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Imitation  作者: ヴィラノ・エンヴィオ
中等部1年生 前期編
41/154

食堂事変

何があってこうなった←

食堂、というのは、問題を起こしやすい場所なのだろうか。


俺はまあ令息姿でいつものメンバーで食事をとった。男爵令嬢ではあるが、皆よりも一足先に貴族としてのかなりドギツイ決定を下したソルは、その判断の冷静さであるとか、覚悟であるとか、そういったものを鑑みて俺たちより断然大人、特に国防に関して、印象が良くなっている。


そんな彼女を敵には回したくないのか、ロキ(令嬢)がおらず俺たちだけが一緒に食事をとっていても、上層部から文句はほとんど言われなくなった。


が、問題は、大人受けはよくても子供受けは悪いってことだろうか。

食堂に居るのは子供ばっかりだ。

必然的に俺たちと、俺たちに文句を言ってくる貴族令嬢令息との間の火花は盛大に散っているわけで。


「奴隷なんて食堂に連れてくるな。見苦しい」

「あらまあ、そんなこと言われましても、私はロキ様から彼らを預かっているだけですの。そんなに嫌なんでしたら、ロキ様に直接仰ってくださいまし」


俺たちはさっさと食事をかき込む方に専念している。だってひっくり返されそうだし。

ちなみに俺が一番外側に居るので俺が一番危ない。俺の正体知ったら皆ギャーってなるんだろうけどさ。


ゼロは食い終わったか、早いわ。

喋ってる場合じゃなかった、俺が一番話してたせいで食うの遅くなった、泣きそう。


「そのロキ嬢が学校に居ないんだが?」

「あら、それはお気の毒。薬草学の時は出ていらしたわ」


大学と同じ形式なので午前2コマ、午後3コマで大体授業は終わる。

その中のいくつかしか入ってないわけだがね。


「……わかった、直接言ってこよう。そうすればこの薄汚い平民と同じ空気を吸わなくて済む」


あ、こいつ俺を見た。


「――」

「……」

「!」

「~~ッ」


一瞬で俺たちの手元と足元で攻防が起きた。

ゼロとアウルムが攻撃に転じようとしたのをソルと俺で足を踏んで牽制したのだ。

ルナとエリスは分かってるので何も言わないが苦笑している。


「ここは平民や奴隷の入る場所じゃない。分かったら、これ以降食堂に入らないことだ」

「はい、サルでもわかるように仰っていただいたこと、感謝します」


俺の言葉にとげを感じたであろう彼はこちらを睨みつける。


「なんだその言い方は」

「納税してもらって暮らしてるのに平民を馬鹿にできる貴族令息がいたのでつい」

「誰が国防を担ってると思っている!」

「そりゃあテメーらのお父様だろう?」


食い終わったので反論すれば魔術をぶつけてきた、が、遅い。遅いのである。発動がアホみたいに遅い。


「ゼロ」

「ああ」


魔術を組み立てているのをゼロにぶち壊させた。


「!?」

「術の組み立てが遅いですよ。ソル様は一瞬で魔術の組み立てをなさいます」

「ルナ様もエリス様も術の発動は早いっスよ~」


食い終わったんで先に抜けるわ、と言って俺たちは席を立つ。

令嬢姿になってもここになんて来てやらない。


大体、困ったちゃんが多すぎる。

俺の制服の左胸には、死徒から貰ったブローチがいくつもついている。ストールで半分隠していることも含めて、死徒からのものと知らないにしても、ロキの制服の左胸をいかに見てないかがよくわかる。

ちなみに、これのせいで他の教科の教授たちにも俺が男装しているというか、同一人物であることがばれた。つい今朝です。


次は経済学、俺は出なくちゃならんがゼロとアウルムは出ないので魔物宿舎にでも行っとくのだろう。


が、そこにちょっと、セトが割り込んできた。


「正論を言われて逆ギレか、貴族としての品位を疑うな」

「セト・バルフォット……」


セトは、実戦経験を持っているというちょいと悲しい過去持ちでもある。しかも魔物とではなく、対人の。その剣は既に血に濡れている。

ソルより先に大人に認められる一歩を踏み出していたのは彼だ。


「お前たちも、あんまり言ってくれるな、彼らはこれからこのプライドに見合う実力をつけるのだから」

「プライドだけ肥大してるってことじゃねーか」

「誰にだって奢りはある。俺にもある。先週お前らにバッキバキに折られたけど」


先週セトをノしたのは俺たちです。

武芸の授業で、一番強いのが分かってるアウルムとイミットでもはやドラゴンばりの力を誇るゼロは置いといて、セトと俺で組手をして、俺がつい趣味でやっていた太極拳の真似を出したら、それが――俺たちが気と呼んでいたものが、こちらでは実際に反映されてしまったらしく、セトがえらく吹っ飛んだ。


で、コレ、ゼロにも有効で、ゼロも吹っ飛んだ。アウルムは内側を金属に変えちゃうとソレ防げるんだよー、と言いながら俺の腕を体内に取り込むグロッキーを発揮したので途中でやめた。避けきれないらしい。

アウルムは名の通り、肉体を金に変えてしまう。金は柔らかいんです。でも柔らかさ故というよりは、なんか、溶けた金属の中感がすごい。

水銀ってどんな触り心地なんスかね。中毒は御免だが比べてみたい。


「で、もう行くのか」

「まー、これ以上ここに居てもいいことはないっスから」

「ロキ嬢から、それは外してもいいと言われているんだろう?」

「えー、こんな高価なマジックアイテムそう簡単に外しませんって」


「お前たちが外でこれから食べるならロキ嬢も外で食べるようになりそうだな」

「でしょうねー。どっかで聞いてるかもしれないっス」

「ほんとお前ら大変だなー」


セトは食堂で食事を摂りに来たようだが、もうこのまま俺たちにくっついてくる気らしい、購買に寄ってなんか買うか。


「「待ってー」」

「ごちそうさまでした」


食べ終えたソル、ルナ、エリスも席を立って俺たちについてくる。

アレクセイとのランチタイムは週末だったな。


出ていこうとしたところでリヒトに見つかり、足止めくって、ロゼ様に見つかりカル殿下が降りてくる。なんてことをしてくれた、リヒト!


「だから一緒に食べようって言ったのに」

「いえいえ、どうせならばやはりこの国の将来を担う方々の実力磨きを見ておきたいですし」

「これは手厳しいこと」


皆にはきっと意味不明。

でも俺たちだけに通じる、事情を知らねばわからない事情について。


ただ、決まったことが一つ。


ロキ・フォンブラウは二度と、お前らとはつるまねーよ!


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