名は伊達じゃなかったということだ。見た感じ既に5メートルはある。


「うわーっ!?」


あ、誰かが気付いてしまったようだ。


「うわっ、なんだこいつ!?」

「ヨルムンガンドじゃないか!?」

「誰のだよ!」


騒ぎ出した生徒たちを見てロキが、あちゃー、というような表情になった。

今回はナイトが悪い。

ナイトは甘えん坊らしい。

一番騒がれないのはミィらしいが、あの子は精霊だ。


私とロキはその間もせっせと料理を運び、全員分を揃えた。


「お待たせ~」

「待った~」

「お腹空きましたわ」

「食べましょう」

「そうだな」


それぞれで軽く言葉を交わして、食べ始める。ロキとアウルムの側にやってきた魔物たちが邪魔にならない程度にすり寄っているのが可愛らしいが、ナイト、お前は邪魔だ。


「ナイト、揺らすなよ~」


サンドイッチとポタージュスープをいただいているロキは、スープが飲めん、と言いつつナイトを撫でていた。

私もサンドイッチとスープなので、スープは魔物がいると飲めなさそうだなと思った。


食事を終えて食器類を片付け、この後皆で魔物宿舎に行こうかという話になる。

その時、卵が動いたので私は立ち止まった。


「どした?」

「孵るかも」

「マイペースなヤツだな」


アウルムの言葉通り、その子は卵の殻を割ってゆっくりと出てきた。


「双頭の蛇?」

「アンフィスバエナ!?」


アレクセイ様が驚いて声を上げた。

赤い、シマヘビみたいな柄のその子は、卵から出て来て私の首にゆったりと巻き付いて、眠り始めた。


「眠っちまったな」

「いいんじゃないですか。早めに移動しましょう、蛇は怖がる子が多いですから」

「はい、ロキ様」


私たちは食堂を後にした。


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